お恥ずかしい限りなのですが、恥を忍んで書きます。
あの大脱走の災禍とハッピーエンドの一部始終を書き上げて気が緩んだのか、その翌朝に今度はみうが脱走しました。それは、油断の一言に尽きた。朝の6時頃玄関からニャーを外に出すときに、後ろからついて来たみうがするするとニャーの横を通って出てしまった。初めはポヤっとしていたみう、しかしこっちもポヤっとしていて、抱き上げようとしたがすっと逃げる。そのうち通りに出てしまった。途端ににみうの動きが変わった。水を得た魚のように素早くなって、しかもちょっと興奮状態に。そうなってようやく、事態の深刻さを認識したのでした。
強くは意思表示しないけど、みうがずっと外に出たがっていることは知っていた。いつも窓から庭を眺めてはキュウキュウ小声で鳴いていた。人の出入りでドアが開けば必ず寄って来る。でもニャー恐怖症のみうは、ニャーの出入りのときは近寄れなかった。それがイエチビを迎えて、さらに最近の大家族化の効果で2匹の関係が変わってきた。みうのニャーに対する恐怖心が少しづつ薄れていたのです。その変化に気付いていながら、しっかり対応できなかった。
みうは家の中でも半ノラ状態。こっちが座っていれば近づいて来るし、スキンシップもお手のもの。でも、こっちが動けばすかさず逃げる。そうなると捕まえることはまず不可能。通りに出たみうは、かつて1年半も家裏で暮らしていたときそのものだった。実は先日、みうを正式にわが家の子として迎え入れて1周年となった。何か書かなければ、と思っていた矢先のことでした。
みうは外を眺めるのが大好き:キー(左),ちび太(中)と
みうはこっちの目と鼻の先を、お隣さんからさらにそのお隣さんへと冒険を始めた。そこで家の人が出てきて、驚いて今度はお向かいさんへ。門を挟んでしばらく対峙。手を伸ばせば届くのだがすっとかわされる。妻がシーバを持ってきたが見向きもせず。やがてみうは、そのお宅の向こう側にある高台へと向かった。回り道すれば4分はかかる。そのお宅の奥さんの協力を得て自分もそのまま高台へと追跡した。しかしその上にあるアパート付近まで来たとき、通り過ぎた車に驚いたみうは駆け足で坂下の方へと消えてしまったのです。
大変なことになった。みうの初めての脱走は、本格的な捜索へと展開したのです。妻が出かけた後、自分は店を休みました。外に出たみうは、よほど落ち着いたときじゃないと保護できない。クウのように自分から家に入ってもらうしかないと思えた。それで中のニャンコたちを部屋に閉じ込めて、玄関と勝手口を猫が通れる分だけ開放した。そして自分はできる限り町内を捜索。保護できなくても、所在だけでも確認したかった。しかし白黄くんと灰白くんが勝手口周辺に陣取ったこともあって、結局ドア解放作戦を諦め、夕方の再捜索に賭けることにしたのです。その日は真夏の炎天下、みうも休むに違いないと。
とは言え断続的に捜索しながらいろんなことを考え、そして調べました。1年間わが家に籠もっていたみうは、果たしてかつて飛び回った町内を覚えているのだろうか。猫の記憶力を調べてみると、よく目にするのは何かのテスト結果で10分だとか16時間だとか、しかし条件設定がいろいろあって当てにならない。飼い主をどのくらい覚えているだとか世間話的なものばかりで、記憶力についての信頼できそうな記述が見当たらない。それでも、みうがこの家に戻って来るという保証を藁にもすがる気持ちで探し続けたのでした。
その点で、その朝見失うまでのみうが、まるでかつて知ったるわが庭みたいな動きだったのは心強かった。最後に見たみうが駆け下りて行った坂の先は、左に回り込めば町内に戻り、右寄りに進めばバス通りへのショートカットで、その先の草原(休耕田)に点在する旧農家さんのいずれかにソトチビがいるはずだ。みうが家裏時代に2日ほど空けたことが何回かあったが、ソトチビの本拠地にお邪魔した可能性もあったのだ。みうはソトチビを覚えているのだろうか。あの坂を下りて、果たしてどちらに向かったのだろうか。
家の中のみうは、何を思って毎日外を眺めていたのだろう。自由がほしかったのか、自分の生活の場に戻りたかったのか、それともソトチビに会いに行きたかったのか。あれだけ仲睦まじかった2匹を引き裂いてしまった贖罪の意識が、またぞろぶり返してくるのでした。
