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長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マクマホン・ファイル』

2020-03-06 | 映画レビュー(ま)

 『マッドバウンド』で頭角を現したディー・リース監督の最新作はジョーン・ディディオンの同名小説を映画化したスパイスリラーだ。1984年、CIAは南米ニカラグアの反政府組織コントラへ極秘裏に武器を供与し、新米政府の樹立を目論んでいた。記者である主人公エレン・マクマホンは決死の潜入で背後にある陰謀を暴こうとする。

 まず予備知識としていわゆる“第2次ニカラグア内戦”を押さえておく必要があり、これが付け焼刃で理解できるほど簡単な事案ではないのが困りものだ(関連しているトム・クルーズ主演『バリー・シール』がイントロダクションにはいいだろう)。ディー・リース自ら脚色したプロットは整理されているとは言い難く、相も変わらず俳優業で油を売っているベン・アフレックが登場する終盤からは急にメロドラマ色が濃くなる。2020年の米大統領選を控えてポリティカルなテーマを含んだ映画が相次いでおり、リースがこの原作を選んだ理由も察する事ができるが、ヒロインの内面に依った情緒的演出がそれを妨げ結果、どちらにも着地しなかった。『マッドバウンド』に続いて音楽はタマール・カリが担当、女性初のアカデミー撮影賞候補に挙がったレイチェル・モリソンは不在である。

 これでは主演アン・ハサウェイの奮闘も虚しい。オスカー受賞後、キャリアの低迷が続く彼女はAmazon製作のドラマ『モダン・ラブ』でも演技的成熟を重ねており、再びジョナサン・デミ級の監督とタッグを組めば容易にベストアクトを更新すると期待できるのだが…。


『マクマホン・ファイル』20・米、英
監督 ディー・リース
出演 アン・ハサウェイ、ベン・アフレック、ロージー・ペレス、ウィレム・デフォー、トビー・ジョーンズ

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