長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『カフェ・ソサエティ』

2018-11-06 | 映画レビュー(か)

昔からジジイみたいなルックスだったせいで気付かなかったが、ウディ・アレンも82歳。立派な“ジジイ”である。同じことを何度も話し、「昔は良かった」と懐かしむ様はそこらの老人と何ら変わりない。
恋のさや当てというお馴染みのテーマを繰り返すが、一筆書きかと見紛う気のない脚本(ヤクザの兄のサブプロットは機能していない)からは近年の作品に顕著なペシミズムは感じられない。1930年代ハリウッドを舞台にしているのは『ミッドナイト・イン・パリ』同様、自分が過ごせなかった旧き良き時代への羨望だろう。

但し、映画作家として新しい試みも成されている。撮影監督は名匠ヴィットリオ・ストラーロ。続く『女と男の観覧車』でも組むことになるこの名手は全編をデジタルで撮影し、シャンパンゴールドのようなライティングは筆舌し難いほどゴージャスで美しい。ウディ、珍しく撮影に拠っている。

本作で3度目の共演となるジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートは好演。特にスチュワートはストローラもシャネルの衣装も味方につけ、まさに旬の輝きである。


『カフェ・ソサエティ』16・米
監督 ウディ・アレン
出演 ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、スティーヴ・カレル、ブレイク・ライヴリー、コリー・ストール

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『浮き草たち』 | トップ | 『ジェニーの記憶』 »

コメントを投稿

映画レビュー(か)」カテゴリの最新記事