家裏時代:ソトチビとのツーショット(再掲)
それだけではない。自分の罪悪感を煽ることがもうひとつあった。それは妻も指摘していたこと。妻は、みうの保護(室内猫化)には最初から反対だった。家裏で自由に過ごし、食事も寝床もあって、ご近所の人々にもしっかり認知されている。今でこそ1匹だけになってしまったが、かつてこの町内には中外飼いのニャンコが数匹いた。管理もされていたし、猫嫌いのお宅も含めておおらかだった。猫にとってはこの上ない生活条件だったのに、家中に閉じ込める必要があったのか。
しかもだ、ひょんなきっかけでみうより先にニャーがわが家に来た。当初、中のニャーと外のみうはいい雰囲気だったけど、ニャーが脱走した際に何故かみうを追いかけて襲った。さらにそれを繰り返して、ニャーはみうの天敵になった。そのニャーと共同生活を強いられることになったのだ。それはベット下に隠れ、自分の部屋から出れないアンネ・フランクさんのような隠遁生活だった。自分が約束した、自由を奪う代わりの安心、安全、そして平和な生活とは程遠いものだったのです。
実を言うと、みうの保護には自分も迷っていました。しかしシャッポの失踪と、その後の強い後悔が自分を突き動かした。さらにお隣さんのリフォーム工事の騒動で、みうが当家裏に嫌気が挿す前に保護を決行したのでした。その結果、みうは家庭内ノラとなり、ニャーを避けての隠遁生活を強いられることになった。その日の朝垣間見たみうのはつらつとした動き、やはり自分は間違っていたのか。どんなに捜しても見つからないみうに、まるで自分の過ちを指摘されたような気分になるのでした。
みうはもう、帰って来ないかもしれない。ということはこのブログもいよいよ休止だ。あの大脱走の最中に決意したことは変わらない。みうが自ら野を選んだとしても、保護者の責務は消えないのです。
家ではオジンの"くっつき"猫だったけど
日も下りはじめた頃、ニャンコたちの夕食準備へと動き始めた。まずは部屋掃除、トイレ掃除、食器を集めて洗い、外猫たちには早く消えてほしいので一足早く夕食。それから、みうも含めて6匹の食事準備。この一連の行動は一人だとだいたい1時間半くらいかかる。17時にはみうの本格捜索を始めたいので、時間を逆算して動いた。朝と同じように勝手口と玄関を少し開放する。自分がみうを見つけたら、家の方へと誘導する・・。
勝手口の外を確認すると、予定通り外猫たちが消えていた。家のニャンコたちをそれぞれ部屋に閉じ込め、再び勝手口を開けると、みうが現れた。ドアの中を一瞥するみう。ドアの内側に置いておいたみうの好物レトルトを差し出したが、見向きもしない。みうは勝手口を通り越して、かつて自分の生活の場だった寝床のダンボールや棚の上を点検し始めた。盛んに臭いを嗅ぐみう。何か思い出すかと期待したが、やがてその先へと消えた。
やっぱりダメか・・と思う間もなく、慌てて玄関から出てみうの消えた方から裏に回った。しかし、もうみうの姿はなかった。でもまあいいか。とにかく戻って来たのだ。そのうちまた現れるだろう。そう自分に言い聞かせて戻ろうとすると、駐車場の車の下でじっとこっちを見ているみうと対面した。そのみうの顔は、家中に保護する前の顔そのものだった。
ああ、と思った。やっぱりみうはこの家を自分の家だと認識しているんだ。そして、外に出ても自分を保護者だと認識している。それにしてもみうよ、お前はこんなにも自然な、明るい表情をした猫だったのか・・。安堵はしたものの、大きな問題が残っていた。どうやって保護するかだ。 と、そのとき、みうが自分の方に向かってゆっくりと歩いて来た。
慌ててシーバを差し出す。またも無視。朝も食べてないのに、この小食の猫はいったい空腹を覚えるということがあるのだろうか。すると、みうはゆっくりと自分の脇を通って家裏に行こうとした。自分の横に来たとき、咄嗟に背中を掴んだ。 「ギャッ!」と声を立ててみうが暴れだした。今度は「シャーッ」の連発。でもここで離してはならない。何が何でも確保しなければ、と両手でみうを押さえつけた。たちまち両手にできた引っかき傷から血が滲み出す。でも離さなかった。そしていつものみうが慣れた体勢で抱きかかえると、みうは安心したようにおとなしくなった。
