ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・16

2012-01-18 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録
 食欲は出てきたが朝の牛乳とバタートーストだけはちよっと食べ難い。牛乳は1度、火を通してあるのだが病室に持って来た時には生温くなっている。飲もうと口に持っていくと独特の臭いが鼻につく。昼はチャパティ4枚とサブジがでるが、調理した油はそんなに気にならなくなった。夕食前なのに腹がへって仕方がない、夕食はチャパティ5枚にしてくれとラウラシカに頼んでおいた。
 夕方、お腹が空いたのだろうアユミはぼくの病室に来ていた。ヨーロッパからの一人旅やネパール行き等、彼女の話しを聞きながら夕食が運ばれてくるのを待っている。随分待ったような気がするが、食欲をそそるガラムマサラの香ばしい匂いが漂って来ない。食器の音もしない。食欲が出てきてぼくは気がついたのだが食事の時間がいい加減なのだ。
何をしているのかラウラシカの奴は、ぼくとアユミは調理場へ様子を見に行くことにした。
 厨房の中を見ると、チャパティーを作る小麦粉の団子が丸めてあるだけだ。ぼくとアユミは呆れ返って、口をあんぐり開けたままそれを見ていた。そこへ御2人さんそこで何をしているの、という顔をして奴が厨房に入ってきた。夕食の準備が遅くなったから急いでやろうという気持ちなどラウラシカにはこれっぽっちもない。また遅れやがって、てぇめ~と頭にきたがここは我慢した。バザールから買って来て用意してあるのだろう、野菜を見るとビンディー(おくら)が置いてある。これはニンニクと油で炒めターメリックとガラムマサラそれに塩で味付けをすると美味しい、う~ん、堪らん。
 アユミとぼくは空腹に負け料理の手伝いをする羽目になった。病人が料理人の手伝いをしなければならないという奇妙な関係がまかり通って良いのか。空腹に負けたぼくらはこの日からラウラシカの思う壺にはまってしまった。
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