リッスン・トゥ・ハー

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peko

2009-09-03 | リッスン・トゥ・ハー
ペコは舌を出した。照れからくる行動だった。ペコは求愛されたのだ。見ず知らずの男性に、髪を短く丸刈りにして、サングラスをかけている。頬にひとつ深い傷跡、いかにも悪そうな風貌であるがその求愛は非常にユーモラスであって、それを見ている人々を微笑ませた。男はペコのうしろから絡み付くように肩を抱き、足でリズムをとってステップを踏んでいる。今にも踊り出しそうなステップは非常に陽気であった。見ているこちらも踊り出しそうになる。危うく。男はそしてペコ、好きだ、好きなんだペコ、と叫んでいる。変な目をして通り過ぎていく人々などおかまいなしに、男はペコに絡み付く。ペコはやれやれと、舌を出す。人気があるって罪ね、などとつぶやいてみる。