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2015年4月2日

2015-04-05 23:39:50 | 代謝

脳と腸の関係:
体重を調節する脳細胞の、重要な遺伝子の引き金

The brain-belly connection:
Scientists find key genetic triggers in weight-regulating brain cells


あなたに食べるように命じる、または食べることを止めることを命じる頭の中の小さな声は、実際には小さな声ではない。実際、それは約1万もの特殊な脳細胞の集まりである。今回、科学者の国際研究チームはそれらの細胞の内側にある小さい『引き金』の存在を明らかにした。その引き金は『声』を生み出し、一生の間ずっとあなたに話し続ける。

この新しい研究は魚とマウスで実施されたもので、食べ過ぎるヒトやほとんど食べないヒトにはまだ適用することはできない。しかしそれは、DNAのほんの一部が人体の食欲と体重の調節に対してどのようにして大きな影響を及ぼすかについて明らかにする。これは体重の調節に関与する脳細胞の遺伝子がどのように制御されるかについての初めての厳密な考証である。

今週のPNASオンライン版で発表される論文と最近のPLoS Geneticsの論文において、研究チームはPOMCと呼ばれるニューロンにとって重要な遺伝子調節因子に関する発見を報告する。脳内の深い位置にある視床下部に存在するPOMCニューロンの集まりは、満腹感や空腹感のコントロールセンターである。POMCニューロンは体内からの信号を受け取り、化学的シグナルを発して食欲と摂食を調節する。POMCニューロンが存在しないか正しく機能していないと、動物とヒトは危険なまでに肥満になる。今回の新しい発見は、POMCニューロンの内側にある特定の遺伝子の『引き金』が作用していなくても同じことが起きることを動物実験で示す。

Malcolm Low医学博士(ミシガン大学メディカルスクール)とMarcelo Rubinstein博士(アルゼンチン・ブエノスアイレス大学)らが率いる研究チームは長い間POMCシステムを研究してきた。彼らの新しい発見は、食欲を調節するシグナルを生じるPOMCニューロンの遺伝子、つまりPomc遺伝子が中心である(Pomcはproopiomelanocortin/プロオピオメラノコルチンの略)。

しかし、遺伝子の研究それ自体はPOMC細胞がなぜ、そしてどのように活動するのかについての一部始終を語ってくれるわけではない。研究チームは2つの新しい論文において、転写因子と2つのエンハンサーがどのようにPomc遺伝子の引き金として働くのかについて報告する。これら3つはすべて、POMC細胞がどのくらいの頻度で、そしていつその遺伝子を使ってシグナル分子を作り、体内に伝えるのかを調節する。

さらに、Islet 1という転写因子は、生まれる前の脳の発達で最も初期の段階の間にPOMC細胞が正しく育つのを助ける際にも重要な役割を演じる。

「脳はレプチンというホルモンからの影響に反応して体重を調節するが、POMC領域はその調節するための手段の中核である」、分子統合生理学部の教授であるLowは言う。

「我々は、Pomc遺伝子がこれらのニューロンでどのように調節されるのかについて理解することに関心がある。POMCニューロンは非常に小さい集まりだが、仕事としては大きい。」



遺伝子の引き金を徹底的に調べる

PLoS Geneticsで報告された発見は、2つの異なる遺伝子エンハンサーの影響を示す。エンハンサーはPomc遺伝子の近くのDNAに存在する配列で、細胞がDNAを読み込むことを容易にする。空港の滑走路への道をパイロットに示すシグナルライトのように、エンハンサーはタンパク質を遺伝子の方へ導く。

研究者は2つのエンハンサーがお互いを補うように働くことを明らかにした。それらは両方とも重要な時にPomc遺伝子の発現を促した。2つのうち1つはすべての哺乳類で同じ形で見つかり、もう1つはすべての胎盤哺乳類の間で見つかる。このことは、2つのエンハンサーが進化の過程を通じて完全に保たれてきたことを示唆する。

このnPE1とnPE2と呼ばれるエンハンサー(neuronal POMC enhancer)は、脳内でのみPomc遺伝子を特に調節することを新しい研究は示す。それらの両方とも持たずに生まれたマウスは、あたかもPomc遺伝子が働かなくなったかのように肥満になった。一方、nPE2だけを持たないマウスはnPE1がそれを補うことで正常に育った。Pomcの重複するエンハンサーシステムはこの遺伝子の重要性を示唆するとLowは言う。

しかし、Pomc遺伝子を読み込むように細胞の引き金を引くのが具体的に何なのかについて理解するとなると、遺伝子のエンハンサーは方程式の一部に過ぎない。エンハンサーにくっつくタンパク質、つまり転写因子も不可欠である。



