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2015年1月20日

2015-01-23 23:11:57 | 代謝

肥満の手掛かりを与える新しいシグナル経路
New signaling pathway provides clues to obesity



ヴァンダービルト大学を中心とする研究チームは、脳の食欲コントロール・センターで「可変抵抗器」として働く分子を発見した。この発見は我が国に蔓延する肥満に対して新しい洞察を提供するかもしれない。

ネイチャー誌で報告されるこの新しい細胞シグナル経路の発見は「食欲をコントロールする『オン/オフ』スイッチについてのこれまでのモデルを修正する」とMasoud Ghamari-Langroudi博士と共に研究チームを率いるRoger Cone博士は言う。

今回の発見は、脳の食欲コントロール・センターであるメラノコルチン-4受容体(MC4R)に焦点を合わせる。MC4Rは神経細胞膜に固定されるGタンパク質共役受容体(GPCR)である。

「これはGPCRがどのようにシグナルを出すかについて理解するための、まったく新しいやり方である」、分子生理学・生物物理学部の教授であり、生物医科学のJoe C. Davis教授でもあるConeは言う。

「ほとんどのGPCRは、短い時間枠の間ではオン/オフ動作のスイッチのように動作する。しかし今回の発見は、『オン/オフのスイッチ』から『可変抵抗器』へと切り換えるための分子メカニズムを特定する」、Coneは言う。

「それは日焼けやダイエット後のリバウンドのような遅れて起きる持続性の生物学的プロセスの説明を助ける可能性がある。オン/オフのスイッチ、可変抵抗器、そのどちらもGPCRによって仲介される。」

MC4Rは長い間、GPCRとしては典型的な「オン/オフ」のスイッチとして特徴づけられてきた。α‐メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)とアグーチ関連ペプチド(AgRP)は、MC4R受容体の同じ結合箇所で競合する。α-MSHによるMC4Rの活性化は食欲をオフにするが、AgRPによるMC4Rの阻害は食欲を刺激する。

この一般的な機序において、GPCRが刺激を受けるのは『シャットダウン』するまでである。この現象を脱感作(desensitization)と呼ぶ。GPCRの脱感作はしばしば急速に生じ、それは多くの生理的なシステム、例えば視力や嗅覚が機能するために必要である。

しかし脱感作は、恒常性への復帰を説明しない。例えば体重には『セットポイント』があり、いったんダイエットするのを止めると体重は数ヶ月の間にもとに戻ることがしばしばある。

その答えは「過感作(hypersensitization)」、つまり脱感作の反対かもしれない。それはMC4RがKir7.1というカリウムチャネルと「共役する」ときに生じ、このプロセスはGタンパク質シグナルから独立している。動物における研究では「ペプチドAgRPの単回投与(single dose)は最大で10日間の食料摂取を刺激することができる」ことを示した。

「この観察は従来のGPCRシグナルとは単純に適合しなかった」、Coneは言う。

今回の研究は、AgRPはMC4R受容体との結合をα-MSHと競合するだけでなく、Kir7.1を開くようにMC4Rを誘導する「バイアスアゴニスト(biased agonist)」でもあることを示したという。AgRPはカリウムチャネルを開き、食欲の阻害に関与するニューロンを「過分極化」して阻害することで、飢餓感を増加させる。この発見は、肥満を治療する新しいアプローチにつながるかもしれない。

「現在の課題は、より小さいMC4Rバイアスアゴニストを見つけ出すことである」、Coneは言う。

Kir7.1は、腎臓や子宮筋、腸など、他の多くの組織で発現している。Kir7.1のようなイオンチャネルにより直接シグナルを伝えるような他のGPCR候補も他の組織で調査されていると言う。

記事ソース:
上記の記事は、ヴァンダービルト大学メディカル・センターによって与えられる素材に基づく。

学術誌参照:
1.視床下部ニューロンにおける、MC4RのGタンパク質からは独立したKir7.1との共役。

Nature、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150120121306.htm


※DMV(dorsal motor nucleus of the vagus): 迷走神経背側運動核ニューロン

<コメント>
視床下部の室傍核(paraventricular nucleus)にあるGPCR共役受容体のメラノコルチン4受容体(melanocortin-4 receptor/MC4R)に対してα-MSHとAgRPは競合するだけでなく、異なる機序でニューロンを活性化/阻害することが判明したという記事です。


α-MSH→MC4R→Gαs→cAMP─┤Kir7.1/K+排出
AgRP→MC4R→Kir7.1/K+排出/過分極

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