リッスン・トゥ・ハー

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青春HMV渋谷店閉店

2010-08-24 | リッスン・トゥ・ハー
「音楽の発祥の地がなくなるんだね」

「そうかあ、それは残念ですね」

「ほんとにね、ぼくなんて渋谷店が人生そのものだもの」

「それほどまでに思い入れがありますか」

「あるねえ、渋谷店で恋をして、渋谷店で大人になって、渋谷店で恋に破れ、渋谷店で結婚し」

「渋谷店とともに歩んでますねえ」

「そのとおりだよ」

「でもそしたら、なくなると困るんじゃないですか」

「困るなんてものじゃないよ、人生そのものなんだから」

「はあ」

「これからぼくはいったいどうしたらいいだろうか」

「そうですねえ、別の場所に移ったらどうですか」

「別の場所?」

「例えば東京ドームとか」

「え、なんで?なんで東京ドームなの?」

「東京の象徴じゃないですか東京ドームって」

「なめとんのかい、おどれは、東京の象徴は東京タワーじゃい」

「東京ドームですよ、誰がなんと言おうが東京ドームが東京の象徴、これは譲れません」

「あんな軟弱なドームが象徴なわけあるかい、東京タワーのあの尖り方を見たまえ」

「尖り方で勝負するんじゃないでしょうよ」

「いや、なんといってもあの尖り方だ、カッコいいったらありゃしない」

「いや東京の象徴は浅草じゃよ」

「誰か来た!白髭の老人来た!」

「なんなんですか、浅草ってどういうことですか?」

「東京をなんだと思っておるんじゃ、象徴と言えば浅草以外にないじゃろうが」

「浅草なんて軟弱な、全然尖ってないし」

「尖ってる尖ってない関係ないって」

「よく考えてみろ、東京ドーム何個分だと思う浅草は」

「大きさでもないでしょうよ」

「中心部だけ言えば10個分ぐらいでしょ」

「東京ドームが10個も入るんじゃぞ、東京タワーなら100個ほど入るはずじゃ」

「尖ってなきゃ意味ないし」

「ひろさじゃないって」

「じゃわしはこれで」

「どこ行くの?」

「渋谷店」

「好きなんじゃん」

「好きじゃよ」

「じゃあぼくもいくよ」

「渋谷店?」

「うん、ぼく、いったことないんで」

「もう閉店してるって」

「うえー」


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