S家の別宅

夫婦ふたりきりになりました。ふたりの生活をこれから楽しみたいなと思います。

小春おばさん

2010-06-11 16:25:09 | Weblog
ゲゲゲの女房の水木さんが描いていた貸本漫画、貸本屋さんはとてもなつかしい。

わたしも小さい頃、貸本屋さんにせっせと通った記憶がある。

わたしの育ったのは田舎の温泉町で、町のなかには温泉のお湯が混じった川が流れていた。
その小さな川のすぐわきにいつも通っていた貸本屋さんがあった。

お店にはおばさんがひとりでいて、本は1冊5円ぐらいで借りられた。
おこずかいの20円や10円をにぎって、家からすぐ近くの貸本屋さんにいつも漫画を借りに行った。

勉強もせずに学校の図書館の本を読むか、山で友達と遊び呆けていた子供だった。
学校の本はよく読んだけれど、学校の図書館には漫画本がなかったので、漫画を借りに貸本屋さんにもよく通った。

お姉ちゃんとふたりで行ったり、ひとりで行ったり・・・・

雨が降った日の日曜日は外であそぶこともできなかったから、貸本屋さんにいった。
川のそばにある貸本屋さんは、雨が降るとすぐ近くの川の水かさが増して、ごうごうと音をたてていた。
そんな夜は小さな貸本屋さんの床に乗ったまま、いかだのように川を下って行く夢を見ていた。

不思議とおばさんは川を下って行くわたしにいつも夢の中で手をふっていた。


わたしが小学校の高学年になるころは、もう貸本屋さんで子供たちは本をかりなくなっていった。
お客さんが少なくなってきて、おばさんは「お店を閉めることにしたから」と、何度も借りた本を家まで持ってきてくれて、
わたしやお姉ちゃんにその本をくれた。

ゲゲゲの女房でも今ちょうど貸本業界が衰退していく様子をやっている。

貸本漫画は分厚くて、ちょうど物語は1巻か2巻で終わるようになっている。今のテレビアニメや、単行本マンガとは少し違った雰囲気を持った漫画だった。マンガとカタカナより漫画という漢字が合うような・・・・

そんなことをドラマを見ながら懐かしく思い出している。

だからなんだか井上陽水の歌「小春おばさん」っていう歌も好きだ。

風は北風冬風、小春おばさんのうちは、小さな田舎町、貸本屋のある田舎町・・・って歌ってる。