まずは洗面所で、泥まみれになっていたみうの手足を洗って身体を拭いた。それから中の猫たちを開放して自分の両手の手当てをしていると、みうと出会った途端のニャーが全速でみうを追った。あわや勃発、という直前で遊び心のちび太が参戦して事なきを得たが、以前のみうに戻っていたことがニャーにはわかったのだろうか。その後しばらく、みうを見るニャーの目つきがかつての獲物を見る目になっていたが、やがてそれも解消した。
ちび太(奥右)がニャー(奥左)との"緩衝材"に
みうは今、脱走劇前の状態に戻っています。自分の後追いで、自分が座れば遮二無二くっついてくる。そのポジションはニャーやリンとの奪い合い。でもお互いに遠慮し合って喧嘩することはありません。その周りをキーやクウ、そしてちび太が飛び跳ねる。家猫になれば、自分の意志に関わらず保護者に従わざるを得なくなる。それでも彼らは文句を言わない。自分が幸せかどうかなんて、考えたこともないだろうから。
このブログにシリーズで書いている「ノラたちとの共存を目指して。」 その予告編に書いたように、ノラの幸せについてまとめ上げる日がいつかやってきます。それが本ブログのテーマなのです。同シリーズを書き始める前から、「ノラの矜持」や「ノラの本懐」など、「ノラたちの幸せを願って」カテゴリーの中で模索してきました。千変万化の猫だから、その本意を見抜くのは難しい。でも、彼らにだって願いや望みはあるはずだ。
日頃おとなしいみうが、思い切った脱走で保護者に教えてくれたこと。 ~わたしはあなたについていきます。だから、わたしのことを忘れないでね。~ みうの願いは、きっとすべての家猫の気持ちに通ずるのだろうと、そう思えてなりません。
懐かしそうに、そして寂しそうに外を眺めるみう
(みう、お前の願いはしっかりと受け止めたからな)
あの大脱走の災禍とハッピーエンドの一部始終を書き上げて気が緩んだのか、その翌朝に今度はみうが脱走しました。それは、油断の一言に尽きた。朝の6時頃玄関からニャーを外に出すときに、後ろからついて来たみうがするするとニャーの横を通って出てしまった。初めはポヤっとしていたみう、しかしこっちもポヤっとしていて、抱き上げようとしたがすっと逃げる。そのうち通りに出てしまった。途端ににみうの動きが変わった。水を得た魚のように素早くなって、しかもちょっと興奮状態に。そうなってようやく、事態の深刻さを認識したのでした。
強くは意思表示しないけど、みうがずっと外に出たがっていることは知っていた。いつも窓から庭を眺めてはキュウキュウ小声で鳴いていた。人の出入りでドアが開けば必ず寄って来る。でもニャー恐怖症のみうは、ニャーの出入りのときは近寄れなかった。それがイエチビを迎えて、さらに最近の大家族化の効果で2匹の関係が変わってきた。みうのニャーに対する恐怖心が少しづつ薄れていたのです。その変化に気付いていながら、しっかり対応できなかった。
みうは家の中でも半ノラ状態。こっちが座っていれば近づいて来るし、スキンシップもお手のもの。でも、こっちが動けばすかさず逃げる。そうなると捕まえることはまず不可能。通りに出たみうは、かつて1年半も家裏で暮らしていたときそのものだった。実は先日、みうを正式にわが家の子として迎え入れて1周年となった。何か書かなければ、と思っていた矢先のことでした。
みうは外を眺めるのが大好き:キー(左),ちび太(中)と
みうはこっちの目と鼻の先を、お隣さんからさらにそのお隣さんへと冒険を始めた。そこで家の人が出てきて、驚いて今度はお向かいさんへ。門を挟んでしばらく対峙。手を伸ばせば届くのだがすっとかわされる。妻がシーバを持ってきたが見向きもせず。やがてみうは、そのお宅の向こう側にある高台へと向かった。回り道すれば4分はかかる。そのお宅の奥さんの協力を得て自分もそのまま高台へと追跡した。しかしその上にあるアパート付近まで来たとき、通り過ぎた車に驚いたみうは駆け足で坂下の方へと消えてしまったのです。
