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皮膚を簡単にドーパミンニューロンに変換する方法が発見される

2016-01-03 06:06:54 | 
Discovery puts designer dopamine neurons within reach

Parkinson's disease researchers discover a way to reprogram the genome

December 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151207081821.htm


(ニューロンにのみ見られるタンパク質(赤色)、ドーパミンを合成する酵素(緑色)、細胞のDNA(青色)を示した画像)

数十年に及ぶパーキンソン病の研究における『とらえどころのない聖杯/究極の目的elusive holy grail』は、不完全なドーパミンニューロンを修復して患者に戻し、ドーパミンを再び作り始めるための方法を見つけることだった
その目的のために研究者たちは胎児由来の材料materialを使ってきたが、得るのが難しく、質も不安定なものだった
胚性幹細胞embryonic stem cellsは途方もない革新tremendous innovationの象徴ではあったが、
幹細胞からドーパミンニューロンを作るのは長いプロセスを必要とする割に成功する割合は少ないa long process with a low yield

これらの問題から、研究者は皮膚のような簡単に得られる細胞を通常脳内に隠れているドーパミンニューロンへと変換する方法を開発する努力に迫られてきた
しかし、それも十分な量のニューロンを得るのは難しかった

今回ニューヨーク州立大学バッファロー校Jacobs School of Medicine and Biomedical Sciencesに所属するパーキンソン病の研究者は、そのような細胞変換の障害を乗り越える方法を発見し、皮膚の細胞からドーパミンニューロンへの変換を強化する方法を開発した
彼らが言うには、それは同時にあらゆる細胞を研究する科学者のやり方を変化させる深い意味を持つという


細胞の『門番』
A cellular 'gatekeeper'

Nature Communicationsで12月7日に発表された新たな研究は、転写因子であるp53が『門番』として働くという発見を中心に展開するrevolve around

「我々はp53が細胞内の『現状the status quo』を維持しようと努力することを発見した
p53はある細胞タイプから別のタイプに変化することから守っている」
生理学部と生体物理学部の教授である首席著者のJian Feng, PhDはそのように説明する

「p53は門番の一種として働き、細胞のタイプが変化しないように防いでいる
我々がp53の発現を低下させると興味深いことが起きた
線維芽細胞を非常に簡単にニューロンへ再プログラムすることが可能になったのである」

この進歩は基礎細胞生物学にとって重要な意味を持つとFengは言う

「これは細胞のタイプを変化させる一般的な方法generic wayである
変化への障壁を取り除けば細胞をソフトウェアシステムとして処理できることを我々の研究結果は立証する
どの遺伝子のスイッチがオン/オフに切り替わるのかを制御する転写因子の組み合わせを明らかにできれば、どのようにしてゲノムが読まれるのかを変化させることが可能である
我々はより素早くこのシステムをいじるplay withことが可能になり、体内の組織と似たような組織を作ることが可能になるかもしれない
そう、脳組織でさえ」

「人々は物事が階層的に進むと考えるのが好きであり、人間が一つの細胞から始まってだんだん40兆の細胞からなる大人へ成長すると考えるが、我々の研究結果はそのような『階層』がまったく存在しないことを証明する
我々の細胞は全てが最初の細胞と同じソースコードを持ち、このコードが異なった読まれ方をすることで体を構成するあらゆるタイプの細胞が作られる」


細胞を変換して新しいドーパミンニューロンを作る
Generating new dopamine neurons via cellular conversion

タイミングが彼らの成功の鍵だった
Fengは言う
「ゲノムの複製準備が全て整ったことを保証ensureするために細胞が環境を感知しようとするまさに直前、
細胞周期におけるそのようなポイントが『ゴールデンアワー/prime time』であることを我々は発見した」

※prime time: 一日で最も視聴率の高い時間

細胞周期のまさにその時間にゲノムの門番であるp53を抑制することによって、彼らは以前の研究で発見されていた転写因子の組み合わせ(Ascl1, Nr4a2, Lmx1a, miR-124)を使って皮膚細胞を容易にドーパミンニューロンへと変えることが可能になった
これらの操作はDNAを修飾して脱メチル化する酵素であるTet1の発現をオンに切り替え、ゲノムの読み方を変化させる

http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=ASCL1
>This protein plays a role in the neuronal commitment and differentiation and in the generation of olfactory and autonomic neurons.
(このタンパク質はニューロンのコミットメントと分化に関連する)

http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=NR4A2
>Mutations in this gene have been associated with disorders related to dopaminergic dysfunction, including Parkinson disease, schizophernia, and manic depression.
(この遺伝子の変異はドーパミン作動性の機能不全に関する疾患と関連する)

http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=LMX1A
>This gene also plays a role in the development of dopamine producing neurons during embryogenesis. Mutations in this gene are associated with an increased risk of developing Parkinson's disease.
(この遺伝子はドーパミン産生ニューロンの発達に関与する)

「我々の方法は以前開発されたものよりも早く、そしてはるかに効率的である」
Fengは言う

「これまでの方法では2週間かかって5%のドーパミンニューロンを作成するのが最高だったが、
我々の方法は10日で60%のドーパミンニューロンを得ることができる」

研究者は多くの実験を実施し、これらのニューロンが中脳ドーパミン作動性ニューロンとして機能することを立証している
パーキンソン病で失われるのはこの種のニューロンである

この発見により研究者は患者それぞれに特異的なニューロンを試験管内で作成し、脳内へ移植して壊れたニューロンを修復することができるようになる
それはまたパーキンソン病の新たな治療法を効率的にスクリーニングするために使うことも可能である


OPEN
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10100
Cell cycle and p53 gate the direct conversion of human fibroblasts to dopaminergic neurons.
細胞周期とp53はヒト線維芽細胞からドーパミン作動性ニューロンへの直接変換をゲート制御する

線維芽細胞から誘導ドーパミン作動性ニューロン/induced dopaminergic (iDA) neurons等への直接変換は、細胞運命の可塑性を実証する
これらの比較的早い変換の効率の低さは、動的な障壁が存在して細胞アイデンティティを保護していることを示唆する

今回の研究で我々はp53の抑制を細胞周期のG1での停止ならびに適切な細胞外環境と組み合わせることで、転写因子とマイクロRNA(Ascl1, Nurr1, Lmx1a, miR-124)によるヒト線維芽細胞からiDAニューロンへの分化転換transdifferentiationの効率を著しく増大することを示す

この変換はTet1依存的である
なぜなら、G1停止かp53ノックダウンまたは再プログラム因子発現は相乗的にTet1を誘導するからである

Tet1ノックダウンはこの分化転換を無効化するが、Tet1過剰発現は変換を促進する

iDAニューロンは中脳ドーパミンニューロンのマーカーを発現し、活発にドーパミン作動性の伝達をする

我々の結果はこのような動的な障壁を乗り越えることで非常に効率的なエピジェネティック再プログラム化を全般的に可能にし、
パーキンソン病の研究と治療に役立つ患者特異的な中脳ドーパミンニューロンを生成するであろうことを示唆する



関連サイト
http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/31255
ヒト繊維芽細胞から機能を持った誘導神経(iN)細胞を作れることが、3つの研究により実証された。
Pangたちは、Ascl1(別名Mash1)、Brn2(別名Pou3f2)、Myt1lという3つの転写因子の組み合わせが、ヒト胚性幹細胞のニューロンへの分化を著しく促進することを明らかにしている。
Caiazzoたちは、Mash1、Nurr1(別名Nr4a2)、Lmx1aという3種類の転写因子の混合物を使って、マウスとヒトの出生前繊維芽細胞および成体繊維芽細胞を、機能を持ったドーパミン作動性ニューロンへと変換している。
Yooたちは、miR-9/9*とmiR-124をヒト繊維芽細胞で発現させると、機能を持ったニューロンへの変換が起こり、この過程は神経発生を誘導する転写因子をさらにいくつか加えることで促進されることを明らかにしている。

http://dx.doi.org/10.1038/476158a
Regenerative medicine: Bespoke cells for the human brain

References
1.Pang, Z. P. et al. Nature 476, 220–223 (2011).
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature10202

2.Caiazzo, M. et al. Nature 476, 224–227 (2011).
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature10284

3.Yoo, A. S. et al. Nature 476, 228–231 (2011).
http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nature10323



関連サイト
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2011/kr7a43000009logj.html
慶大、皮膚の細胞から2週間で神経幹細胞を作成することに成功



関連サイト
http://www.med.keio.ac.jp/gcoe-stemcell/treatise/2012/20130328_01.html
miR-124はPTBを標的として選択的スプライシングを介して神経細胞への分化を誘導する
 

ヒトのアストロサイトの機能が初めて調査される

2016-01-02 06:49:45 | 
Brain function: First look at how astrocytes function in humans

December 10, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151210124540.htm



脳内で起きるほとんどすべてのことは、アストロサイトがなければ失敗するだろう
この星形をしたグリア細胞は、シナプス形成、神経組織修復、血液脳関門の形成において重要な役割を演じることが知られている
しかし、この神経組織をサポートする細胞についてマウスでのデータは何十年分も存在するが、それらの実験がヒトの生物学に対してどれほどの関連があるのか(そして潜在的な治療法は成功しうるのか)は未解決の問題open questionである

