機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年12月8日

2014-12-11 22:26:32 | 癌の治療法

最も手ごわい乳癌は、好敵手に直面したかもしれない:
がん細胞に化学療法を効きやすくするタンパク質阻害剤

Toughest breast cancer may have met its match:
Protein inhibitor makes cell susceptible to chemotherapy



トリプルネガティブ乳癌は、名前の通り厄介である。この腫瘍を形成する細胞には、強力でカスタマイズされた治療薬に癌を反応させるための3つのタンパク質(ER、PR、HER2)がない。そのため医師は伝統的な化学療法で患者を治療するしかない。その化学療法で長期的な効果を示すのは患者の20パーセント未満である。

今回、ジョンズホプキンス大学の研究者はトリプルネガティブ乳癌が化学療法に抵抗するプロセスを逆転させる方法を発見した。彼らの報告は12月1日にPNASのオンライン版で発表された。



トリプルネガティブ乳癌は化学療法に抵抗性であることに加えて、癌幹細胞が多く含まれることが知られている。癌幹細胞は再発の原因であり、腫瘍を転移させて癌患者を死に追いやる。

以前の研究で、トリプルネガティブ乳癌細胞では低酸素誘導因子(HIF)によって制御される多くの遺伝子の活性が著しく増加することが明らかになっていた。Gregg Semenza医学博士たちの研究チームはこれらの過去の研究結果を考慮して、HIF阻害剤が化学療法の作用を改善する可能性について調べることに決めた。

「我々の研究は、化学療法がHIFのスイッチをオンにすることを示した。スイッチの入ったHIFは乳癌幹細胞の生存を強化する。癌幹細胞は、再発と転移を阻止するために殺さなければならない癌細胞である」、ジョンズ・ホプキンスのC.マイケル・アームストロング医学教授であり、ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンター専門家でもあるSemenzaは言う。

「良いニュースもある。我々にはHIFの作用を阻害する薬があるということである。」

Semenzaの研究は、ラボで成長させたトリプルネガティブ乳癌細胞に化学療法薬パクリタキセル(paclitaxel)を投与して、HIFレベルの変化を探すことから始まった。投与から4日後、HIFのタンパク質と活性レベルは増加した。同様に生き残った細胞の間で乳癌幹細胞の割合は増加した。

Semenzaたちの研究チームが癌細胞のHIFが少なくなるよう遺伝的に変更を加えると、癌幹細胞は化学療法による細胞死から保護されなくなった。これは癌幹細胞がパクリタキセルの毒性に抵抗するためにはHIFが必要であることを証明するものだとSemenzaは言う。



分子レベルで見ると、HIFが幹細胞の生存を強化する方法の1つは多剤耐性タンパク質1(multidrug resistance protein 1; MDR1)のレベルを増加させることによる。MDR1/ABCB1は化学療法薬をがん細胞から排出するポンプのように作用する。

しかし、トリプルネガティブ乳癌細胞にパクリタキセルとHIF阻害剤のジゴキシン(digoxin)を与えると、MDR1レベルは上がるよりむしろ低下した。トリプルネガティブ乳癌細胞を移植されたマウスでは、ジゴキシンとパクリタキセルの投与は、パクリタキセルだけの投与よりも30パーセント腫瘍サイズを減少させた。2剤の併用は、乳癌幹細胞の数とMDR1のレベルも低下させた。

ジゴキシンと別の化学療法薬のゲムシタビン(gemcitabine)を投与すると腫瘍の容積は3週以内にゼロになり、投与終了後にゲムシタビンだけを投与したマウスで観察されたような再発も阻止された。

化学療法で治療されたトリプルネガティブ乳癌の患者データベースの分析では、腫瘍のHIF活性レベルが平均より高い人々は、HIFレベルが平均より低い患者よりも死亡する可能性が非常に高かった。

Samantaは、HIF阻害剤のジゴキシンが心不全の治療薬としてすでに食品医薬品局(FDA)に承認されていることを強調する。他のHIFを阻害する薬もいくつか特定されており、現在、患者で試験中である。

記事出典:
上記の記事は、ジョンズ・ホプキンス・メディシンによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.乳癌幹細胞の化学療法への抵抗性には、低酸素誘導因子(HIF)が必要である。

PNAS、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141208152358.htm

<コメント>
MDA-MB-231のようなトリプルネガティブ乳癌は、HIFによって制御されるMDR1などの活性が上昇して化学療法に抵抗するだけでなく、化学療法自体がHIFの活性と癌幹細胞の割合を増加させるという記事です。Abstractによれば、パクリタキセルやゲムシタビンのような化学療法が癌幹細胞を増加させるのはIL-6とIL-8シグナルによるとのことです。

