ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・逃亡・・・・・30

2014-12-11 | 4章 遠い道・逃亡

   国境へ・・・2  

ヴィシャーリ急行。何度この列車に乗ったことか、10回は下らない。時にはベナレスに回ることもあった。デリーから夜行列車でベナレスへ行き、暫らく滞在してビザが切れる2日ほど前にネパールへ向かう。ベナレスからゴラクプールまでバスで4時間ぐらい、そこから国境の町スノウリまでが2時間だ。国境を抜けその日の夜行バスに乗れば翌朝にはカトマンズに着く。今回は最短時間でカトマンズに着かなければならない。疲れたからホテルで1泊はできない。今夜の夜行列車と明日の夜行バスの2晩を乗り継いでカトマンズへ行く。
 汽笛が聞えた。頑丈で鉄の塊りのような列車がゆっくりとホームに進入してきた。インド人のざわめきと人が動く気配がしぼくは立ち上がった。列車が止まると我先にインド人達は乗り口に急いだ。何もそう急ぐ事はないのに、出発まで30分はある。人の動きが落ち着いた頃、ぼくは列車に入って行った。ベッド番号を確認し、冷たく硬い木製の座席に座った。見ると進行方向に向かった下段のベッドだ。列車が走り出すと窓の隙間から冷たい風が吹き込み今夜は眠れそうにない。大きなバックパックを担いだヨーロッパ人が乗ってきた。ハーィと形だけの挨拶を交わすと彼は荷物を上段のベッドへ置いた。彼は直ぐ寝袋を出し寝床の用意をしている、几帳面そうな奴でぼくと馬が合いそうにない。寝袋に潜り込んだらトイレに行く以外、下りてくることはないだろう。通路側に頭を向ければ本ぐらいは読める。向かい合わせの6台のベッドはデリー駅国際予約センターが確保していたものだろう。外国人は大体、1ケ所に集められる。ぼくが持っている切符2枚と彼で3名だ、後の3ベッドは空きかもしれない。この季節カトマンズは寒い、インドへ下ってくる旅行者はいても逆へ行くものは少ない。発車間際になって、どかどかとネパール人が乗ってきた。20代が2名と40代が2名で荷物の量はかなり多い。お互いに目は合ったが挨拶はない、何となく気が合いそうにない人種だ。窓側に座って駅構内を見ていた。出発の合図であるピィーと汽笛が鳴るとゴトンゴトンと列車が動き出した。もう戻ることはできない、逃亡という道を終着まで逃げ続けるのだ。


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