Neuron誌で12月10日に発表された研究で、スタンフォードの科学者はヒトとマウスのアストロサイトを機能的かつ分子的に初めて比較した
それによると、遺伝子の85%から90%は同様であるもののヒトのアストロサイトは独特の遺伝子を持ち、神経伝達物質であるグルタミン酸に特に異なる反応を示すという
これはおそらく、成人/成体のステージではヒトのアストロサイトはマウスのそれとは対照的に、ニューロンの活性を感知してそれに応じて機能を調整するのが得意であるということを意味する

「我々はヒトのアストロサイトの独特な特性を理解し始めたばかりである」
スタンフォード大学医学部の神経生物学でpostdoctoral scholarであり筆頭著者のYe Zhangは言う

「我々はヒトのアストロサイトのみに排他的に発現する何百もの遺伝子を発見した
将来の研究でさらなる生物学的な違いが明らかになるだろうwill
この研究は潜在的に生物学的な疾患におけるこれらの細胞の役割についての我々の認識を助ける」


ヒトのアストロサイトについての研究は多くの問題に直面する
例えば『アクセスaccessに関連する問題』があり、生きた組織のサンプルは脳腫瘍またはてんかんの手術や胎児組織から得なければならない
『精製purificationについての問題』もあり、アストロサイトを他の細胞から分離すると頻繁に死ぬため多くの実験が失敗に終わる


Zhangと、共著者の大学院生graduate studentであるSteven Sloan、そして学部の指導者mentorである首席著者のBen Barres教授は、アストロサイトを単離して生きたまま培養し続けるために抗体を使ったプロトコルを開発してこの技術的な課題を乗り越えた
この方法により、マウスだけでなく膠芽腫glioblastomaのような脳腫瘍やてんかん患者のアストロサイトを健康な脳組織と比較することも可能になった
マウスの研究からこれらの疾患においてアストロサイトは非常に反応的reactiveであることが知られていたが、その意味は不明のままだった
今回の研究を通じて、そのように活性化している間に発現するヒトの『良い遺伝子』と『悪い遺伝子』による影響が解剖されてparsed out明らかになり始めた


もう一つの驚くべき発見は、アストロサイトには二つの異なるステージ(前駆体progenitorと成熟体mature)があり、早いステージのアストロサイトと脳腫瘍はお互いに非常に良く似ているということである
これはグリア細胞を源とする脳腫瘍の細胞を強制的に『成熟』した状態に移行させ、したがって分裂できないようにするという新たな治療法の可能性をもたらす
著者はこの発見が胎児組織を用いることなくして不可能だっただろうと記している

「そのような知識は胎児組織へのアクセスなしでは得られなかっただろう」
Zhangは言う
「我々はただ単にマウスの脳を研究するだけではヒトの脳と神経発達的な疾患の生物学を推定することはできないのである」

Zhangと彼女の同僚は今回開発した新しい方法により、アルツハイマー病やALS、脳卒中、脳外傷、自閉症、統合失調症など様々な疾患におけるヒトのアストロサイトの独特の性質をすぐに調べ始めたいと考えている


http://dx.doi.org/10.1016/j.neuron.2015.11.013
Purification and characterization of progenitor and mature human astrocytes reveals transcriptional and functional differences with mouse.



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141010083859.htm
マウス脳卒中後の線条体アストロサイトにおけるNotch1シグナル低下は神経発生に必須である

http://dx.doi.org/10.1126/science.346.6206.237
A latent neurogenic program in astrocytes regulated by Notch signaling in the mouse.
 


アストロサイトはAβには近づかない

2016-01-01 06:07:34 | 
Geometric study of brain cells could change strategies on Alzheimer's

December 9, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151209091357.htm

バルセロナ自治大学の研究者はマサチューセッツ総合病院(ボストン)と協力して、
銀河や素粒子間相互作用の研究に用いられる数学モデルを応用することでアストロサイトの空間的な配置を分析した
アストロサイトはニューロンが正常に機能するために必須の脳細胞である
この研究はPNASで発表される


科学者の観察では、アストロサイトはアミロイド/Aβプラークによって押し返されるrepelledように見えた
アミロイドプラークはアルツハイマー病の発症と関連があり、いくつかの治療戦略はその形成を減らして除去することを目指している
これまで研究者たちはアストロサイトがアミロイドプラークに向かって移動し、それを貪食すると考えていた
そのため、アストロサイトの活性化はアルツハイマー病に対する優れた治療法になる可能性があるとされていた
しかしながら、アストロサイトの空間配置の分析では正反対を示し、アストロサイトはプラークによって押し返されるようである

「この発見は非常に重要である
なぜなら、脳細胞自体によるアミロイドプラークの除去は
現在開発中のアルツハイマー病の治療法として重要な戦略の一つだからである
ゆえに、どの細胞がプラークを除去できるのか、またはできないのかを明らかにすることは効果的な治療法の開発には不可欠である」
UAB神経科学研究所のElena Galeaはそのように説明する

研究者はアストロサイトとアミロイドプラークが取りうる相対位置を説明するために、それらの間の相互作用を形作る力を明らかにしようと分析を始めた

研究者は統計物理学の技術を借りることにした
統計物理学とは、例えば星同士が相互作用する力を元に銀河の進化を決定するための学問である
今回は銀河と星の代わりにアルツハイマー病マウスモデルの脳内にいるアストロサイトの三次元画像を分析した
この分析でアストロサイトはお互いに押し返し、アストロサイトはアミロイドプラークによって押し返されることが明らかになった
したがって、これらの反発力repulsionの間のバランスはアストロサイトの『領域からなる組織territorial organisation』を維持し、
プラークが大量に存在するとアストロサイトに空間的な緊張spatial tensionを誘導する


Elena Galeaによると、おそらくこの研究で最も重要な情報は「アルツハイマー病研究者の推測に反して、アストロサイトはこの組織organisationを壊してアミロイドプラークに向かって動いて貪食することができず、むしろプラークから少し離れるのである」

にもかかわらず、アストロサイトはプラークが形成される際に何かを『感じる』に違いないという
なぜなら、形成時にアストロサイトはその特徴的なタンパク質であるGFAPをより多く作るからである
「このことは、アストロサイトがアミロイドプラークの形成に対して
位置の移動ではなく機能を調整することにより反応している可能性を意味する」
とGaleaは結論する

※神経膠原線維性酸性蛋白質/glial fibrillary acidic protein (GFAP): アストロサイトに特異的な中間径フィラメントを構成するタンパク質で、アストロサイトの星状の形態を維持する細胞骨格として働く


http://www.pnas.org/content/112/51/15556
Topological analyses in APP/PS1 mice reveal that astrocytes do not migrate to amyloid-β plaques
APP/PS1マウスにおける位相幾何学的な分析により、アストロサイトがアミロイド-βプラークに向かって移動しないことを明らかにする


Abstract
アルツハイマー病患者のアミロイドβプラークの周囲にGFAP免疫陽性アストロサイトがクラスター化していることから、プラークはアストロサイトを引き寄せるという憶測が広まっていた
しかし最近の研究ではアストロサイトが損傷部位において動かないstay put in injuryことが示唆されている

今回我々はアストロサイトがプラークへ移動するかどうかを再調査する
我々はAPP/PS1マウスと野生型の同腹仔littermateから二光子顕微鏡で得られた生体三次元画像におけるアストロサイトのトポロジーtopologyを調査するため、定量空間分析ならびにコンピュータによるモデル化を用いた

※topology: 位相幾何学、トポロジー。局所解剖学。配置

野生型マウスでは

皮質アストロサイトのトポロジーは、限られたスペースで硬い球状の液体a liquid of hard spheresがお互いを排除するというモデルに適合した

プラークは非常に大量に存在する場合を除いてはこの配置arrangementを妨害しなかったが、
局所的には、プラーク周囲の三段目に位置するアストロサイト/the astrocytes located in three tiers around plaquesのわずかな外側への移動を引き起こす

これらのデータは、プラークによるニューロピルneuropil損傷に対してアストロサイトが主に表現型を変化させることにより応答することを示唆する
表現型の変化は、ゆえに機能の変化につながる
位置の変化ではない

※ニューロピル/neuropil: 神経網。ニューロンの軸索や樹状突起、グリア細胞などの突起が互いに入り組んでいる部分



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/7c164e3a90679c635d0d2d5aaf92717a
ミクログリアは放出された脂質をTREM2によって感知してアミロイドβの周りに集まる



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151123201933.htm
Aβは血管に外骨格を形成してアストロサイトと血管を分離させ、認知症の症状を引き起こす



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151124082233.htm
アストロサイトは乳酸を生成し、ニューロンがそれを利用する
 

神経変性を止めるための新たな手がかり

2015-12-30 06:34:32 | 
New clues to halting nerve degeneration

December 10, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151210124557.htm

ニューロン変性とニューロン間コミュニケーションの喪失につながるメカニズムについての発見は、
パーキンソン病やアルツハイマー病のような神経変性疾患の治療に将来つながる可能性がある

ノッティンガム大学の科学者は、ニコチンアミドモノヌクレオチド/nicotinamide mononucleotide (NMN) という小さい分子が
軸索axonというニューロンの突起processの内部で一連の破壊反応を引き起こすことを発見した

Cell Reports誌で発表された今回の研究は
大学の生命科学部のLaura Conforti博士と博士課程学生/PhD studentであるAndrea Loretoを中心として実施されたものである


