
『トップガン マーヴェリック』が社会現象級の大ヒットとなっているジョセフ・コシンスキー監督、マイルズ・テラー主演の最新作が早くもNetflixから登場だ。『トップガン マーヴェリック』が当初の2019年から再三公開延期となったためのタイミングだが、株価暴落にあえぐNetflixにとって渡りに船だろう。とはいえ、トム・クルーズが標榜する“大スクリーンのための映画”ではない。週末に自宅で楽しむ“いつものNetflix映画”であり、やけに小ぢんまりとした作品である。
コシンスキー監督の気質は『トップガン マーヴェリック』や『オンリー・ザ・ブレイブ』といったスケール感あるアメリカ映画と、『トロン:レガシー』『オブリビオン』のSFに分かれている様子で、ジョージ・ソーンダースの短編小説を原作とする本作も後者に属する。謎の施設で第3者の感情をコントールできる薬の治験が行われており、その裏にはある秘密が隠されていて…とプロット以上の面白さはないが、マイルズ・テラーとクリス・ヘムズワースのファンであれば損した気分にはならないだろう。メガネをかけただけのヘムズワースがとても天才科学者に見えないが、治験薬によって喜怒哀楽が同時に押し寄せる場面はすごく可笑しい。自身のジョックス風のキャラクターを活かして楽しげに憎まれ役を演じており、やはり笑いのセンスに長けた人だ。コシンスキー、テラーはもちろん、『ソー ラブ・アンド・サンダー』が控えるヘムズワースにとってもキャリアに水を差す映画にはならないだろう。
『スパイダーヘッド』22・米
監督 ジョセフ・コシンスキー
出演 マイルズ・テラー、クリス・ヘムズワース、ジャーニー・スモレット
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