長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ムーラン』(1998年)

2020-12-27 | 映画レビュー(む)

 実写リメイク版鑑賞に先立ち見てみたが、なるほど今さら手を加えるまでもない不朽の名作だ。1998年の時点でディズニーがアジアを舞台にしていること、旧来のディズニープリンセスが白馬の王子との結婚をゴールインとしてきた事に対し、ヒロインが自らの手で自分の人生を切り開く姿は断然“現在=いま”である。特に父に代わって士官したムーランが、男達と同じ猛特訓を重ねて“男の物差し”で測られながら、最終的には自分だけの強さと機知で周囲の敬意を勝ち得る展開は重要だ。

 もちろん、現在の映画に慣れた身では98年の本作がややスローで、演出の手際もそんなに良くないと感じるかも知れない。それでもおよそ時代設定を把握していたとは思えないエディ・マーフィの現代的でファンキーなボイスアクトは最高だし(この後、『シュレック』で頂点を極める)、当時の最新技術を駆使した雪山でのシネマティックなバトルシーンはCG全盛の今では作れない気迫に充ちている。

 『美女と野獣』の実写リメイクが成功したことを踏まえると、とても失敗しようがないオリジンに思えるのだが…。


『ムーラン』98・米
監督 バリー・クック、トニー・バンクロフト
出演 ミン・ナ、B・D・ウォン、エディ・マーフィ

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