機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

脳内のYAPが不十分だと炎症が生じてBBBが破綻する

2015-12-28 06:06:21 | 
Not enough YAP means too much deadly inflammation inside the brain

December 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151222113152.htm

YAPというタンパク質は心臓や肝臓の発達を適切なサイズになるように助けることで知られているが、脳内ではサイズの調節とは異なるもののそれと等しく重要な『炎症の制御を助ける』という仕事を持つ

オーガスタ大学ジョージア医科大学の科学者は、脳内でYAP(yes-associated protein)にとって重要なのはサイズではないことを示した
YAPはむしろ星状膠細胞/アストロサイト (astrocyte) が過剰に反応性にならないようにして、スイッチを根本的に入れることを妨げる
アストロサイトは一般的にニューロンを保護して栄養を与える脳の細胞である

「YAPは通常は臓器のサイズを制御するが、脳内でのYAPはアストロサイトの機能に影響し、それは次に保護的な血液脳関門の機能の調節を助ける」
ジョージア医科大学で発達神経生物学者でありワイス特任教授/Weiss Research ProfessorでもあるWen-Cheng Xiong博士は言う


体内においてYAPは細胞死と増殖を調節することにより大半の臓器のサイズの制御を助けているが、
Xiongと彼女の同僚たちは発達中の脳内でのYAPがSOCS3(サイトカインシグナル伝達抑制因子/suppressor of cytokine signaling 3)を誘導する重要な因子であることを発見した
SOCS3は名前が意味するように炎症を引き起こす免疫細胞を抑制する

 YAP→SOCS3─┤炎症

Cerebral Cortexに掲載された今回の論文で責任著者/corresponding authorのXiongによると
頭蓋骨の閉じた範囲において炎症は致死的ですらあり、炎症の結果として生じる膨張と圧力がニューロンを破壊するという

Xiongは、出血性の卒中や水頭症hydrocephalus(損傷に応じて頭蓋内に液体が蓄積する)のような病態においてYAPをともなう問題が要因でありうると推測している
実際彼女の研究においてYAPを持たないマウスも一種の水頭症を生じ、最初のXiongの推測ではYAPは脳のサイズの制御も助けると思われた

しかしながら、彼女たちが大きくなりすぎた臓器、つまり脳を解剖したところほとんどが液体であり、
分析するとYAPを持たないマウスはSOCS3を誘導できないことが明らかになった
「ブレーキがなくなり、過剰な炎症が起きる可能性がある」という

 YAP↓→SOCS3↓─┤炎症↑


脳内のYAPは、アストロサイトと神経幹細胞/neural stem cellの両方で発現している
幹細胞は脳内のアストロサイトを作るのを助け、それよりは少ないがニューロンも作る

Xiongたちの研究により、YAPが存在しないとアストロサイトは過剰に反応性hyper-reactiveになり、
『アストログリオーシス/astrogliosis』という状態を作って、壊れやすい血液脳関門を強めるどころか弱めることが明らかになった

※gliosis: グリオーシス、神経膠症。外傷や炎症などの病変により主に反応性星状膠細胞が増殖する病態

血液脳関門は基本的にきつく編まれた内皮細胞の層であり、脳内の血管を裏打ちしている
その上に単一の平滑筋細胞/周皮細胞の層があり、外側がアストロサイトの層である
脳と脊髄の血管における独特な相対的配置configurationが微細なフィルターを形作り、血液から脳組織にアクセスできる物質を制限する

「出血性卒中hemorrhagic strokeでは血液脳関門が完全に破綻し、いったん壊れるとすべてが変わる」

通常は脳内にアクセスできない細胞タイプと因子が、いつも通りの細胞タイプと物質との間の関係を混乱させる
一つの結果として血液からの液体も脳組織に入って圧力をかけ、混乱した会話につながる
ニューロンは死に始め、傷ついた組織が形成され、そしてより多くのアストロサイトが作られる

研究では、YAP遺伝子が脳内から削除されたマウスではいくつかのSOCSタンパク質が低下していた
SOCS3とYAPとの間の関係を検証double-checkするために
研究者がYAPをノックアウトしたアストロサイトでSOCS3を選択的に発現させたところ、やはり炎症が低下することを発見した

 [アストロサイト]YAP↓→SOCS3↑↑↑─┤炎症↓

YAPを持たないマウスでは炎症が血管に集中focus onしているようにも見えた
研究者が染料dyeのトレーサーを注入したところ、通常は血液脳関門を越えない染料が
アストロサイトにYapを持たないマウスの脳内では容易に貫通した

 [アストロサイト]YAP↓→SOCS3↓─┤炎症↑─┤血液脳関門↓


Xiongは水頭症の新生児の血管を調べて、YAPの変異の徴候がないかを調べて研究を追求したいと考えている
YAPの変異は肝臓癌を引き起こすことが知られている
肝臓癌では細胞は増殖を続け、YAPを活性化させるHippoシグナル伝達経路が癌に対抗するその潜在性のために標的とされている


http://dx.doi.org/10.1093/cercor/bhv292
YAP Is a Critical Inducer of SOCS3, Preventing Reactive Astrogliosis.
YAPは重要なSOCS3の誘導因子であり、反応性アストログリオーシスを防ぐ



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/41f6f77c7ac40a1d1da1be8b50b95aa1
Yap1→Cxcl5→MDSC



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150316121925.htm
YAP→IL-6, IL-8, CXCL1, CXCL2, CXCL3



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/894a889669389ffdec7915124f9ae0f8
脳内でMHCクラスI分子はインスリン-mTOR経路を介してシナプス数を調節する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/0fda8922932df875485256fcf8e88dd6
脳内に漏れた血液のフィブリノゲンが多発性硬化症を引き起こす
 

最新の画像もっと見る