大変なことになった。みうの初めての脱走は、本格的な捜索へと展開したのです。妻が出かけた後、自分は店を休みました。外に出たみうは、よほど落ち着いたときじゃないと保護できない。クウのように自分から家に入ってもらうしかないと思えた。それで中のニャンコたちを部屋に閉じ込めて、玄関と勝手口を猫が通れる分だけ開放した。そして自分はできる限り町内を捜索。保護できなくても、所在だけでも確認したかった。しかし白黄くんと灰白くんが勝手口周辺に陣取ったこともあって、結局ドア解放作戦を諦め、夕方の再捜索に賭けることにしたのです。その日は真夏の炎天下、みうも休むに違いないと。
とは言え断続的に捜索しながらいろんなことを考え、そして調べました。1年間わが家に籠もっていたみうは、果たしてかつて飛び回った町内を覚えているのだろうか。猫の記憶力を調べてみると、よく目にするのは何かのテスト結果で10分だとか16時間だとか、しかし条件設定がいろいろあって当てにならない。飼い主をどのくらい覚えているだとか世間話的なものばかりで、記憶力についての信頼できそうな記述が見当たらない。それでも、みうがこの家に戻って来るという保証を藁にもすがる気持ちで探し続けたのでした。
その点で、その朝見失うまでのみうが、まるでかつて知ったるわが庭みたいな動きだったのは心強かった。最後に見たみうが駆け下りて行った坂の先は、左に回り込めば町内に戻り、右寄りに進めばバス通りへのショートカットで、その先の草原(休耕田)に点在する旧農家さんのいずれかにソトチビがいるはずだ。みうが家裏時代に2日ほど空けたことが何回かあったが、ソトチビの本拠地にお邪魔した可能性もあったのだ。みうはソトチビを覚えているのだろうか。あの坂を下りて、果たしてどちらに向かったのだろうか。
家の中のみうは、何を思って毎日外を眺めていたのだろう。自由がほしかったのか、自分の生活の場に戻りたかったのか、それともソトチビに会いに行きたかったのか。あれだけ仲睦まじかった2匹を引き裂いてしまった贖罪の意識が、またぞろぶり返してくるのでした。
家裏時代:ソトチビとのツーショット(再掲)
それだけではない。自分の罪悪感を煽ることがもうひとつあった。それは妻も指摘していたこと。妻は、みうの保護(室内猫化)には最初から反対だった。家裏で自由に過ごし、食事も寝床もあって、ご近所の人々にもしっかり認知されている。今でこそ1匹だけになってしまったが、かつてこの町内には中外飼いのニャンコが数匹いた。管理もされていたし、猫嫌いのお宅も含めておおらかだった。猫にとってはこの上ない生活条件だったのに、家中に閉じ込める必要があったのか。
しかもだ、ひょんなきっかけでみうより先にニャーがわが家に来た。当初、中のニャーと外のみうはいい雰囲気だったけど、ニャーが脱走した際に何故かみうを追いかけて襲った。さらにそれを繰り返して、ニャーはみうの天敵になった。そのニャーと共同生活を強いられることになったのだ。それはベット下に隠れ、自分の部屋から出れないアンネ・フランクさんのような隠遁生活だった。自分が約束した、自由を奪う代わりの安心、安全、そして平和な生活とは程遠いものだったのです。
実を言うと、みうの保護には自分も迷っていました。しかしシャッポの失踪と、その後の強い後悔が自分を突き動かした。さらにお隣さんのリフォーム工事の騒動で、みうが当家裏に嫌気が挿す前に保護を決行したのでした。その結果、みうは家庭内ノラとなり、ニャーを避けての隠遁生活を強いられることになった。その日の朝垣間見たみうのはつらつとした動き、やはり自分は間違っていたのか。どんなに捜しても見つからないみうに、まるで自分の過ちを指摘されたような気分になるのでした。
みうはもう、帰って来ないかもしれない。ということはこのブログもいよいよ休止だ。あの大脱走の最中に決意したことは変わらない。みうが自ら野を選んだとしても、保護者の責務は消えないのです。
家ではオジンの"くっつき"猫だったけど
