リッスン・トゥ・ハー

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飴色の魚(歌Ver)

2007-04-02 | 若者的詩作
傷みのない場所へ僕は急ぎますが、何分かけっこが遅いもので、熱帯魚はどんどん迫ってくるのです。気づいたら肩を、僕のこの恐ろしいぐらいのなで肩を、ぐいつと掴んで、握りつぶそうとします。握りつぶした僕の肩は、ぐちゃぐちゃになって別の熱帯魚の餌となり、それを喰うと鱗から皮膚が生まれ、その皮膚は飴色をしていてとても綺麗で、君にも見せてあげたいけれど、僕はまだ、肩を握りつぶされるわけにはいきません。なぜなら、僕の肩には、羽を休めるべき渡り鳥がとまるのだから。

(飴色の熱帯魚は嘘つきだ)

ところで、渡り鳥は名を春菊といいます。春菊は、だいたい春先にやってきます。またすぐに、とんでいってしまうのだけれど、そのほんの少しの間僕たちは話をします。とりとめもないことで、内容は何も覚えていません。だけど、だけどそれは僕にとって、とても重要な時間です。僕はその短い会話のために一日を過ごし、一ヶ月を過ごし、一年を過ごしているような気がします。気がするだけではなく実際そうなのです。春菊はおそらく僕の名前すら知らないでしょう。そういうことに興味がないのです。だけど少なくともこの恐ろしいぐらいのなで肩を必要としてくれる。

(飴色の熱帯魚は臆病だ)

僕は、君がそのとってつけたような相づちをやめるまで、永遠にしゃべりつづけるし。
ところで飴色の魚は見えましたか?


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