ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・・・・・27

2014-10-20 | 4章 遠い道・逃亡

「トミー、インド・ルピーを幾ら持っているの? ドルと両替した方が良いわよ」
と彼女は変な事を言い出した。ブラック・マーケットでドルをルピーに両替するのは可能だが、その逆もあるのだろうか。その件についてマリーは何か情報を持っている。突然の思いつきではなさそうだ。それは良い考えでぼくも思いつかなかった。確かにそれが出来ればぼくは助かる、たぶん七~八万ルピーは持っているはずだ。このルピーでは飛行機のチケットは買えないし何に使うのか方法のないお金だった。カトマンズに約二十万円の現金がある。スンダルが保管しているはずだ、がぼくが逮捕され刑務所に入った新聞記事を奴が読んでいればそのお金はどうなっているか分からない。ぼくがカトマンズに戻ってくる可能性がない、と奴が判断すればその二十万円はないかもしれない。マリーが言うようにルピーをドルに両替することが可能なら少しレートが高くてもそうしたい。
「マリー、本当にそんな事ができるのか?」彼女はフィリップスと相談している。サダジの店はどう、サダジなら大丈夫だろう、そんな2人の会話が聞えてくる。
「心当たりがあるわ、行ってみる?」
「当然行くよ。ちょっと下で待ってくれ」
そう言って2人に部屋の外へ出てもらった。
お金を勘定しているところを見られたくない。数えてみると約八万ルピー弱ある、それを袋に入れて2人が待っている廊下に出た。目的の場所は近そうだ、バザールへ向かって商店を10軒も歩いただろうか、フィリップスは店を探し始めた。ここだ、と彼が指差した店はシーク教徒のサリー等を売る生地屋だった。サダジの所在を確かめると2階だと言う、皆で階段を上がっていった。2階の床には赤い絨毯が全面に敷かれている。ぼくは入口で待っているとその間にフィリップスが中へ入ってサダジという男と話をしている。直ぐにOKだ、入って来いとぼくに合図をしながら彼が近づいてきた。
「信用できるのか?」
「心配するな、俺が保障する」
小声で彼と打ち合わせをして、ぼくはサダジの前に座った。
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