ねこらい堂  「おやじマニアの日常」

NEKOのブログです。最近は更新が滞りがちですが気長にお付き合いくださいませ

日本沈没

2008-01-24 23:05:42 | マンガ・アニメ
「新約版」とはこういう物を言うのですね!

先日、MILL氏との酒飲み話で盛り上がった
漫画版「日本沈没」について。

「日本沈没」は1973年に小松左京氏の原作が発表されました。
小生は当時ガキンチョだったのですが、とにかく当たった。
あっという間に映画化、TV化された。
いずれも子供心には圧倒的な面白さで、役者の小林桂樹のことを
それ以降ずっと、「田所博士の人」と呼んでいたくらいです。

原作版、映画版、TV版とも、いずれもラストで日本が沈没する。
微妙に異なるのは、ラストの主人公たちの行く末の描写。
原作版は、ヒロインの玲子はシベリアへ移住、
主人公の小野寺はアフリカへ移住するも発狂、と救いがない。
映画版は基本的に同じだが、小野寺(演ずるのは1号ライダーこと藤岡弘)
は発狂せず。
TV版では小野寺(村野武範)と玲子(由美かおる!)は
最後の日本人として手をとりあって日本とともに沈む。

時を経ること33年、EVAの樋口真嗣監督によるリメイクが製作された。
旧作の、男臭さムンムンの藤岡弘が演じた小野寺を
線の細い草ナギ剛演じるというのに、まず違和感。
Goodだったのは、旧作では何の仕事をしていたか思い出せない
ヒロインの玲子(柴咲コウ)を、ハイパーレスキュー隊員という設定にしており、
なんともカッコイイ!

残念だったのは、旧作(原作)の物語のへそになっていた
謎の「伊豆の老人」渡と田所博士の問答が無かったことですね。

老人「田所先生・・・科学者にとって、一番大事なものはなんじゃね。」
田所「カンです!」
老人「カン?」
そして新聞紙を破いて大陸移動説を説明し、老人を得心させる。

老人は実は政財界の影の大立者で、その後政府や世界を動かすこととなります。
日本人総脱出計画の端緒となったこのエピソードが
カットされていたのが残念ですね~。
田所博士役も豊川悦司で貫禄ないし・・・。

でも何と言っても一番の違いは、何とラストで日本が沈没しないこと。
樋口真嗣つながりで「エヴァンゲリオン」の作品世界から強引に持ち込んだ
超強力なN2爆弾にてマントル対流を断ち切り、
日本沈没を阻止するというストーリーでした。

確かに多数のN2爆弾が日本列島に沿って、
ズバババババーンと成層圏まで高々と噴煙をぶち上げて爆発する様は、
映像的なカタルシスはありましたが、
お話的には
「んな、あほな!そんなことしたら、太平洋周辺諸国が津波で沈むやん!
 振動で、日本列島壊滅やん!」
と突っ込まざるをえない、トホホなものでした。
絵的には、EVAの「セカンドインパクト」を実写版でやりたかったんだろうと
想像されるのですがね。

N2爆弾起爆のため、主人公の小野寺が爆発に巻き込まれ
海の藻屑と消えるのも後味が悪いです。

まあ、絶対に助かりっこない状況ですが、爆発が収まったあと
草ナギ剛が水面に「プハー!」と顔を出し、
「おぉーい!玲子ー!」てな感じで手を振れば
場内大爆笑、大拍手間違いなし!だったと思うのですがね・・・。

そして、話題の一色登希彦作による漫画版「日本沈没」
これが「新約版」のお話とは、こう創るんじゃ、のお手本みたいに素晴らしい。

基本的な物語のフォーマットは、映画版と同じ。
設定は、阪神淡路大震災後の現代という設定で、
玲子は、ハイパーレスキュー隊員

だが、映画版では尺の関係で端折った様々なエピソードを
きちんと描いています。(伊豆の老人と田所博士の問答のシーンもあり)

さらに、リメイク版映画の大問題点、
日本を沈めないよう爆弾を打ち込むエピソード。
漫画版では、この物語上の破綻もしっかりと落とし前をつけています。
いや、更に逆手を取って、
「新型爆弾」で盲目的に日本沈没を阻止しようとする勢力と
周辺諸国への大津波を阻止しようとする主人公たちによる
物語上の盛り上げに転化しています。

原作には全くないエピソードを、映画ではちょっちトホホな形で物語化して
漫画での再作品化では、更にその弱点を逆手に取って
物語を盛り上げる道具に使うという、

「お話というのもは、こうやって面白くするのだよ!」

という、まさに絶好の教科書であります。
勉強をさせて頂いております。


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1 コメント

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模倣と昇華は日本の文化? (岬龍飛)
2008-01-26 23:17:36
おじゃましまーす。

Eゲリオンのエッセンスを真似た作品って多いですよね(苦笑)

しかし、実写映画でまでそんなん持ち込まないでも良かろうに…



パンクな自分は、「日本以外全部沈没」も映画化して欲しいです…まさかしてないよなあ??
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