さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

海と共存する豊かな暮らし 和歌山平野の成り立ちと防災意識

2021-02-07 13:50:34 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
取材機は海から和歌山市全域を見渡せる位置に来た。西に開け紀の川を中心に街が広がる和歌山平野がよく見える。


【写真】和歌山平野を海から望む

和歌山平野は、紀の川の上流から運ばれた大量の土砂が堆積し形成された。
和歌山城周辺から秋葉山へと続く小さな丘は、岡山、吹上と呼ばれる砂丘の名残とされる。砂丘に広がる松林の根元の砂が風雨により流された「根上がり松」はこの地域の歴史を物語るもの。
先人が付けた、高松や小松原の地名からも地域の特徴を知ることができる。

海に開けた砂地の地形は、時に地震災害で甚大な被害に見舞われることがある。
1400年代の地震と津波により紀の川のルートが変わったとされ、発生が懸念される南海トラフ地震への備えが必要。
海の恩恵を受ける和歌山にとって、災害とは上手く付き合わねばならない課題といえよう。

防災士の資格を持つ筆者が子どもたちに防災教育を行う際、海から自宅までの距離を認識してもらうことがある。
目安にするのが、和歌山港やマリーナシティで打ち上げられる花火が見えてから音が聞こえるまでの秒数。
1秒間に約340m進むとされる音が何秒で聞こえるかで、海からのおおよその距離を測ることができる。

近ければ近いほど海の恵みを受けやすく、かつ、影響を受けやすいということ。
自治体が発行する防災マップなども参考に、もしもの時に備えることも、海と共存していくうえで必要なことだと思う。

28回に渡りお伝えしてきたこのコーナー。空から我が街を俯瞰して見るという発想で、地域の魅力を紹介してきた。
ぜひ、広い視野、異なる目線で地域を見つめなおし、郷土愛を深めてほしい。

(次田尚弘/和歌山市上空)



和歌山城周辺から秋葉山へと続く砂丘の名残とされる小さな丘の姿です。


和歌山城より南方向・名草山を望む



名草山から北西方向・秋葉山から打越山、和歌山城方面を望む



和歌山大学付属小中学校校庭に残る根上がり松 1990年10月撮影
万歳をしているのは当時2歳の著者


コメント
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