長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ゾンビランド ダブルタップ』

2020-09-03 | 映画レビュー(そ)

 2009年にスマッシュヒットを記録したゾンビコメディ『ゾンビランド』の実に10年ぶりとなる続編だ。歴史に残るようなヒットもしなければ重要性もない映画だが、ここまで時間があいたのは主要キャストと前作『ヴェノム』を大ヒットさせた監督ルーベン・フライシャーの出世が関係しているだろう。ウディ・ハレルソン、エマ・ストーン、ジェシー・アイゼンバーグらはこの10年で度々オスカー候補に上がり、ストーンに至っては『ラ・ラ・ランド』で受賞を果たすキャリアの充実である。ハレルソンは歳を重ねる毎に豪放なデタラメさを増し、アイゼンバーグの神経症早口キャラはすっかり定番となった。

 一方、演技派として躍進目覚ましいストーンが本作のようなジャンル映画に出てくれたのは嬉しいが、彼女を添え物扱いしか出来ない所に10年前と変わらない製作サイドの怠惰さがある。本気の彼女はこんなモンじゃないくらい笑かしにくるぞ。

 ホラーとしてはもちろん、パロディとしてもやり尽くされた感のあるジャンルだが、コロナショックによって無限にも思える停滞が生まれた今、独自ルールを課してのらりくらりとゾンビ禍を生きる彼らの姿には妙にシンパシーを感じた。そういう意味では然るべきタイミングの続編だったのだ。


『ゾンビランド ダブルタップ』19・米
監督 ルーベン・フライシャー
出演 ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、アビゲイル・ブレスリン、ゾーイ・ドウィッチ、ロザリオ・ドーソン、ルーク・ウィルソン、ビル・マーレイ


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