長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マーベルズ』

2024-02-25 | 映画レビュー(ま)

 そろそろ「今回のMCUは最近ではマシ」という無益な会話はやめないか?MCU史上最低の興行収入を記録した『マーベルズ』は、『アントマン&ワスプ クアントマニア』『シークレット・インベージョン』『ロキ』『エコー』と低迷するフェーズ5にトドメを刺した(こうやって並べただけでも目眩のするようなラインナップだ)。女性スーパーヒーローだけで編成された初のMCU映画だから素晴らしい?冗談じゃない。どう考えてもシークエンスが1つも2つも抜け落ちている杜撰な脚本、説明セリフの洪水、カリスマ不足のヴィランにペラペラなVFX。確かに目を見開いているはずなのにストーリーは良くわからず、果たして映画のクライマックスが『CATS』になる必要なんてあったのか(ハリウッドはメタメタにしてしまった実写版の大惨事を忘れたらしい)。『ミズ・マーベル』から合流した無邪気なイマン・ヴェラーニがアンサンブルを活気づけていることや、フォトンブラスト級の笑顔を解禁したブリー・ラーソンのスターオーラがこの映画のために損なわれているのは宇宙の危機としか言いようがない。唯一の美点はMCU最短のランニングタイム105分だろうが、これでもハイパージャンプより随分長く感じられるものだ。

 本作の大失敗を受けて、マーベルは今後の製作体制の抜本的な改革を迫られ、2024年公開作はなんとFOXから移籍してきたデッドプールのシリーズ第3弾『デッドプール&ウルヴァリン』ただ1本のみである。ディズニーだろうがお構いなしにやらかしてくれるであろうライアン・レイノルズに期待したい所だが、予告編を見る限りではまたしてもマルチバースにあくせくする様子で、まだまだ余談を許さない状況である。


『マーベルズ』23・米
監督 ニア・ダコスタ
出演 ブリー・ラーソン、テヨナ・パリス、イマン・ヴェラーニ、ザウイ・アシュトン、パク・ソジュン、サミュエル・L・ジャクソン、ラシャーナ・リンチ

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