さんぽみちプロジェクト

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鬼伝説と自然の造形美「鬼ヶ城」 三重県熊野市 5

2016-03-13 13:38:43 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、三重県熊野市の世界遺産・獅子岩と、縁の深い大馬神社について紹介した。
今週は獅子岩と共に、国の名称と世界遺産に登録されている「鬼ヶ城(おにがじょう)」を紹介したい。


【写真】国の名勝・世界遺産「鬼ヶ城」

「鬼ヶ城」は獅子岩から北東へ約2キロに位置する景勝地。伊勢志摩から続くリアス式海岸の南端にあたり、急激な地面の隆起と熊野灘の荒波による浸食で、大小様々な海蝕洞が約1キロに渡って広がる巨大な凝灰岩。
海蝕洞の上部は鳥のクチバシのように先端が尖り、内部は蜂の巣のような無数の穴が並ぶ。

「鬼ヶ城」の由来は、平安時代に遡る。武官であった坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が、この地域で鬼と恐れられていた海賊の征伐に訪れた。
海賊(鬼)の隠れ家が鬼ヶ城であると知った坂上田村麻呂だが、熊野灘の荒波が行く手を阻み、立ち寄ることはできなかったという。

しかし、鬼ヶ城の沖、約1.5キロに浮かぶ「魔見ヶ島(まみるがじま)」に童子が現れ舞を踊り、それを見ようと岩戸を開けた海賊の頭(鬼神)に田村麻呂が矢を放ち、一度でしとめたという伝説がある。
大馬神社(前号で紹介)に討ちとった鬼の首を埋めたとされ、年に一度、同社では平安を祈る「弓引き神事」が行われている。

また、西暦1400年頃、この地を治めた熊野有馬氏の一族が、鬼ヶ城一体の山頂に城を建てており、その山城を「鬼ヶ城」としていた。
現在も城跡が残り、ハイキングコースが整備されており、鬼の見晴台といわれる展望台からは熊野灘が一望できる。
これからの時期、一帯では、4種類の桜が次々に開花。訪れる者を魅了してくれる。

広い駐車スペースがあり食事などを楽しめる「鬼ヶ城センター」が観光の拠点。桜の見頃にぜひ訪れてみては。

(次田尚弘/熊野市)
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