ニューロンは通常とは異なるextraordinary高度に区画化されたcompartmentalised細胞であり、体内の他の細胞に軸索を通して電気信号によるシグナルを伝える細胞である
軸索はとても長く細長い突起projectionで細胞容量の99%までを構成し、その繊細な形と重要な機能により、加齢と関連する様々な神経変性疾患において早くから起きる変性に対して軸索は非常に脆弱である
(神経変性疾患とは例えばパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、外傷性神経損傷traumatic nerve injuriesなど)
変性は神経細胞のお互いのコミュニケーションや他の細胞への情報伝達を妨げ、しばしば症状を引き起こす

※運動ニューロン疾患/motor neuron disease (MND): 上位運動ニューロン(大脳~橋,延髄,脊髄)と下位運動ニューロン(橋,延髄,脊髄~筋肉)が選択的に変性脱落して神経膠細胞が増殖する疾患群。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方に障害を生じる運動ニューロン疾患。MNDがALSのことを指す場合もある


ノッティンガムの科学者は以前ニコチンアミドモノヌクレオチド/nicotinamide mononucleotide (NMN) について調べて発表している
NMNはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド/nicotinamide adenine dinucleotide (NAD) の前駆体で、NADは補酵素/コエンザイムであり酵素の機能を『助ける』ための分子である
あらゆる生きた細胞に存在し、細胞のエネルギーを作るために不可欠である
研究では培養したニューロンとゼブラフィッシュによる急激な神経損傷acute injuryならびに神経毒性モデルを使い、NMNが軸索の変性を開始することが示された

 NMN→軸索変性

以前の研究を元に、今回の研究では
損傷した軸索においてNMNが自然免疫系に関与するSARM1タンパク質とともに働き、SARM1が軸索変性において重要な役割を演じることを実証する
SARM1は一連の反応を引き起こしてカルシウムを有害なレベルまで上昇させ、軸索を断片化する

 NMN→SARM1→軸索変性

新たな研究でも再び培養ニューロンとゼブラフィッシュモデルを使い(後者はMartin Gering博士と協力して作成した)、
最新の顕微鏡技術をSchool of Life Sciences Imaging (SLIM) 研究所のTim Selfのアシストで利用した

Laura Conforti博士は言う
「この研究はNADの代謝と神経変性との間の関係について、我々の理解に新たな層を加える
NMNはこれまで単なるNADの前駆体という認識だったが、
我々はそのシグナルを伝達する役割を明らかにした」

「NMNとそれが引き起こす下流のシグナルの制御により
軸索変性が根本的な原因の神経学的疾患において予想もされなかった治療の可能性が生まれるかもしれないことを今回の研究は示唆する」

「臨床的な応用にはまださらなる研究を必要とするが、
我々の発見は軸索の死につながるカスケードで重要なプレーヤーを明らかにした
この段階は治療の最も有望な標的である」


OPEN
http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.11.032
Wallerian Degeneration Is Executed by an NMN-SARM1-Dependent Late Ca2+ Influx but Only Modestly Influenced by Mitochondria
ウォラー変性はNMN-SARM1に依存的なカルシウムイオンの遅れた流入によって遂行されるが、ミトコンドリアによる影響は限られたものに過ぎない


※ウォラー変性/wallerian degeneration: 神経線維が切断された時に、その末梢側の線維に起こる変性。軸索がふくらんで数珠状になって断片化し、中は神経原線維で満たされる

※ニコチンアミド ホスホリボシルトランスフェラーゼ/nicotinamide phosphoribosyltransferase (NAMPT): NAD+生合成サルベージ経路の律速酵素。ニコチンアミド/nicotinamideをニコチンアミドモノヌクレオチド/nicotinamide mononucleotide (NMN) に変換する

※ホスホリボシルトランスフェラーゼ/phosphoribosyltransferase: 5-ホスホ-α-D-リボシル-ピロリン酸(PRPP)から、D-リボース-5-リン酸(RP)を、プリン・ピリミジン・ピリジンへ転移させる酵素。特異的なホスホリボシルトランスフェラーゼは、例えば『ウラシル ホスホリボシルトランスフェラーゼ』(ウラシル+PRPP⇔UMP+ピロリン酸)のように転移される側の名称が前に付く

※5-ホスホ-α-D-リボシル-ピロリン酸/ 5-ホスホリボシル1-ピロリン酸(PRPP):ペントースリン酸経路の中間体であるリボース5-リン酸から作られる。リボース5-リン酸の部分を転移する『ホスホリボシル供与体』などとして働く


Highlights
・軸索断片化にわずかに先行してshortly preceding、NMNは軸索内のカルシウムイオン/Ca2+の上昇を刺激する
・NMNはCa2+上昇と軸索分解を誘発するためにSARM1を必要とする
・NMNにより誘発される軸索Ca2+上昇の主な源は細胞外環境である
・ミトコンドリアの活発な変化dynamic changesは、NMNにより誘発される変性において原因ではない


Summary
軸索の損傷により、NADを生合成する酵素のNMNAT2が急速に枯渇し、その基質であるNMNのレベルが高くなる

我々は以前ウォラー変性においてNMNが重要な役割を果たすことを提案したが、
その下流のイベントならびに他のメディエータとの関係は不明のままである

今回我々は、軸索切断axotomyが後の軸索内Ca2+上昇につながり、
それは薬理学的または遺伝学的なNMNレベル低下により無効化されることをin vitroとin vivoで示す

NMNがCa2+流入と軸索変性を刺激するためには、変性促進タンパク質pro-degenerative proteinであるSARM1を必要とする

NMN合成の阻害ならびにSARM1の消去はCa2+上昇を阻害して軸索を完全に保ったが、
早期に起きるミトコンドリアの活発な変化を防ぐことはできなかった

さらに、脱分極したミトコンドリアdepolarizing mitochondriaの存在は、ウォラー変性の生じる割合を変化させない

これらのデータは
NMNとSARM1が軸索内Ca2+上昇と軸索断片化につながる共通の経路で作用するが、ミトコンドリアの機能不全はこの経路と無関係である/dissociate mitochondrial dysfunctions from this pathwayことを明らかにし、
そして治療標的としてどの段階が最も効果的になる可能性があるのかを示すものである
 

脳内のYAPが不十分だと炎症が生じてBBBが破綻する

2015-12-28 06:06:21 | 
Not enough YAP means too much deadly inflammation inside the brain

December 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151222113152.htm

YAPというタンパク質は心臓や肝臓の発達を適切なサイズになるように助けることで知られているが、脳内ではサイズの調節とは異なるもののそれと等しく重要な『炎症の制御を助ける』という仕事を持つ

オーガスタ大学ジョージア医科大学の科学者は、脳内でYAP(yes-associated protein)にとって重要なのはサイズではないことを示した
YAPはむしろ星状膠細胞/アストロサイト (astrocyte) が過剰に反応性にならないようにして、スイッチを根本的に入れることを妨げる
アストロサイトは一般的にニューロンを保護して栄養を与える脳の細胞である

「YAPは通常は臓器のサイズを制御するが、脳内でのYAPはアストロサイトの機能に影響し、それは次に保護的な血液脳関門の機能の調節を助ける」
ジョージア医科大学で発達神経生物学者でありワイス特任教授/Weiss Research ProfessorでもあるWen-Cheng Xiong博士は言う


体内においてYAPは細胞死と増殖を調節することにより大半の臓器のサイズの制御を助けているが、
Xiongと彼女の同僚たちは発達中の脳内でのYAPがSOCS3(サイトカインシグナル伝達抑制因子/suppressor of cytokine signaling 3)を誘導する重要な因子であることを発見した
SOCS3は名前が意味するように炎症を引き起こす免疫細胞を抑制する

 YAP→SOCS3─┤炎症

Cerebral Cortexに掲載された今回の論文で責任著者/corresponding authorのXiongによると
頭蓋骨の閉じた範囲において炎症は致死的ですらあり、炎症の結果として生じる膨張と圧力がニューロンを破壊するという

Xiongは、出血性の卒中や水頭症hydrocephalus(損傷に応じて頭蓋内に液体が蓄積する)のような病態においてYAPをともなう問題が要因でありうると推測している
実際彼女の研究においてYAPを持たないマウスも一種の水頭症を生じ、最初のXiongの推測ではYAPは脳のサイズの制御も助けると思われた

しかしながら、彼女たちが大きくなりすぎた臓器、つまり脳を解剖したところほとんどが液体であり、
分析するとYAPを持たないマウスはSOCS3を誘導できないことが明らかになった
「ブレーキがなくなり、過剰な炎症が起きる可能性がある」という

 YAP↓→SOCS3↓─┤炎症↑


脳内のYAPは、アストロサイトと神経幹細胞/neural stem cellの両方で発現している
幹細胞は脳内のアストロサイトを作るのを助け、それよりは少ないがニューロンも作る

Xiongたちの研究により、YAPが存在しないとアストロサイトは過剰に反応性hyper-reactiveになり、
『アストログリオーシス/astrogliosis』という状態を作って、壊れやすい血液脳関門を強めるどころか弱めることが明らかになった

※gliosis: グリオーシス、神経膠症。外傷や炎症などの病変により主に反応性星状膠細胞が増殖する病態

血液脳関門は基本的にきつく編まれた内皮細胞の層であり、脳内の血管を裏打ちしている
その上に単一の平滑筋細胞/周皮細胞の層があり、外側がアストロサイトの層である
脳と脊髄の血管における独特な相対的配置configurationが微細なフィルターを形作り、血液から脳組織にアクセスできる物質を制限する

