2007/04/16(月) TBS NEWS
救世主になるか?「DMV」営業運転開始
14日から北海道で営業運転が始まった乗り物、デュアルモード・ビークル。世界初、線路と道路の両方を1台の車両で走ることができるという乗り物で、赤字ローカル線維持の切り札としてつくられました。果たして本当に切り札となるのか、多くの自治体が注目しています。
JR北海道が5年をかけて開発したデュアルモード・ビークル。マイクロバスに鉄道の車輪をつけ、線路も道路も1台で走ります。ゴムタイヤと鉄の車輪との切り替えは、わずか15秒。
レールの上では前後の鉄の車輪が車体を支え、レールの上で回る後ろのゴムタイヤの力で前に進みます。行きは線路、帰りは道路を使い、片道11キロの区間を一周します。
「楽しかった。(線路→道路の)切り換えでガタガタすると思ったが」(第1便の乗客)
線路も道路も走る乗り物。この試みは、実は70年以上前から世界中で行われてきました。しかし、どれも失敗に終わっています。
JR北海道が開発に乗り出した背景には、赤字ローカル線の深刻な現状があります。北海道を走る鉄道の3分の2は赤字路線。日中の利用者が数人だけというところもあります。何か対策を打ち出さないと、将来、立ちゆかなくなるという危機感がありました。
「『鉄道車両』を動かしていてはコストが大変かかる。コストを下げたシステムができないか・・・」(JR北海道 柿沼博彦 副社長)
マイクロバスなら、車両の値段は鉄道の7分の1。そして、線路から道路に1台で乗り入れできれば、駅から離れた病院に行くにも乗り換えが要らなくなります。
試作車が公開されると、赤字ローカル線を抱える全国の自治体が視察に殺到しました。台風で線路や鉄橋が流された宮崎県の高千穂鉄道は復旧のメドが立ちません。そんななか、この人は・・・。
「導入には慎重な検討が必要だが、夢のある乗り物で、大いに期待している」(東国原英夫 宮崎県知事)
一方、課題も残されています。例えば、2人の運転士。法律では、レールと道路の両方を運転できる免許がないため、1両に鉄道とバス、2人の運転士が乗ることになりました。さらに・・・こちらのマイクロバス、本来は26人乗りですが、いろいろな機材を取りつけて重量が増えてしまったため、中に乗れるのは16人。お客さんは12人しか乗せることができません。
「(本格運行に向けては)階段の一段目に足がかかったところ」(JR北海道 柿沼博彦 副社長)
世界で成功した例がない夢の乗り物。様々な課題を抱えながら、鉄道と過疎地の再生の夢を乗せて出発進行です。(16日18:14)
http://nawata01.eco.coocan.jp/07TV_movies/TBS/tbs_hokkaido_DMV_20070416.wmv