研究者はPNASの新しい論文で、Isl1遺伝子によってコードされる転写因子Islet 1が、このPomcにとって重要な役割を演じると報告する。その名前が示唆するように、Islet 1は膵臓の膵島細胞(islet cells)において転写因子として働くが、それはPOMCニューロンでも発現することが判明した。妊娠の途中に視床下部の細胞がIslet 1を作らないように阻害すると、胎児マウスのPOMCニューロンはまったく育たなかった。さらに、生まれる前の視床下部で正常にIslet 1を作らせてからその後に阻害すると、POMCニューロンの量は著しく低下し、そして肥満になった。

研究者はゼブラフィッシュでもIslet 1の重要性を示すことができた。発達初期においてIslet 1転写因子を阻害されたゼブラフィッシュも、マウスと同様にPOMCニューロンは発達しなかった。ゼブラフィッシュはPomc遺伝子の転写の調節にnPE1/2とは異なる遺伝子エンハンサーを使うので、この結果はIslet 1それ自体の確かな重要性を示す。

「まとめると、本研究は脊椎動物におけるニューロン特異的な遺伝子の最初の例を表す。そこで我々が明らかにしたのは、エンハンサーとそして様々な種で共有される転写因子は、脳を発達させる際に、そして成人になってからも生涯を通じて遺伝子発現を制御するということである」、Lowは言う。



今後の方向

Islet 1の喪失の影響、そして2つのPomc遺伝子エンハンサーの一方または両方の喪失についての研究は、これらの引き金の重要性を示すと彼は言う。しかし同じ要因がヒトでも同じように作用するかどうかの研究は、他のエンハンサーと転写因子が関与する可能性があるためさらに複雑になると思われる。これまでのヒトのゲノムワイド研究では、Isl1遺伝子の変化と肥満との間に関係はまったく示されていない。

POMCニューロンへのシグナルとPOMCニューロンからのシグナルの結合を追跡する画像化研究は、更なる手がかりを明らかにした。そして理論的には、Pomc遺伝子産物の産生を増加させる薬や、機能不全を起こしたPOMCニューロンの代わりの細胞を発達させる薬を発見できる可能性はある。

「ヒトでは、Pomcの調節は体重管理の方程式の一部かもしれない」、Lowは言う。

「まだはっきりとはわからないが、マウスモデルに似ている可能性があると我々は考えている。マウスモデルではその役割がダイヤルと似ていて、Pomcの発現量と肥満度の間は線形関係である。この研究は、脳がどのようにして摂食を調節するのかについての全体的な理解への道を開く。」

LowとRubinsteinは、POMCニューロンの研究を続けるために米国国立衛生研究所(NIH)から助成金を新たに受け取ったばかりである。彼らは他の転写因子を探し、そしてPOMCニューロンを刺激する際のレプチンとエストロゲンの役割を調べたいとしている。

彼らはさらに、人工多能性幹細胞(iPS)から発達するニューロンを使ってPOMCニューロンが育つ間の遺伝子の活性も研究したいと考えている。加えて、妊娠中または授乳中のマウスでPOMC発現が低下して摂食が増加するときのPOMC活性を研究するつもりである。

記事出典:
上記の記事は、ミシガン大学ヘルスシステムによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.Islet 1は視床下部メラノコルチンニューロンの同一性を特徴づけ、成人期における正常な食物摂取と肥満にとって重要である。

PNAS、2015;

2.部分的に重複するエンハンサーは、哺乳類のPomc発現を重要な機能的閾値を上回るように協力して維持する。

PLoS Genetics、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150402081628.htm

<コメント>
視床下部で満腹感を調節するPOMCニューロンでPomc遺伝子の発現を調節する3つの因子についての記事です。

POMC(プロオピオメラノコルチン)からは、エンドルフィン (オピオ)、メラニン細胞刺激ホルモンMSH (メラノ)、副腎皮質刺激ホルモンACTH (コルチン) が作られ、その産物の一つのα-MSHが食欲を抑制します。

POMCがないマウスは食べ過ぎて肥満になりますが、ヒトではIslet 1をコードするIsl1遺伝子の多型は肥満との関係が見つかっていないとのことです。

下の画像は、左が正常に成長しているマウスの視床下部POMCニューロンの画像で、緑色は転写因子が作られていることを示し、オレンジ色は細胞の正常な産物を表しています。
右では転写因子の遺伝子が削除され、細胞は転写因子を作らなくなり、体重の調節を助ける正常な産物も作られていません。



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