「出血性卒中hemorrhagic strokeでは血液脳関門が完全に破綻し、いったん壊れるとすべてが変わる」

通常は脳内にアクセスできない細胞タイプと因子が、いつも通りの細胞タイプと物質との間の関係を混乱させる
一つの結果として血液からの液体も脳組織に入って圧力をかけ、混乱した会話につながる
ニューロンは死に始め、傷ついた組織が形成され、そしてより多くのアストロサイトが作られる

研究では、YAP遺伝子が脳内から削除されたマウスではいくつかのSOCSタンパク質が低下していた
SOCS3とYAPとの間の関係を検証double-checkするために
研究者がYAPをノックアウトしたアストロサイトでSOCS3を選択的に発現させたところ、やはり炎症が低下することを発見した

 [アストロサイト]YAP↓→SOCS3↑↑↑─┤炎症↓

YAPを持たないマウスでは炎症が血管に集中focus onしているようにも見えた
研究者が染料dyeのトレーサーを注入したところ、通常は血液脳関門を越えない染料が
アストロサイトにYapを持たないマウスの脳内では容易に貫通した

 [アストロサイト]YAP↓→SOCS3↓─┤炎症↑─┤血液脳関門↓


Xiongは水頭症の新生児の血管を調べて、YAPの変異の徴候がないかを調べて研究を追求したいと考えている
YAPの変異は肝臓癌を引き起こすことが知られている
肝臓癌では細胞は増殖を続け、YAPを活性化させるHippoシグナル伝達経路が癌に対抗するその潜在性のために標的とされている


http://dx.doi.org/10.1093/cercor/bhv292
YAP Is a Critical Inducer of SOCS3, Preventing Reactive Astrogliosis.
YAPは重要なSOCS3の誘導因子であり、反応性アストログリオーシスを防ぐ



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Yap1→Cxcl5→MDSC



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http://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150316121925.htm
YAP→IL-6, IL-8, CXCL1, CXCL2, CXCL3



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/894a889669389ffdec7915124f9ae0f8
脳内でMHCクラスI分子はインスリン-mTOR経路を介してシナプス数を調節する



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/0fda8922932df875485256fcf8e88dd6
脳内に漏れた血液のフィブリノゲンが多発性硬化症を引き起こす
 

多発性硬化症とビタミンD不足の関連性についての説明

2015-12-16 06:06:06 | 
Supplement for myelin regeneration

December 7, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151207095956.htm


(赤が軸索、緑がミエリン鞘/髄鞘。
VDRを阻害するとミエリン再生は損なわれる(右図))

ミエリン鞘/髄鞘(ずいしょう)はニューロンの周りを覆うことで絶縁し、中枢神経系のインパルス伝導を加速する
通常、ニューロンが脱髄するとオリゴデンドロサイトoligodendrocyteの前駆細胞/OPCがニューロンに向かって移動し、ミエリンを作るオリゴデンドロサイトに分化して成熟する
しかしこのプロセスは年を取るとともにだんだん非効率的になり、そして多発性硬化症の患者は絶えずミエリン鞘を失う(脱髄demyelination)

核内受容体のレチノイドX受容体γ (RXRγ) はOPCの分化と再ミエリン化を促進することが知られている
核内受容体は一般にペアになってはたらくため、
ケンブリッジ大学のRobin Franklinを中心とする研究チームは
RXRγの結合パートナーの同定ならびに再ミエリン化におけるその役割の調査を開始した

OPCにおいてRXRγはビタミンD受容体/VDRを含む複数の核内受容体と結合し、オリゴデンドロサイトを成熟させる
VDRを阻害するとOPCの分化は損なわれ、軸索を再ミエリン化する能力はex vivoで低下した
対照的に、ビタミンDはVDRに結合して活性化し、OPCの分化を加速した

ビタミンDの低レベルは多発性硬化症の発症と関連付けられてきた
今回の発見は、ビタミンDがミエリン鞘の再生regenerationを制御することにより疾患の進行にも影響する可能性を示唆する
ミエリン鞘の再生は症状を軽減する重要な段階であり、これは患者が年を取るにつれて欠けていくfail
したがって、VDRを活性化させる薬は、多発硬化症や他の脱髄疾患に苦しむ患者において再ミエリン化を促進することが可能であると思われる


http://dx.doi.org/10.1083/jcb.201505119
Vitamin D receptor–retinoid X receptor heterodimer signaling regulates oligodendrocyte progenitor cell differentiation.
ビタミンD受容体とレチノイドX受容体のヘテロ二量体によるシグナル伝達は、乏突起膠細胞前駆細胞の分化を調節する



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脳内に漏れたフィブリノゲンが多発性硬化症を引き起こす
 

自己免疫性てんかんのサブタイプ

2015-12-08 06:15:55 | 
Autoimmune epilepsy outcomes depend heavily on antibody type

December 4, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151204145916.htm

薬が効かないてんかんの原因は免疫の機能不全であることがだんだん認識されるようになっているが、
免疫系がどのようにして、そしてなぜ神経細胞を攻撃するのかはよくわかっていない

アメリカてんかん学会/American Epilepsy Society (AES) の第69回会議で発表される2つの研究では、
薬剤抵抗性のてんかん患者において様々なタイプの自己免疫応答がどのようにして著しく異なる応答をするのかについて調べている


トロント大学とウェスタン大学による研究は、すべての自己免疫てんかんが同じではない(少なくとも予後と治療への応答に関しては)というエビデンスを提供する
以前の研究で、細胞内タンパク質への自己抗体の存在は、細胞表面タンパク質への自己抗体のそれと比較して
予後の悪さならびに免疫療法への応答の悪さと関連することが示されている

この二つのグループに存在するかもしれない違いを調べるため、論文の著者は自己免疫てんかん患者9人の臨床データと脳波図electroencephalogram (EEG) データを分析した
その結果、3人から細胞内タンパク質のMa2を標的とする抗体が検出され、残りの6人からは細胞表面タンパク質のLGI1への抗体が検出された
抗Ma2抗体を持つてんかん患者は全員が(てんかん罹患後のある時点で)集中治療室/ICUに入った経験があり、さらに全員がてんかん重積状態status epilepticusを経験していた一方で、
抗LGI1抗体を持つてんかん患者でこのような状態が当てはまるのは6人中1人だけだった

※てんかん重積状態: てんかんが長く続くか(30分以上)、短い間隔で繰り返し起きる状態

抗LGI1の患者の主な懸念はてんかんだったが、抗Ma2の患者はさらにナルコレプシーやふるまいの変化のような神経的な問題を経験する傾向があった

抗Ma2の患者では3人中2人に癌性腫瘍cancerous tumorsが検出されたが、抗LGI1患者には1人も検出されなかった

どちらのグループも複数の薬を処方されていたにもかかわらずてんかんのコントロールが不良だったが、抗Ma2の患者は抗LGI1の患者よりも免疫療法に応答しなかった

「全体的に、抗Ma2抗体の患者は抗LGI抗体の患者よりも悪性の推移を示す
抗LGI1患者の大部分と抗Ma2患者の大部分はてんかんを抗痙攣薬anticonvulsant drugsでコントロールできなかったが、
免疫療法に応答する割合は抗LGI1患者の方が多かった」
トロント大学で神経学のレジデントresidentであるClaude Steriade, MDCMは言う


発表される2つ目の研究では、自己免疫てんかん患者の中には脳の手術が有益な場合があり、何に対する抗体かという抗体の種類は手術の結果outcomeには影響しないようだということが示唆される
スペイン・バルセロナのホスピタル・クリニックを中心とする研究チームは複数センターによる後向き研究を実施し、
薬剤抵抗性で免疫機能異常のてんかん患者11人の脳手術の結果outcomeを評価した

手術前、患者のそれぞれで様々な自己抗体が同定された
(抗Ma2抗体が2人、抗GADが5人、抗Huが1人、抗VGKC/voltage-gated potassium channelsが2人、抗LG1が1人、抗CASPR2が1人)

手術後のフォローアップで訪問した際、患者の5人はてんかんがなくなったかほとんどなくなっており、この5人はニューロンに関する様々な抗体を持っていた
(抗Ma2 1人、抗GAD 1人、抗Hu 1人、抗VGKC associated to GAD 1人、抗LG1 1人)


「手術療法は抗ニューロン抗体antineuronal antibodyと関連する薬剤抵抗性てんかんの患者において、てんかんの頻度を改善する
しかしそれは患者の少数であり、異なるアプローチがありうることから、これらの患者をよりうまく分類するガイドラインの必要性を示唆する
より多くの集団で結果を研究するために国際的な患者の登録が必要だろう」
著者の一人、バルセロナ・ホスピタルクリニックの教授でありてんかん専門医epileptologistのMar Carreño, M.D., Ph.D.は言う



関連サイト
http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2013/11/-lgi1.html
LGI1欠損マウスはシナプス伝達異常により生後2-3週間で致死性てんかんを必発し、
LGI1自己抗体を高値かつ単独で有するほぼ全ての患者が辺縁系脳炎と診断されていた



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/6b9481df85e3a016060c9384a78fbf77
抗NMDAR抗体は統合失調症や双極性障害を引き起こす可能性がある



<コメント>
ハンニバルでウィルが抗NMDA受容体脳炎に罹患していた

 

