ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

保釈・・・18  フィリップスについての推論

2016-06-13 | 5章 デリー中央刑務所  保釈

 夜、ぼくはベッドで横になり考え続けていた。アシアナから第1刑務所に来た時、ぼくとフィリップスは弁護士を誰にするかを話し合った。最初からバクシ弁護士の名前は出ていた、が彼は有能だが弁護費用が高いし今回、ぼくの事犯は小さな問題で彼に依頼する程の事はないというフィリップスの意見で当初の弁護士に決まった。フィリップスがこの最終段階に来てバクシ弁護士に変更した理由をぼくは推測してみた。ぼくが逮捕されアシアナでの治療が終って第1刑務所に収監された時点でバクシ弁護士に依頼していれば今回のような形で早く保釈の判決文を引き出せたかもしれない。フィリップスはぼくのケースを大した事ではない、直ぐリリースされると言った。だがそうはならなかった。彼の弁護士は誰だったのかぼくは知らないが彼のリリースはそんなに長くは掛らないだろうとの心象を彼は弁護士から得ていたのだと思う。フィリップスは自分がリリースされる前にぼくをリリースさせたくなかったではないのか、今、ぼくはそんな気がしている。彼は刑務所にいる間に裁判費用をここで稼がなければならない、そのお金を捻出させてくれる大切な客がぼくだ。ぼくが彼より早く刑務所を出てしまったら彼は金づるを失う。
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