ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅              ブラック・アウト・・・12

2012-07-26 | 2章 ブラック・アウト
毎夜、ブラックアウトしている。途中、1時間くらい眠っているようだ。目が良く見えない。チェーシングをやろうとするのだが火のコントロールが出来ない、指を焼いてしまった。
二ナの事をぼくは何も知らない、国籍も年齢も。20年間スニッフをやっていると彼女は言うが、鼻の中にトラブルはないのだろうか。確かに効きは良いし道具もいらない。彼女はいつもキャンディーやスイートを持ち歩いている。スタッフが鼻から口内に流れる、その苦味を消す為だ。目が悪くなって字が書けない。ノートの線が二重に見えてどこに字を書いているのか分からない。
 サンダルが滑ったのだろう、両足を前に出した姿勢で、お尻の尾てい骨を大理石の階段にダンダンダンと打ちながら、ぼくは2階から滑り落ち始めた。後からマネージャーの大きな声が聞える。パタパタと駆けるサンダルの音が追いかけ、近付いてくるとぼくの両脇を掴まえた。狭い急な階段の中頃である。もしぼくの身体が後ろに倒れていたら、大理石の階段の角に後頭部を激しく打ち付けていただろう。スタッフを吸い自分に何が起こっているのか分からず防御の動きをしなかった、それが良かったのかもしれない。尾てい骨のダメージは長く続いた。座ることも歩くことも、トイレで用を足すにも痛みで辛かった。この夜、横座りしてスタッフを吸いキックしたぼくは、斜め前に屈み込み居眠りをしていたのだろう、髪の焼ける臭いと額に熱を感じ飛び起きた。ローソクの火で額から髪を焼いてしまった。

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