無痛症を再現する調合レシピを発見

2015-12-07 06:09:39 | 
Genetically modified mice reveal the secret to a painless life

Researchers have discovered the pharmaceutical recipe for painlessness

December 4, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151204090034.htm

生まれながらに痛みを感じることができない人が存在する
彼らはまれな遺伝子変異を持つが、この変異による影響を薬剤により再現しようとした試みは驚くほど成功していない

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン/University College Londonの研究者は
医学研究会議/Medical Research Council (MRC) とウェルカム・トラストの資金提供を受けて
ヒトと同じ変異を持つように修飾modifiedしたマウスで研究を行い、無痛painlessnessの処方/レシピrecipeを発見した


神経細胞の細胞膜にシグナルを伝えさせる『チャネル』は、神経系における電気的なシグナル伝達にとってきわめて重要である
2006年、ナトリウムチャネルのNav1.7が痛みを伝える経路において特に重要であり、Nav1.7が生まれつき機能しない人々は痛みを感じないことが示された
その発見以降Nav1.7の阻害剤が開発されてきたが、その効果は弱く、失望させるものだった

Nature Communicationsで発表された今回の研究で、
Nav1.7を持たないヒトとマウスは自然に生じるオピオイドペプチドレベルの産生も通常より高いことが明らかにされた

オピオイドが無痛に重要かどうかを調べるために研究者がNav1.7を持たないマウスにオピオイド拮抗薬のナロキソンを与えたところ、そのマウスは痛みを感じることが可能になった
研究者が次にNav1.7のまれな変異を持つ39歳の女性にナロキソンを投与すると、彼女は人生で初めて痛みを感じたという


「これまで10年間の薬の試験はかなり失望させるものだったが、
我々はついに、Nav1.7が本当にヒトの痛みに重要な要素であることを確認した」
首席著者のJohn Wood教授 (UCL Medicine)は言う

「これまで秘密だった成分ingredientは、昔からあるold-fashionedオピオイドペプチドであると判明した
我々は現在、低用量のオピオイドをNav1.7阻害剤と組み合わせる方法の特許を提出しているfiled a patent
これはまれな変異を持つ人々が経験するような無痛を再現するはずであり、
我々は既に遺伝子を修飾しないunmodifiedマウスでこのアプローチをテストして成功している」


広域broad-spectrumのナトリウムチャネル阻害剤が局部麻酔local anaestheticsとして使われているが、
それらは完全なしびれ感/麻痺numbnessを引き起こし、やがてover time深刻な副作用が生じうるために痛みの長期の管理には適さない
対照的に、機能するナトリウムチャネルNav1.7を生まれつき持たない人は、
副次的作用side-effectとしてまだなお痛みのない触覚を正常に感じ、匂いを感じることができないことが知られるのみである

モルヒネのようなオピオイド鎮痛剤は痛みの抑制には非常に効果的だが、長期の使用は依存性と耐性toleranceにつながる
体が薬に慣れるusedにつれて効果が弱くなり、同じ効果を得るために高用量が必要になる
副作用はより強くなり、最終的にまったく作用しなくなる

「Nav1.7阻害剤と組み合わせて使うことで、痛みを抑えるために必要とされるオピオイドの用量は非常に少なくなる」
Wood教授は言う
「Nav1.7が機能しない人々は低レベルのオピオイドを生涯作り続け、耐性を生じたり不快な副作用を経験することはない
我々はこのアプローチを2017年までにヒトでの臨床試験で調べたいと考えている」


今回の発見は『トランスジェニック』なマウスを使うことで可能になった
つまり、他の生物の遺伝子要素を持つように修飾したということであり、
この場合はヒトが痛みを感じるのを妨げる変異である

正確な生理学的実験により、トランスジェニックマウスの神経系には
同腹litterの仔で遺伝子が修飾されていないマウスと比べて、自然に生じるオピオイドが約2倍含まれていることが示された


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9967
Endogenous opioids contribute to insensitivity to pain in humans and mice lacking sodium channel Nav1.7.

Nav1.7の消去は遺伝子発現に深い影響を与え、
結果としてエンケファリンの前駆体であるPenkのmRNAならびにメチオニンエンケファリン(Met-enkephalin)が上方調節された

※エンケファリン/enkephalin: 5つのアミノ酸からなるペンタペプチドのメチオニンエンケファリン、ロイシンエンケファリンを含む4種類がある

関連サイト
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB
侵害受容に関わる一次知覚ニューロンに発現しているNav1.7の変異は、先天性無痛症(congenital insensitivity to pain, CIP)などに関わっている。
これまで知られているCIPを引き起こす変異はすべてNav1.7をコードする遺伝子の途中に終止コドンが挿入され、チャネルとしての機能を喪失することが分かっている[22]。

[22] "Sodium channelopathies and pain."


関連サイト
http://www.nanbyou.or.jp/entry/2351
先天性無痛症は遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー(HSAN)に属する疾患で、このうち
4型(先天性無痛無汗症:Congenital Insensitivity to Pain with Anhidrosis:CIPA)と
5型(先天性無痛症:Congenital Insensitivity to Pain:CIP)
が相当する。全身の温痛覚消失を主徴とする。CIPAでは全身の発汗低下を合併し、種々の程度の知能低下を合併することがある。
 

高脂肪食で脳のシナプスが減少する

2015-12-02 06:06:34 | 
High-fat diet prompts immune cells to start eating connections between neurons

November 23, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151123203118.htm


(Alexis M. Stranahan博士)

免疫細胞は通常の脳内ではせわしく動き回っているbustling
しかしジョージア医科大学の科学者によると、高脂肪食が肥満を引き起こすとそれは移動しなくなりsedentary、ニューロン間のつながりを破壊してしまうようだという

良い知らせもある
わずか2ヶ月の間低脂肪食に戻すだけで、少なくともマウスではこのような認知能力の低下傾向は体重が正常化するにつれて回復するのだという

「ミクログリアはシナプスを『食べる』
これは肥満におけるシナプス喪失と認知障害の一因である」
今回の論文の責任著者/corresponding authorでジョージア医科大学の神経科学者であるAlexis M. Stranahan博士は言う

「これはとても恐ろしいことだが、しかしこの状態は可逆的でもある
低脂肪食に戻せば、肥満が完全には解消しなくても
この脳内の細胞プロセスを完全に回復して認知能力を維持することが可能である」


問題は体内の過剰な脂肪から始まるように思われる
脂肪は慢性的な炎症を生じ、それはミクログリアを刺激して自己免疫応答を開始させる

脳内のミクログリアは体内のマクロファージのように脳内の廃棄物trashや感染病原体を取り込み、
内部の強い酸でそれらを排除get rid ofすることでニューロンの機能と健康をサポートするのを助けている
しかしマウスが肥満になるにつれて、ミクログリアは過食することに興味を持つようであるseem focused on overeating

「通常の脳内でミクログリアは常に動き回り、その小さな指fingersと突起processesを動かし続けている
肥満になるとそれらは動きを止める」
Stranahanは言う
「ミクログリアは全ての突起を引っ込めるdraw in all their processes
基本的にその場で移動しなくなり、そしてシナプスを『食べ』始める
ミクログリアがシナプスを食べ始めるとマウスの学習効率は低下する」


研究では正常なオスのマウスを調べた
グループの一つにはカロリーの約10%が飽和脂肪酸のエサを食べさせ、もう一つには脂肪が60%のエサを食べさせた
これらのエサは平均してon par、ヒトの「健康な食事」と「ファーストフード」に一致する

研究者たちは4週と8週、12週時点で、体重や摂食量、インスリン、血糖レベルなど様々な代謝状態を計測した
さらに学習と記憶のである海馬で、シナプス特異的に存在するタンパク質のようなシナプスのマーカーのレベルも計測した
このマーカーレベルはシナプスの数と相関する

彼らは炎症性サイトカインのレベルも計測した
これはミクログリアが作るもので、それらが活性化し始めたことを示す

4週時点では両グループのレベルは基本的に同じだった
8週で高脂肪食のマウスの方が太っていたが、他の計測値は正常だった
12週までに高脂肪食マウスは肥満になり、インスリン抵抗性は見られなかったが脳内のサイトカインレベルは上昇し、シナプスの数と機能を示すマーカーは減少した

この時点で、研究チームは高脂肪食のマウスの半分を低脂肪食に切り替えた
体重が正常に戻るまで2ヶ月かかったが、脂肪パッドfat padは通常のエサのグループよりも大きいままだった
(この脂肪層は将来太りやすくさせるとStranahanは言及する)
ほとんどのヒトと同様に、低脂肪食を維持したマウスは年をとるにつれて脂肪の蓄積が遅かった

一方で高脂肪食のままのマウスは太り続け、より炎症が悪化し、シナプスは失われたと彼女は言う
通常はシナプスの機能をモニターし、ミクログリアが動くのを助けているミクログリアの突起は、しなびて縮んだwitherままだった

シナプスからの入力を受けるニューロンの樹状突起棘dendritic spineも同様に高脂肪食で縮んだが、
低脂肪食によってミクログリアの突起processesと同様に回復した

Stranahanは今回の結果が有望であるという
肥満マウスの脳内では炎症サイトカインやTNF-αが上昇するが、これらを阻害する薬剤が既に関節リウマチやクローン病の治療に使われている
今回の研究結果は、それらの薬が新たな目的のために使えるかもしれないことを示す