日も下りはじめた頃、ニャンコたちの夕食準備へと動き始めた。まずは部屋掃除、トイレ掃除、食器を集めて洗い、外猫たちには早く消えてほしいので一足早く夕食。それから、みうも含めて6匹の食事準備。この一連の行動は一人だとだいたい1時間半くらいかかる。17時にはみうの本格捜索を始めたいので、時間を逆算して動いた。朝と同じように勝手口と玄関を少し開放する。自分がみうを見つけたら、家の方へと誘導する・・。
勝手口の外を確認すると、予定通り外猫たちが消えていた。家のニャンコたちをそれぞれ部屋に閉じ込め、再び勝手口を開けると、みうが現れた。ドアの中を一瞥するみう。ドアの内側に置いておいたみうの好物レトルトを差し出したが、見向きもしない。みうは勝手口を通り越して、かつて自分の生活の場だった寝床のダンボールや棚の上を点検し始めた。盛んに臭いを嗅ぐみう。何か思い出すかと期待したが、やがてその先へと消えた。
やっぱりダメか・・と思う間もなく、慌てて玄関から出てみうの消えた方から裏に回った。しかし、もうみうの姿はなかった。でもまあいいか。とにかく戻って来たのだ。そのうちまた現れるだろう。そう自分に言い聞かせて戻ろうとすると、駐車場の車の下でじっとこっちを見ているみうと対面した。そのみうの顔は、家中に保護する前の顔そのものだった。
ああ、と思った。やっぱりみうはこの家を自分の家だと認識しているんだ。そして、外に出ても自分を保護者だと認識している。それにしてもみうよ、お前はこんなにも自然な、明るい表情をした猫だったのか・・。安堵はしたものの、大きな問題が残っていた。どうやって保護するかだ。 と、そのとき、みうが自分の方に向かってゆっくりと歩いて来た。
慌ててシーバを差し出す。またも無視。朝も食べてないのに、この小食の猫はいったい空腹を覚えるということがあるのだろうか。すると、みうはゆっくりと自分の脇を通って家裏に行こうとした。自分の横に来たとき、咄嗟に背中を掴んだ。 「ギャッ!」と声を立ててみうが暴れだした。今度は「シャーッ」の連発。でもここで離してはならない。何が何でも確保しなければ、と両手でみうを押さえつけた。たちまち両手にできた引っかき傷から血が滲み出す。でも離さなかった。そしていつものみうが慣れた体勢で抱きかかえると、みうは安心したようにおとなしくなった。
まずは洗面所で、泥まみれになっていたみうの手足を洗って身体を拭いた。それから中の猫たちを開放して自分の両手の手当てをしていると、みうと出会った途端のニャーが全速でみうを追った。あわや勃発、という直前で遊び心のちび太が参戦して事なきを得たが、以前のみうに戻っていたことがニャーにはわかったのだろうか。その後しばらく、みうを見るニャーの目つきがかつての獲物を見る目になっていたが、やがてそれも解消した。
ちび太(奥右)がニャー(奥左)との"緩衝材"に
みうは今、脱走劇前の状態に戻っています。自分の後追いで、自分が座れば遮二無二くっついてくる。そのポジションはニャーやリンとの奪い合い。でもお互いに遠慮し合って喧嘩することはありません。その周りをキーやクウ、そしてちび太が飛び跳ねる。家猫になれば、自分の意志に関わらず保護者に従わざるを得なくなる。それでも彼らは文句を言わない。自分が幸せかどうかなんて、考えたこともないだろうから。
このブログにシリーズで書いている「ノラたちとの共存を目指して。」 その予告編に書いたように、ノラの幸せについてまとめ上げる日がいつかやってきます。それが本ブログのテーマなのです。同シリーズを書き始める前から、「ノラの矜持」や「ノラの本懐」など、「ノラたちの幸せを願って」カテゴリーの中で模索してきました。千変万化の猫だから、その本意を見抜くのは難しい。でも、彼らにだって願いや望みはあるはずだ。
日頃おとなしいみうが、思い切った脱走で保護者に教えてくれたこと。 ~わたしはあなたについていきます。だから、わたしのことを忘れないでね。~ みうの願いは、きっとすべての家猫の気持ちに通ずるのだろうと、そう思えてなりません。
懐かしそうに、そして寂しそうに外を眺めるみう
(みう、お前の願いはしっかりと受け止めたからな)
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