日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

本当に、オバマ氏で良かったのか?

2008-06-06 06:07:51 | Weblog
株式日記と経済展望より
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b4899fcff33524b1f048c473dd4666ed

◆『アメリカ狂乱―次の大統領は誰か』 日高義樹:著

「なぜウォール街のファンドマネージャーや投資家たちがオバマにこんな大金を出すのか聞かないのかね」

彼はこう言ったが私は黙っていた。黙っていれば彼がどんどんしゃべり続けるのを知っていたからだ実際、ウォール街のファンドマネジャーやパートナーが民主党の左寄りといわれているそれも黒人の、これからどうなるか分からない侯補者に献金をするのか私にはさっぱり分からなかった。

「ウォール街の連中はヒラリーに大統領になってほしくないのさ。ヒラリーを追い落としたいと思って誰でもいいから助けようと思っている。ようやくオバマを助ける雰囲気が出てきた結果がこのリストだ」

私はなおも黙って彼の口元と目を見つづけていた。

「ウォール街の連中はヒラリーが大統領になればとてつもない増税を行うのではないかと心配してきた。彼女が特にキャピタルゲインの増税を考えていることが分かってウオール街のマネージャーたちは大恐慌をきたした。キヤピタルゲインの増税が行われれば投資家たちが投資しなくなる。マネージャーたちが大損害をこうむるのは避けられない」

しかし、なぜ今になってウォール街のマネiジャーがオバマを支援することにしたのか、その理由が私には浮かんでこなかったので、そのまま沈黙を守った。

「さすがの君も考えつかなかった話だろう。ウォール街の連中も共和党との戦いを前にヒラリーを追い落としたり、ヒラリーと正面きって戦ったりすることは考えもしなかった。そのうえ下手にヒラリー叩きをやれば、後ろにはビル・クリントンがついている。どんな報復を受けるか分からない」

彼はこう言ってさらに得意そうに言葉をつづけた。

「スーパー・チューズデーでヒラリーは負けた。オバマとの差はわずかだったが、ヒラリーの人気が限界に来ているのは明らかだった。そのうえ首都周辺を始めとする予備選挙でヒラリーが連敗するとは誰も思ってもみなかった。いまやヒラリーは負け犬なのさ」

ワシントンでは競争が厳しいだけに負け犬はいっも叩かれる。手のひらを返したように厳しい扱いを受けるのが普通だが、ついにヒラリーも負け犬とみなされてしまった。

もともとヒラリー・クリントンはブッシュ大統領の行っている金持ちに対する減税がアメリカの土地バブル、ドル高という通貨バブル、そして輸入バブルを生んでおり、アメリカ経済を不健康にしていると非難してきた。ブッシュの政策のせいでアメリカ経済が均衡を欠いた形で拡大を続けていると糾弾したのである。

ヒラリーは中流階級に対する減税を主張している。中流階級にお金を持たせれば自動車や耐久製品、さらには洋服や靴などの日常品が大量に売れ、アメリカ産業界が好況になると考えている。そして中流階級に対する減税だけではなく、アメリカ政府の資金を使って若い労働者の教育を行い、産業界を効率化するとともに輸出を増やし、アメリカ国民の所得を拡大するべきだと主張している。

このヒラリーの主張だけでもウォール街のファンドマネージャーには脅威である。そのうえヒラリーの実行力には定評がある。クリントン政権時代、ヒラリーはクリントン大統領やゴア副大統領をさしおいて国民健康保険制度を推し進め、さらに貧しい人々の生活援助を増やそうとした。

ヒラリーが大統領になったら、大きな政府作りをめざすだけでなく、増税を強行するだろうと恐れたウォール街は、ついに本格的にヒラリーに対抗するオバマを支援し始めたのでる。(P42~P47)


(引用終わり)

米国の民主党大統領候補選がオバマ氏の勝利となりましたが、松居一代じゃなくて(笑)、ヒラリー・クリントンの方が、健康保険制度や教育改革、中流階級への減税、大きな政府、産業界の生産性向上と輸出強化と、米軍のイラク駐留撤退と、我々日本人にこそ必要と思える、相当まともな政策論者であったと思われます。

僕も以前、ブッシュ一族の系列と決別するというオバマ氏の意見を聞いたり、映画監督のマイケル・ムーアが彼を支持したときに、オバマ氏を支持したくもなったのですが、ウォール街という新自由主義の巣窟がオバマ氏の最大のスポンサーであったと聞いてしまうと、どうにも考え直さざるを得なくなりました。

日本の将来も、民主党が優勢になってきているようですが、民主党には新自由主義派と、共生社会派の二種類がいて、このままいくと新自由主義派が、米国民主党と結びつきそうな悪い予感がします。

僕も、自民党の成長路線派と、国民新党の結びつきを政治的妥協として、寛容に成らざるを得なくなってきたのかも知れません。

まあ、そのためには自民党に、「小泉カイカクは失敗であった」と、文脈を正しくしてもらうことが前提なんですけどね。