肥満はミクログリアによる極端な破壊を生じるが、本来ミクログリアは概して識別力がありdiscriminating、ニューロンにとって役立つhelpful
例えば発達中のミクログリアは機能しないシナプスを刈り取るprune

発達中の脳は自己を改良しrefine、使っている必要なシナプスだけを保つ
脂肪はこの力dynamicを劇的に変化させる


http://dx.doi.org/10.1016/j.bbi.2015.08.023
Dietary obesity reversibly induces synaptic stripping by microglia and impairs hippocampal plasticity.
食事による肥満は可逆的にミクログリアによるシナプス剥離を誘導し、海馬の可塑性を損なう



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/a6ad95ba8371441ea0e406453e8bfaa8
ミクログリアはシナプス剥離によりシナプスを取り払い、ニューロンの発火を増加させ、脳細胞の生存を増強する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4dde5462dcc4bcf35207eca93752fdd6
Aβは年老いたマウスのミクログリアのEP2受容体の活性を増加させる
 

ケトン食がてんかんに効く理由はケトン体ではない

2015-11-30 06:06:59 | 
New diet provides hope for treating patients with drug resistant epilepsy

November 25, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151125083815.htm

ロイヤル・ホロウェイロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの科学者は、
てんかんが制御できない患者の治療を助けるために使うことが可能な特別な食品を同定した
Brain誌で発表された今回の研究結果は、ケトジェニック・ダイエットがどのような作用により薬が効かないてんかん患者の発作を抑えるのかについて明らかにする


てんかんは世界で5000万人が苦しむ疾患であり、てんかんと診断された患者の約3分の1が現在の治療法では適切にコントロールできないままである

イギリスの研究チームは、MCT(medium chain triglyceride; 中鎖脂肪)によるケトジェニック・ダイエットによって生じる『デカン酸decanoic acid』という特定の脂肪酸が強力な抗てんかん効果を持つことを明らかにした
ケトジェニック・ダイエットは脂肪が非常に多く、炭水化物を含む食品が少ない食事である

※MCT: 炭素数がC8からC14の中鎖脂肪酸からなる中性脂肪のこと。特にC10以下の脂肪酸から構成される脂肪酸は肝臓で消化されやすい


「ケトジェニック・ダイエットによって生じる脂肪を分析することにより、我々はデカン酸が現在てんかんに用いられる薬よりも優れており、さらに副作用も少ないかもしれないことを明らかにした」
ロイヤル・ホロウェイ生物科学校School of Biological Scienceの生物科学センターCentre for Biomedical Sciences
で教授のRobin Williamsは言う

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの神経学研究所で教授のMatthew Walkerは次のように付け加えた
「この発見により、我々はてんかん治療を著しく改善するであろう新たな処方を開発できるようになる
 これは子供から大人までのてんかんを管理するためのまったく新しいアプローチを提供する」

Williams教授は言う
「ケトジェニック・ダイエットの治療メカニズムはデカン酸という脂肪であり、
一般に信じられているようにケトン体の生成によるものではない
この発見により我々はケトジェニック・ダイエットの改善を進めることが可能になる
さらに、我々の発見はこのダイエットを単純に『MCTダイエット』と改名すべきであることを示している」


http://dx.doi.org/10.1093/brain/awv325
Seizure control by decanoic acid through direct AMPA receptor inhibition.


<コメント>
ケトン食の抗てんかん効果はケトン体によるものではなかったようです
特定の脂肪酸だけでいいなら、わざわざ脂肪80%にしてケトン体を作る必要はありませんね



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/26dc841dbc7d25c72156dffba447ac93
G1Dで唯一証明された治療は高脂肪のケトン誘発食だけだが、患者のおよそ3分の2にしか効果がない。加えてケトン食は腎結石と代謝性異常のような長期リスクがある。
本研究の結果によれば、トリヘプタノインはケトン誘発食と同程度に効果的なようである
 

テストステロンはパーキンソン病リスクの性差を説明するか

2015-11-29 06:20:59 | 
Male hormone testosterone cause of sex differences in parkinson's disease risk, study suggests

November 18, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151118101922.htm

男性は女性の2倍パーキンソン病になりやすいが、テストステロンがその原因かもしれない

ラットのドーパミンニューロンでは酸化ストレスによる損傷をテストステロンが悪化させ、それはCOX2というタンパク質を通じてだった
COX2の作用を阻害すると、テストステロンの影響はなくなった

これらのデータは、テストステロンが酸化ストレスによるドーパミンニューロンの損傷と細胞死を促進する可能性を示すという

 テストステロン─(COX2)→酸化ストレス↑→ドーパミン細胞死↑→パーキンソン病↑



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/07/130726191522.htm
テストステロンの急激な減少は男性にパーキンソン病の症状を引き起こすかもしれない

一酸化窒素nitric oxide (NO) は脳と体にとって重要な分子だが、iNOSによって過剰に作られるとニューロンは死に始める

実験でマウスを去勢したところ、脳内のiNOSレベルと一酸化窒素レベルが劇的に上昇した
iNOS遺伝子を欠損させたマウスでは、去勢してもパーキンソン病のような症状を引き起こさなかった
これはテストステロンの喪失がNOの増加により症状を引き起こすことを示す

 テストステロン─┤iNOS↓→NO↓→パーキンソン病様の症状↓


<コメント>


 

アルツハイマー病: APPとGABA

2015-11-25 06:06:32 | 
Alzheimer research: new findings

November 16, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151116084858.htm

現在のアルツハイマー病に関する研究は、プラーク形成の原因となるアミロイド前駆体タンパク質/APPに焦点を当てている
ドイツ・ルール大学ボーフム/Bochumの研究者は、APPがプラークの形成に加え、もう一つ別のメカニズムによりアルツハイマー病の発症に影響する可能性を実証した


細胞膜のタンパク質
Protein in the cell membrane

ある状況下で、APPは細胞核内で核スフィア/nuclear sphereという『球状の構造』の形成を促進する
このスフィアはいくつかの遺伝子活性に影響し、神経伝達物質の活性が調整される可能性が生じる
神経伝達物質とは神経細胞から他の細胞へ興奮excitationを伝える生化学的な伝達物質である

APPそれ自体は細胞膜に固定されたタンパク質だが、他のタンパク質が結合できる複数の固定箇所を細胞質内に持ち、多くの様々なプロセスを引き起こす
そのようなタンパク質の一つがFE65というアダプタータンパク質であり、
特定の状況下でそれはAPPの助けを借りて細胞核の中へと移動して、核内で他のタンパク質と共に上記の『球状の構造』を形成する
それがどのようにして細胞に影響するのかはこれまで不明だった


様々な細胞培養間の比較
Comparison between different cell cultures

医療プロテオーム研究センター/Medizinisches Proteom-CenterのThorsten Müller博士は、スフィアが潜在的に脳に与える影響を理解するための研究について説明している
彼らはスイッチがオフの状態ではスフィア形成を示さない細胞と、スイッチがオンになった細胞とでその変化を比較した
「我々は特定のスフィア形成を促進する細胞培養モデルを確立し、スイッチの入った細胞がスフィアを形成するようにした
そのプロセスにおいて、スフィアを形成する細胞ではbestrophin 1という遺伝子が高い発現を示すことが明らかになった」


神経伝達物質とアルツハイマー病
Biochemical transmitters and Alzheimer's disease

bestrophin 1は最近、アルツハイマー病において神経伝達物質の活動が損なわれた状況において特徴が記述されているdescribed

「アルツハイマー病の脳脊髄液において、神経伝達物質のGABAのレベルが上昇することが既に報告されている
我々の研究は、神経伝達物質の調整がどのようにしてAPPと相関するのかについて明らかにする」

Thorsten Mülller博士は彼らの研究と医科学との関連についてそのように述べるelaborate


将来の治療への出発点
Starting point for future therapies

したがって、これまでの想定に反して、
APPは最初にプラーク形成の前駆体として関与するのではなく、
まず神経伝達物質の活動を阻害するゆえにinasmuch as、アルツハイマー病の発症に影響する

「この仮説はアルツハイマー病の治療の開発にとって興味深い出発点を提供する」
Thorsten Müllerはそう考えている


http://dx.doi.org/10.1016/j.cellsig.2015.10.019
Nuclear spheres modulate the expression of BEST1 and GADD45G.