Semenza博士たちは数年前にジゴキシンがHIF-1の生成を阻害することを発見していました。Semenza博士たちはアクリフラビンもHIF-1を阻害できることを発見しています。

>アクリフラビン(Acriflavine)はその後の研究によりHIF-1に直接結合することが確認された。

最近、癌幹細胞の燃料についての記事、トリプルネガティブ乳癌のマーカーについての記事がありました。


2014年12月8日

2014-12-11 00:30:46 | 

アルツハイマー病を処置するための新しいアプローチ: 乾癬薬
New approach for treating Alzheimer's disease: Psoriasis drug



現在、世界でおよそ3500万人が認知症で苦しむと推定されており、2050年までに1億3500万人に増加すると予想される。ドイツ・アルツハイマー病アソシエーション(the German Alzheimer's Association; DAlzG)の推定によれば現在のドイツには約150万人の認知症患者が在住し、その約100万~120万はアルツハイマー病である。

ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ(JGU)メディカル・センターの精神医学・精神療法学部の研究者は、アルツハイマー病の治療法に今後どのような可能性があるかについての新しい洞察を得た。その洞察とは、乾癬の治療薬として承認されている薬が、アルツハイマー病の脳でADAM10という酵素の活性を刺激するということである。ADAM10は脳機能障害のようなアルツハイマー病に関連する影響を抑制することが可能であり、したがって学習と記憶容量を改善できる可能性があるという十分な基礎研究のエビデンスがすでに存在する。

それと関連する研究結果が最近Neurology誌で発表された。



最も広く見られる遅発性アルツハイマー病の原因に関するコンセンサスは依然として存在しないが、セクレターゼという酵素の活性が役割を果たすことが一般に認められている。セクレターゼは細胞膜上に存在し、タンパク質を切断してその断片を細胞外空間に放出する。

アルツハイマー病ではベータセクレターゼによるアミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein; APP)の切断が増加して、アミロイドβペプチドが形成される。これらのペプチドは凝集して神経細胞を傷つけ、患者の脳で蓄積する。いわゆるアルツハイマー病プラークの主要な構成要素である

アルファセクレターゼのADAM10は、ベータセクレターゼと競合する。アルファセクレターゼはアミロイドβペプチドが形成されないようにアミロイド前駆体タンパク質を切断し、代わりに神経細胞を保護する成長因子「APPsα」が分泌される。

マインツ大学メディカル・センターのKristina Endres博士とFalk Fahrenholz教授は開始点としてこの情報を取り入れ、アルツハイマー病の治療薬に新しいアプローチを取り入れることを決めた。彼らは精神医学・精神療法学部のKlaus Lieb教授とAndreas Fellgiebel教授、そしてロストック神経変性疾患ドイツセンター(DZNE)のStefan Teipel教授の研究チームと協力して、アルツハイマー病患者における乾癬薬であるアシトレチン(acitretin)の経口投与が脊髄液で高レベルのAPPsαにつながることを証明した。これはアシトレチンによるアルファセクレターゼADAM10の活性の刺激と解釈される。これはアルツハイマー病プラークの蓄積の減少に結びつくだろう。アルツハイマー病の動物モデルではADAM10が学習と記憶容量を強化することも示された。

アシトレチンの忍容性は十分に高いが、この薬が認知パフォーマンスに与える影響と実際に長期間の治療法として使えるかどうかを確認するため、より大規模な臨床的な試験を実施する必要があるだろう。

記事出典:
上記の記事は、ヨハネス・グーテンベルク大学マインツによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.アシトレチンで治療したアルツハイマー病患者における脳脊髄液中のAPPsαレベルの増加。

Neurology、2014年12月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141208093246.htm

<コメント>
乾癬(psoriasis)で使われるレチノイドのアシトレチン(acitretin)が脳のADAM10の活性を刺激してアルツハイマーに効果があるかもしれないという記事です。

ベキサロテンは再現性がないとされましたが、6月にはタミバロテンとRXRアゴニストの組み合わせについての熊本大学の発表がありました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24916544
Cooperative Therapeutic Action of Retinoic Acid Receptor and Retinoid X Receptor Agonists in a Mouse Model of Alzheimer's Disease.

セロトニンがAβを抑制するという記事もありました。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/ef9515cea0ae9855cd989a4b896360c1
以前の研究ではセロトニンがアミロイド・ベータの産生を低下させることが示された。
抗うつ剤(antidepressant)のシタロプラム(citalopram)は既存のプラークの成長を止め、新しいプラークの形成を78パーセント低下させた。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/ad06785ebedd4298b25fb41fb68eee65
ビタミンD→TPH2→脳のセロトニン
ビタミンD─┤TPH1→腸のセロトニン
ビタミンD↓→TPH2↓TPH1↑→脳のセロトニン↓腸のセロトニン↑