かなりの確率で恋に落ちるだろう、と思っていたが、結局何もしなかった。というよりもできなかった。しようとはしたんだ、でもどうしても動かなかった、それはつまりしなかったと言うことと同義。だから放置していたと言われても言い返す言葉もない。まあ、言い返す必要も全くないけど。歩は恋に落ちたのだ。通勤の電車でいつも顔をあわせている女の子に。名前も知らないし、何をしているのかモ知らない。だいたい話をしたこともない。歩が知っていることは、自分と同じ電車でどこかに通っていること。時々読んでいる文庫本はいつも同じ本であること。ただ顔をあわせているだけで恋に落ちるなんて、ずいぶん安易な恋だと思うかもしれない。実際安易極まりないが歩にとっては、一生懸命、突き進むことあるのみであった。歩が、女の子のいったい何に惹かれたのかそれは明確だ。のどである。歩は異性ののどの形を偏愛している。のど、様々な形ののど。は?と天の言葉。
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