Highlights
・FE65/TIP60を誘導できるinducible安定した細胞系統を確立した
・FE65/TIP60による核スフィアは、議論されている標的遺伝子を一貫して調節することはない
・FE65/TIP60による核スフィアはBEST1ならびにGADD45G遺伝子発現を調節する


Abstract
核スフィア/nuclear spheresは、FE65, TIP60, BLMと他のまだ未知のタンパク質から構成される
アミロイド前駆体タンパク質/APPは、これらの非常に毒性の強い蓄積物が細胞核内において形成される際に重要な役割を演じる
したがって、核スフィアはアルツハイマー病/ADに重要な役割を演じるかもしれない

しかしながら、スフィアについての研究は、スフィアが形成されると細胞死が増大するために妨害される
今回我々は、ドキシサイクリンDoxycycline刺激後のFE65とTIP60の誘導的な発現をベースとする安定した核スフィアモデルを初めて確立した

我々はこれまでhitherto異論の多かったcontroversially標的遺伝子を研究し、
それらが論争controversyされてきた理由について手がかりを与え、さらに、
新たにbestrophin 1ならびにGADD45G/growth arrest and DNA-damage-inducible protein gammaが非常に確かな標的遺伝子であることを報告する

さらに定量的PCR/qPCRの研究により
これら標的遺伝子の調節はFE65またはTIP60のみの誘導には依存せず、核スフィア生成に強く依存することが明らかになった

bestrophin 1イオンチャネルは最近GABAの異常なリリースに関与することが記述された
我々の研究は、アルツハイマー病と関連する神経伝達物質の変化とAPPとの間のミッシングリンクを明らかにする可能性がある



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/5d8b0a95df45851a5ab18f8741186fd3
アルツハイマー病モデルマウスの脳では反応性アストロサイトがプトレシンからモノアミンオキシダーゼBによってGABAを産生し、Bestrophin-1チャネルを通してGABAをリリースしてシナプス伝達の間の正常な情報の流れを抑制する



関連サイト@ルール大学ボーフム
http://www.ruhr-uni-bochum.de/mpc/functional_proteomics/morbus_alzheimer/projects/index.html.en
Figure 1
(E) Hypothetical model of the APP signal transduction relevant for this proposal.
今回の提案と関連するAPPシグナル誘導の仮説モデル


手短に言うと、APPは細胞質内ドメインのスレオニン668リン酸化の結果として核へシグナルを送りsubmit、
続いてsubsequently、APPとFE65の結合を減少させる

FE65は核内に移動してTIP60と相互作用し、それは核スフィアの生成として目に見えるようになるvisualized

BLMと推定上の未知のタンパク質もスフィアの要素である

FE65ノックダウンにより
核内タンパク質でありDNA修復にも関与するBLMタンパク質ならびにMCMファミリーは、著しく調節を外れたde-regulation

FE65ノックダウン細胞における増殖の減少ならびにDNA複製速度の低下に加えて、これらの発見は、
DNA修復におけるFE65ならびに核スフィアの関連性relevanceを指し示す


有糸分裂後post-mitoticのニューロンは典型的には最終分化して静止状態にあるが、
そのニューロンが細胞周期に再び入るre-entryすると細胞死を引き起こす可能性がある

我々が詳細な研究と実証を目指しているこの示唆される経路は、認知症における神経変性の一因であるかもしれない



http://jcs.biologists.org/content/126/11/2480
Figure. 7
神経変性におけるFE65の役割に関するメカニズム
Suggested mechanism for the role of FE65 in neurodegeneration.


FE65はDNA複製において重要な役割を演じ、アルツハイマー病においてニューロンが細胞周期に再び入る原因であると推定される

FE65はAPPと結合する重要なタンパク質である
FE65のPTB2ドメインはAPPのYENPTYモチーフと相互作用するが、
この相互作用はAPPのVTPEモチーフ内にあるスレオニン688/T668のリン酸化状態に依存する(もちろんAPP切断にも依存する)

結果としてFE65のAPPへの結合は弱まり、解放されたFE65は核内に移行して『Bloom症候群タンパク質/BLM』を安定化させる
この相互作用はDNA複製ならびに細胞増殖的変化と関連する

※BLM: Bloom症候群の原因とされるヘリカーゼ


関与すると推定されるタンパク質はTERF2であり、さらにMCMタンパク質ファミリーとも関与すると思われる

対照的に、FE65のノックダウンは、BLMならびにPRDX4を含めたERタンパク質の蓄積につながる

ニューロンにおいてDNA複製が再び開始される(ニューロンが細胞周期に再び入る)ことで結果としてアポトーシスすることが知られている

ゆえに、ニューロンにおける高レベルのFE65(アルツハイマー病の脳にも存在することが知られる)、または核内でのFE65の上昇は、結果として神経変性を生じる
 

アルツハイマー病は別々に分類されるべき疾患の集合である

2015-11-17 06:06:30 | 
Alzheimer's is probably a collection of diseases that should be classified and treated separately

November 3, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151103112804.htm

エルサレム・ヘブライ大学の新たな研究によると、アルツハイマー病は少なくとも二つ以上のメカニズムから生じる疾患であり、実際には別々に分類して治療すべき疾患の集合であることが示唆されるという

アルツハイマー病の効果的な治療の開発に失敗するのは『最終的にはアルツハイマー病の症状を発症する、異なる疾患』の患者が臨床実験で集まっていることpoolingから生じるという
ゆえに、関連する疾患サブタイプに応じてそれぞれの患者に処方されるような新たな治療法の開発に備えるallow forために、
アルツハイマー病の根底にあるメカニズムを注意深く特徴付けをして分類することが必要である
この新たな洞察は、アルツハイマー病の様々なサブタイプに対する新しい治療の開発に向けた努力を促進する



特定の家族で発症する家族性アルツハイマー病の根底にあるメカニズムを明らかにしたエルサレム・ヘブライ大学医学部の研究者は、この病気が実際には様々なアプローチで治療をするべき疾患の寄せ集めcollectionであると提案している

神経変性疾患は治癒することなく消耗させ衰弱させる病気であり、神経系の細胞は変性するか死ぬ

プリオン病(最も有名なのは『狂牛病』である)やアルツハイマー病、パーキンソン病は2つの重要な特徴を共有する
すなわち、異常なタンパク質折りたたみとその蓄積の結果として生じ、その発症は人生後期である
そして、これらの疾患は散発性sporadicallyか家族性として生じ、家族性の場合は遺伝子変異と関連する疾患である
(ある種のプリオン病は伝染性infectiousでもありうる)

散発性の患者のほとんどは70代かそれ以降に診断され、家族性は50代か60代に症状が現れるのが典型的である
遺伝子変異と関連するケースは比較的まれではあるが、発症の根底にあるメカニズムを明らかにするヒントを与えてくれるので非常に重要である


複数の異なる神経変性疾患に典型的な遅発性late onsetという特徴、そして発症の時間経過的なパターンの共通性は、重要な問題を提起する
一つは、なぜ疾患と関連する遺伝子変異を持つ人々は50か60代になるまで臨床的な兆候を示さないのか?
加えて、なぜ明らかに異なる疾患が時間経過的に共通する発症パターンを共有するのか?

可能性のある説明として、若い人を有害なタンパク質の蓄積から守るメカニズムの効率が年をとると低下して、それにより病気にかかりやすくなるというものがある

実際、以前の研究では、
人生後半の神経変性疾患の発症において加齢というプロセスが重要な役割を演じることが明確に示されている
そのような研究結果は、加齢によって負に調節されるのはどんなメカニズムで、年を取って神経変性疾患を発症させる要因は何なのかという別の疑問を生じた

神経変性疾患は異常なタンパク質折りたたみfoldingから生じるのでヘブライ大学医学部のイスラエル医科学研究所・カナダ (IMRIC) に所属するEhud Cohen教授とTziona Ben-Gedalya博士を中心とする国際的な研究チームは、
他のタンパク質が適切に折りたたまれるのを助けるタンパク質の活性が加齢に伴って低下し、それが高齢者を神経変性疾患にかかりやすくさせるメカニズムの一つかもしれないと仮定した

そのようなメカニズムの存在を確かめるため、
異なるタンパク質に存在して異なる神経変性疾患の発症と関連するが、互いに似ている同じような遺伝子変異パターンを
研究者は探した
研究の結果、ある家族での家族性アルツハイマー病の発症と、別の家族での家族性プリオン病の発症は、非常に似ている遺伝子変異パターンから生じることが示された

この発見を基に、彼らは『シクロフィリンB』というタンパク質の異常を同定した
シクロフィリンBは翻訳されたばかりのタンパク質を適切な空間構造に折りたたむのを助けるが、
家族性アルツハイマー病とプリオン病の両方の原因である

研究者がこの家族性アルツハイマー病の発症の根本にあるメカニズムを包括的に特徴付けた結果、
他のアルツハイマーと関連する遺伝子変異の疾患発症とは関連性relevanceがまったくないことを発見した


Ehud Cohen教授は言う
「この研究は重要で新しい洞察をもたらす
一つは、異なる神経変性疾患の発症が似たようなメカニズムから生じることを示すということだ
さらに重要なことに、アルツハイマー病は2つ以上のメカニズムから生じうることも示し、
実際には別々に分類されるべき疾患の集合であることを示唆する」


http://dx.doi.org/10.15252/embj.201592042
Alzheimer's disease-causing proline substitutions lead to presenilin 1 aggregation and malfunction.


[小胞体]
 プレセニリン1─(264と267プロリン残基を介したシクロフィリンBによる折りたたみ)→成熟

タンパク質を成熟させる折りたたみメカニズムの失敗から、異なる神経変性疾患が生じるか?

