(鯉に恋焦がれ倉敷編8)
大根おろしの木で手作りの職人さんもちょっと余所見、素敵な女の子が通り過ぎたから。
女の子はへええ、と感心して職人さんを見てたから、ちょっといい気分になって、仕事に集中するふりをしていたけれど、好みの声だったから気になってはいたんだ。でも直視したら気を悪くするかもしれないし、慎重に慎重に、通り過ぎた後でチラッとみるのです。
手作りの大根おろしは、美しくて、当然尖ってて、これでおろされたら大根も本望でしょう。職人技ですね。残していきたい職人技、だからさっきの女の子、もどってきて、職人さんに笑いかけたげなよ。それが、日本の明日を築くのだぞよ。
さっきの女の子
職人 手を止めて眼を路上に惑わす
見れば是 明眸の麗人あり
感嘆の声 皓歯より出で
心 踊りて手工に精出す
声色 甚だ快く 心 手工に定まらず
然れども 彼の気損うを懼れ
職人 能く直視するを得ず
ただ窺う 後背の姿
手工の金具 美麗にして先鋭
大根の本望 ただ是にあり
至芸哉 神技哉
その技 廃れるを惜しむ
願わくは彼の麗人
顧みて一笑を与え給え
是に日本の将来を築く也
なゆらさんの文を漢詩風にリメイクしてみました。
なお、語法や字句はてきとうです。
風に混じりて来る、というとこの解釈も素敵ですね。
原文以上に力がある漢詩ですよ、全く困ったものだ。
とても面白い試みですね。何の変哲もない文章もこれは本望というものですよ。
嬉しい限りです。