ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅         マリー・・・・・12

2011-07-07 | 2部1章 マリー
「大変でしたね、もう二度とこういう事はないでしょう」
「日本のお姉さんが心配されています、この電話で元気な声を聞かせると良いでしょう、お姉さんとの約束ですから」
とBさん。大使館の時計は十一時を指している。時差は三時間、日本時間は午後二時になる、こんな時間に姉は家に居るだろうか。呼び出し音が何回か鳴って
「もしもし、・・・です」
と姉の声、一瞬ぼくは息を呑んだ
「もしもし、あ、ぼくです。釈放になって今,大使館から電話しています。もう何も心配する事はありません。裁判の後処理で二~三ヶ月くらい掛るでしょうが、それが終ったら一度カトマンズに寄り、荷物の整理が済めば帰国します。母にも心配かけましたけど、そのように伝えて下さい」
何か話そうとする姉の言葉に圧し被せるようにして
「また電話します」
と言ってぼくは電話を切った。気持ちが挫けそうになる自分の弱さを引き摺りたくはなかった。

コメント
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