我々はこの疑問に答えるべく、それぞれ異なる神経変性疾患の現れを関連付ける遺伝子変異パターンを比較し、
神経変性と関連する同様のプロリン置換substitutionsを同定した
一つはプリオン病の根底にあるプリオンタンパク質のプロリンの置換であり、
もう一つは家族性アルツハイマー病の根底にあるプレセニリン1のプロリンの置換である

プロリンから別のアミノ酸への置き換えは、ERに存在するシャペロンであるシクロフィリンBがプレセニリン1をアシストして適切にフォールディングするのを妨げる
その結果としてプレセニリン1は凝集してERに蓄積し、γ-セクレターゼ活性化は低下し、ミトコンドリアの分布distributionと機能は損なわれる

シクロフィリンBノックアウトマウスの脳でも同様に『プロセスを経て活性化したプレセニリン1』の量の減少が観察された

これらの発見はシクロフィリン活性の低下が異なる神経変性疾患の発症に寄与することを意味するimply
それにより特定の家族性ADの発症についての新たなメカニズムを提唱し、
プレセネリン1の異常機能に由来する可能性があるこの疾患について浮かび上がりつつあるテーマを支持するものである

この研究は、ERシャペロンが神経変性疾患に対抗する治療法の開発にとって標的となることについても指し示すものである



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150304130911.htm
プレセニリン1の変異/γ-セクレターゼの機能低下変異が家族性アルツハイマーを引き起こす



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/da5b1460551c4cedbd472dd8037649d4
アルツハイマー病の3つのサブタイプ



関連サイト
http://www.nanbyou.or.jp/entry/247
我が国では、遺伝性プリオン病の中では、V180Iの家族性CJDが最も多く(45.3%)、それに次いでP102LによるGSS102(16.3%)、E200Kによる家族性CJD(13.1%)、M232Rによる家族性CJD(13.5%)と続く(2014年9月)。
 

ダウン症候群とアルツハイマー病の新たな関係が明らかに

2015-11-10 06:59:10 | 
New link between Down syndrome, Alzheimer's revealed

Study raises hope for new treatments

November 2, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151102152727.htm

成人するまで生き残ったダウン症候群の人たちは脳内に有毒なアミロイドプラークが形成されて蓄積し、アルツハイマー病と非常によく似た認知症を早くに発症するというさらなる困難に直面する
テンプル大学ルイス・カッツ医学部/Lewis Katz School of Medicine at Temple University (LKSOM) の新たな研究により、ダウン症候群の認知症はγ-セクレターゼ活性化タンパク質/γ-secretase activating protein (GSAP) という調節酵素の異常defectsを伴うことが示された
そして『偶然にも』、GSAPの機能不全はアルツハイマーでも起きるalso happen to malfunction

ダウン症候群の研究分野においてこの新しい発見は非常に画期的であり、LKSOMの薬理学部・微生物学部の教授であるDomenico Praticò, MDによると今回の研究はすぐにGSAPを標的とするダウン症の認知症治療薬の開発につながるだろうという
過去にもγ-セクレターぜを阻害する薬剤が開発されたが、その強い毒性により失敗している


Annals of Neurologyのオンライン版に発表された今回の研究で、GSAPの過剰な活性とAβ前駆体タンパク質(APP)の過剰なプロセシングとの間の関連性が初めて明らかになった
APPは最終的にアミロイドベータ/Aβになるタンパク質である

Praticò博士たちが死亡後に献体として寄贈donatedされたダウン症候群患者の脳組織を調べたところ、健康な人の死後の脳組織と比較してGSAPタンパク質とその活性がかなり上昇していた
また、Praticò'博士のチームはGSAPの過剰な活性がGATA1という転写因子の異常と関連することを発見した
GATA1はGSAPの産生を制御する転写因子である

APPが過剰発現するニューロンでGATA1の活性が抑制されるとGSAPレベルとAβペプチドレベルが両方とも上昇する一方、GATA1の過剰発現は正反対の結果を生じることが実験で実証された

 GATA1↓─┤GSAP↑─γ-セクレターゼによるAβ↑


ダウン症ではAPPが通常の4倍から5倍も過剰に作られており、この極端に過剰な産生は21番染色体トリソミー/3倍のコピー/triplicate copyの直接の結果である
21番染色体にはAPP遺伝子も存在するため、ダウン症ではAPPが過剰になる

「ダウン症での高レベルのAPPの結果としてAβペプチドの形成が増加し、Aβは脳内のアミロイドプラークの形成を促進する」
Praticò博士は説明する
「アミロイドプラークは患者の脳内で10代後半から20代前半に形成され始める」
何割かのダウン症患者では認知症の症状が30代から始まる

この新たな発見はダウン症サバイバーの転機となりうるだろう
「我々はGSAPの阻害がアミロイド産生を抑制することを示した
GSAPはアミロイド形成に特異的であり他の経路には影響しないため、直接γ-セクレターゼを阻害する他の治療戦略に対して安全な代替案alternativeとなるはずである」

Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手have access toしており、彼らの次の計画はマウスで前臨床研究を実施して薬剤の効果を調査することである
「我々は非常に楽観的である
我々の動物モデルがうまくいけば、次に臨床試験に移るだろう」


http://dx.doi.org/10.1002/ana.24540
GATA1-mediated transcriptional regulation of the γ-secretase activating protein increases Aβ formation in Down syndrome.

ダウン症候群患者はAPPが存在する21番染色体の余分なコピーを持つため脳内のAβペプチドレベルが高く、アルツハイマー病のように脳のアミロイド症を人生早くに発症する

今回我々はGSAPがダウン症候群患者の脳内で増加し、そのレベルがGATA1転写因子によって特に調節されることを示す


<コメント>
記事中に「Praticò博士たちは既にGSAP阻害剤を入手している」とあります
この阻害剤についてですが、2010年にNatureでイマチニブがGSAPを阻害できると報告されています

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20811458

この報告は今回の論文のRefenece 6にも挙げられています。例によって揉めているようですが
http://dislocon.blog.fc2.com/?no=550

Refernce 9にはPraticò博士たち自身の報告が挙げられていて、これもイマチニブによるものです
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24662099



記事にはダウン症候群/DSでGATA1が低下する理由は書かれていませんが、もともとダウン症候群ではGATA1遺伝子変異によるAMKLやTMDという白血病の発症頻度が非常に高いのだそうです
http://www.med.tottori-u.ac.jp/chromosome/535/kiji.html
http://gantoku3.umin.jp/topics/shimizu.html

論文でもDiscussionに同様の意見が書かれています(Reference 17-19)


アルツハイマー病でもGSAPに異常が見られたという報告はReference 8にあります

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21718343



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/0fa7089ea952eca189428743129954eb
[ダウン症候群]
 miRNA-155↑─┤SNX27↓─┤γ-セクレターゼ↑→Aβ↑
 

インスリンの新しい役割が発見される

2015-10-31 06:02:42 | 
New role for insulin: Studies tie the hormone to brain's 'pleasure' center

Findings also shed light on food choices, obesity

October 27, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151027074802.htm


(げっ歯類の脳細胞の画像
インスリン受容体(緑色)が活性化するとドーパミンの放出を促進する)

血糖レベルや食後の満腹感を制御するインスリンはすべての哺乳類にとって必須のホルモンだが、
インスリンはドーパミンの放出の調節にも強く関与することがニューヨーク大学のランゴンメディカルセンター/NYU Langone Medical Centerの新たな研究によって示された
ドーパミンは脳内で『報酬や喜びreward and pleasure』に関与する部分の制御を助ける神経伝達物質である

「我々はインスリンが脳内に多いほどドーパミンが多く放出されることを発見した」
NYUランゴンの神経科学者、Margaret Rice, PhDは言う

彼女たちのげっ歯類での実験はインスリンレベルが上昇するとドーパミンの再取り込みreuptakeを助けるだけでなく、正味の/最終的なnet影響はドーパミンレベルの上昇であることを初めて示すものだという

また、この結果はおそらくドーパミン経路におけるインスリンの役割が食物の選択に影響するかもしれないことを初めて実証するものだろう


Riseたちのげっ歯類の実験では、インスリンによって線条体の領域で放出releaseされるドーパミンが20%から55%上昇した
線条体はドーパミンが作用する場所の一つで、報酬rewardを得たことに対する応答を制御する器官である
この上昇はインスリン活性の上昇とほぼ同じ時間timeframeに生じたが、
これはドーパミンが再吸収(再取り込み)されるにもかかわらず起きた
ドーパミンは脳内の他の領域で動物に『食欲は満たされたappetite is satisfied』ことを伝える


Riceたちはさらに実験を続け、低カロリーのエサを与えたラットは脳内の増加したインスリンレベルに対して感度sensitivityが10倍になることを明らかにした
(つまり通常のエサのラットと比較して、上昇したインスリンレベルのわずか10分の1しか吸収takeしない)
対照的に、高カロリー食のラットは線条体-脳のインスリン応答性をすべて失った

「我々の研究は、脳内の報酬系の一部としてのインスリンの新たな役割を確立すると考えている
そして哺乳類は、おそらくヒトも、インスリンをより多く分泌させる高炭水化物または低脂肪食(低カロリー食)を選んだ方が良いmayということである
それらはすべてドーパミン放出を高める」


Riceによると、この発見が重要である理由は
脳内の慢性的なインスリンレベルの上昇とインスリン感度の低下が肥満や2型糖尿病と密接に結びついているからであるという

Riceの研究チームはさらなる実験で、インスリンがどのようにして哺乳類の脳で食の動機付けや報酬経路の制御に影響するのか、
そして肥満によってもたらされるインスリン感度の変化を無効にしたり予防できるのかどうかを調べる予定である


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9543
Insulin enhances striatal dopamine release by activating cholinergic interneurons and thereby signals reward.
インスリンはアセチルコリン作動性の介在ニューロンの活性化によって線条体のドーパミン放出を促進し、それにより報酬シグナルを伝達する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150130092921.htm
自閉症スペクトラム障害と関連付けられた遺伝子の多型はドーパミン輸送機能を障害する