さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

嗜好や気候の変化に対応 日々進化を続ける「ぶどう」

2023-12-17 14:15:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
これまで、和歌山県内で収穫される13種類のぶどうを紹介してきた。色、形、味わいが異なる様々な品種が存在。今週は近年のぶどうを取り巻く環境と展望について考えたい。


【写真】県内で収穫される様々なぶどう

このシリーズの冒頭で取り上げたのが、150年以上の歴史をもつ「デラウェア」。
有田エリアを中心に観光農園での収穫体験が盛んな「巨峰」と共に、日本の食卓を彩る、ぶどうの代表格として親しまれてきた。

しかし、日本人の嗜好の変化から、大粒で糖度が高く、香りが優れる品種の台頭が進み、巨峰から派生した「ピオーネ」や「紫玉」をはじめ、1粒30gを超える「藤稔」などが人気を博すように。欧米系の品種が融合した「シャインマスカット」の登場で、ぶどうの高級志向も高まり、今や、ぶどうは高級フルーツとなった。

様々な種類のぶどうが店頭を賑わせる時代となったが、お盆前後に収穫のピークを迎える従来の品種と差を付けるため、収穫時期を工夫したものも登場。
かつては、短い期間でしか味わえなかったが、品種は異なるものの3ヶ月程度、何かしらのぶどうが存在する状況である。

気候変動に対応した新品種の登場も見られる。「ブラックビート」は高温による着色不良を防ぐため、8月以前に収穫ができ、温暖な地域における、ぶどう栽培の維持拡大に貢献。
市場や気候など、様々な環境変化に合わせ、ぶどうは日々進化を続けている。

全国的に見れば、ぶどうの一大産地というわけではない和歌山県であるが、代表格とされる巨峰から希少品種まで、様々な種類が栽培されている。

紀北エリアは京阪神から容易にアクセスでき、観光資源としての役割もある。
全ての品種を取り上げることはできなかったが、来夏、店頭でぶどうを見た時は、品種ごとの開発背景や希少度合いに触れながら、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする