ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・逃亡・・・・・34

2015-01-08 | 4章 遠い道・逃亡

   国境へ・・・6

悪い奴らではない、4人に囲まれるようにして通りを歩いていけば抜けられる。ぼくが逃亡していると彼等は思っていない。インドでオーバースティした、カトマンズで新しいパスポートを作る、それで奴らは信用する。ぼくがパスポートを持っていない事をイミグレに密告しても奴らには何の利益もない。一度、ぼくは話すチャンスを逃した。通路側の窓に立ち外を見ていたボスにぼくは近づき並んで窓の外を見ていた。
「もう近いのか?」
「あぁ、もう直ぐだ。あの建物が見えてきたからな」
ボス・・・話そうとした、だがその先の言葉がぼくの喉に絡み付いて出てこない。
「荷物の用意をしろ。そろそろ着くぞ」
振り向いたボスはネパール語でそう言ったのだろう、若者達はベッドの上段から荷物を降ろし始めた。
 スピードを落とした列車は駅のホームへゆっくりと進入し停まった。何度も見た小さな地方の駅、ゴラクプールだ。ぼくは逃亡行動をしている、しかしまだ逃亡はしていない。今夜の夜行列車でデリーへ戻り15日に裁判所へ出頭すれば何のお咎めもない。(何を考えているんだ、ここまで来て、しっかりしろ馬鹿野郎)ヨーロッパ人は列車が停まる前にバックパックを持って出口へ歩いて行った。もう降りていないだろう。ぼくはバッグを提げてプラットホームに降りた。空は晴れている、暖かくなりそうだ。陸橋の階段を見るとネパール人達が上っている、ぼくは付かず離れずの間合いをとって後ろからついて行った。(チャンスはあったのに何故、どうして話さなかった。一人でクシナガルへ行くのか)ゴラクプール駅前へ出ると前方と右側に2台のバスが停まっていた。列車が着いたのは分かっている、大勢の客を見て両方の客引きの呼び込みが激しくなった。
「スノウリ、スノウリ、スノウリ・・・」
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