ねこらい堂  「おやじマニアの日常」

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【映画夜話】インディ・ジョーンズの遠祖?「虐殺砦の群盗」

2012-10-08 23:40:19 | 映画

今日は映画のお話。

取り上げまするは、日本で百人くらい(多い?)しか知らない

マイナー作品「虐殺砦の群盗」について。

 

何とも正体不明な邦題だが、日本では

マカロニウェスタン文脈で公開された一作。

原題は「Pecos cleans up(ペコスが悪いヤツらを一掃する)」。

実はメキシコ人ガンマン・ペコスを主人公にした「My Name Is Pecos」

(日本公開題名「復讐の用心棒」)という作品のれっきとした続編。

 

好事家かマカロニ・マニアくらいしか覚えていないであろう

マイナーな作品であるが、一部ファンの間では

かの「インディ・ジョーンズ」の原型的作品ではないかと囁かれている。

 

この作品、面白いことに、東和(東宝系の配給会社)が買い付けた前作「復讐の用心棒」は

暫くおクラ入りとなっていたのに、続編の本作品の方

ハリウッドメジャーの20世紀FOXの配給網に乗って

とっとと先に日本公開されていたという珍しい経緯の作品。

 

なぜ、こんなことになったのか?

 

「復讐の用心棒」と「虐殺砦の群盗」二部作の主人公ペコスを演ずるのは、

アメリカ人俳優でイタリアに出稼ぎに来ていたロバート・ウッズ。

ジュリアーノ・ジェンマを少し下品にしたようなイケメン俳優だが、

彼がメキシコ訛りバリバリのインディオ・ガンマンを演じたので

南米やアフリカといった非白人国で、第一作「復讐の用心棒」は大ヒット。

 ヒットの噂を聞きつけて東和が早速買い付けたものの

お話は相も変わらずの陰惨な復讐物。

 

当時マカロニブームが下火になっていたのも手伝って、主役が地味で

かつ食傷気味の復讐譚「復讐の用心棒」は暫くおクラ入りに。

 で、続編として製作された「虐殺砦の群盗」は、お話が前作とがらりと変わって

異郷冒険モノに変身。

アズテックの神殿に財宝が隠されており、ペコス一党が

苦難の末に手に入るという、典型的なトレジャー・ハンター物のプロット。

 

舞台が完全にメキシコで、財宝が隠されたアズテックの神殿には

メキシコ征服をもくろむ悪党共も居座っていて、

更には市長の娘が誘拐されて監禁されている、というオマケも。

 

ペコスは財宝探しと、娘の救出を請け負う。

復讐ネタが一切ないので、お話がカラっと明るいのがまずこの作品の取柄。

 

ペコスや悪党の手下はガンマンの格好をしているが、全般的なプロットとお話の雰囲気は

完全に「インディ・ジョーンズ」。

 

まあシナリオに練りこみが足りず、演出も凡庸で画面も安っぽく、

所謂プログラムピクチャーの域を出ていないが

もっとシナリオを練りこんで、いい演出をすれば

「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」みたいになったかも・・・・

という惜しい作品。

前作には見向きもしなかった20世紀FOXが、この「虐殺砦の群盗」を

世界配給に乗せたのも頷ける。

 

敵の首領が鞭使いで、ペコスと拳銃対鞭で戦うというのも

インディ・ジョーンズの原型を見る思いである。

 

スピルバーグ少年が子供の頃、アメリカでも配給されたこの作品を見て

「インディ・ジョーンズ」の着想を得た・・・・なんて話も

荒唐無稽な与太話ではないかもしれない。

 

 



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