リッスン・トゥ・ハー

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林檎映像展にて

2007-12-01 | 若者的詩作
林檎が生る木がビルの上に立っている。
ビルは5階建てだが、この田舎街ならば少々目立つ。
町にぽつんと立っているビルの屋上に林檎の木は立っている。
一本だけ。
ちょうど真ん中ぐらいにまっすぐ空に向かって、ビルに比べるともちろん小さく目立たないが雲ひとつない青い空に林檎の赤は良く目立つ。
林檎はその木に対すればたくさん生っているといえる。
林檎の木が揺れる揺れる。
手を振っているように風が強いから揺れる。
下界を歩く私の髪も揺らす揺らす。

そう僕らが思えばいいんだ。いいんだ、と田村。
林檎は揺れて、ビルから落ちて、くるくると回転しながら地面にぶち当たる。
飛び散るのは果汁か血潮か、悲鳴か歓声か、分からないと田村。

ビルの上に林檎の木はない。


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