奈良国立博物館で2月4日から3月19日まで開かれている特別展示お水取りを見てきました。見たかったのは、東大寺二月堂の大観音小観音の光背で、奈良国立博物館では毎年この時期に展示しています。
こちらが大観音の光背で、特別展示に合わせて本館(なら仏像館)で展示していました。江戸時代初期の二月堂の火災で損傷し、現在は奈良国立博物館に保管されています。
こちらが小観音の光背。新館で開かれていたお水取り展の目玉展示で、入口に展示されていました。こちらも同じく江戸時代初期の二月堂の火災で損傷しています。(写真はいずれも奈良国立博物館刊の展覧会目録からの引用)
奈良国立博物館には、何度も足を運んでいますが、大観音小観音の光背は今まで一度も見たことがなかったのですが、今回見ることができました。いずれもお水取りの時期には必ず展示されるようです。両方の光背とも数年前に板からアクリルの固定に変更されて、両側を見れるようになっていました。
なぜ注目しているかというと、二月堂の本尊の大観音小観音とも絶対の秘仏とされています。鎌倉時代以前に書かれた絵図は残っていて、概ねの形は推定されていますが、少なくとも二月堂再建以降は誰も見たことはないと思われます。光背の大きさから大観音小観音の大きさを実感できるので、少し前から注目していました。
ところで、秘仏というと、定期的に公開(開扉)されていて、学術調査もされている秘仏はともかく、絶対の秘仏で学術調査や寺院関係者も見たことがない仏像の半分ぐらいは、火災などにより損傷が激しく開扉できないか、存在しないのではないかと考えています。同じく絶対の秘仏である善光寺の本尊は、江戸時代初期から存在しないと言われていて、江戸幕府がわざわざ元禄年間に検分した記録が残っています。
二月堂の大観音小観音は江戸時代初期の火災の前、遅くとも南北朝時代の頃から絶対の秘仏でしたが、おそらくこのときの火災でかなり損傷しているのではないかと推定されています。小観音は厨子に入っているので、多くの秘仏と同じく厨子ごと動かす事はできるのですが、大観音は二月堂内に置かれ、天蓋の下に帳で掩われています。二月堂の解体修理の話は、今のところ聞いたことがありませんが、大観音をどうするのか気になるところです。
たしかに、こんな松明に火をつけてを持って走ったら、状況によっては火災が起きるなあと・・・。現在はしっかり防火対策はされて、消防も待機しているようです。
ちなみに本館(なら仏像館)の方では、現在金峯山寺の金剛力士像の修復が完了して公開されています。金峯山寺の仁王門が修理中で、保管を兼ねて、奈良国立博物館にて展示されています。
撮影 2022年2月4日(二月堂の写真のみ2005年撮影)
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