長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『彼方に』

2024-02-02 | 映画レビュー(か)
 第96回アカデミー短編映画賞ノミネート作。例年、若手監督の登竜門とも目されてきた部門であり、受賞をきっかけに長編デビューする作家も少なかったが、今年はロングリストの段階でペドロ・アルモドバル『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』、本戦ではウェス・アンダーソン『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』ら巨匠の名前が並ぶ異例の年である。

 突然の凶行に家族を奪われた男の彷徨を描く本作は、大きなキャンパスにも映えそうな主題を取り扱っており、プロデュースを兼任する主演デヴィッド・オイェロウォも名演だ。しかしミサン・ハリマン監督のストーリーテリングは18分という短編にはやや字余りな印象で、撮影、編集を含め“素描”という感は拭えない。部門の意味合いから考えれば不釣り合いではあるが、受賞はアンダーソンだろう。

『彼方に』23・英
監督 ミサン・ハリマン
出演 デヴィッド・オイェロウォ

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