国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。
議会雑感
政府参考人とは
○衆議院規則第45条の3
委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。
○参議院規則第42条の3
委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出席を求め、その説明を聴く。
委員会が政府参考人の出席を求めるには、当該公務所を通じて行う。
ここのところ、取り上げることが多い下記の法律ですが、今回も登場です。
国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律(平成11年法律第116号)は、中央省庁の再編・改革と時を同じくしながら、以下のことを規定しました。
1. 国家基本政策委員会の設置
2. 政府委員制度の廃止
3. 政務次官の増員と副大臣・大臣政務官への移行
4. 政府特別補佐人(※)の本会議・委員会への出席
1.国家基本政策委員会については、既に紹介しましたので、今回は、2.政府委員制度の廃止について紹介したいと思います。
明治憲法下では、政府委員に選任された官吏に対し、議院に出席し、発言する権限が与えられていました。一方で、日本国憲法は、政府側にあって議院に出席し、発言できる者を「内閣総理大臣その他の国務大臣」と規定し、政府委員の文言は削除されています。
しかし、国会法制定時には、政府委員の規定が残されていたため、政府委員制度は法的には新国会に引き継がれたといえます。
ちなみに、政府委員制度の下では、各行政機関本府省の局長級以上の職員、局次長級職員等の官職にある者等が任命されていましたが、委員会等において、大臣に代わって政府委員の答弁が常態化していました。さらには、課長級の職員も説明員として発言が許されていたのです。
よって、上記の国会審議活性化法等により、委員会における政府への質疑に対しては、政策決定の権限及び責任を有する大臣等の政治家が答弁することを原則としたのです。
ただし、行政の細目的な事項や技術的な事項については、委員会が政府参考人の出席を求め、説明を行わせることができるという規定が、衆参両院の議院規則に新設されました(上記)。
これによって、従前より限定的ではあるものの、政府職員の委員会での答弁は、結局、残ることとなったのです。
両院議院規則は、同じ内容を規定していますが、衆議院では政府参考人の「出頭」、参議院では「出席」となっています。質疑を伴う国会会議録を検索してみると、結局、政府参考人は毎回出席していますね・・。
そんなこんなで、「政府参考人の出頭・出席要求に関する件」が、委員会前の理事会協議事項となり、委員会運営関係者は委員会前日、政府参考人が誰になるのか確定するまで帰宅できない、という事態が発生してしまうのです。
政府委員制度が廃止された趣旨と政府参考人制度が新設された当初の趣旨と現状の運用が、違うような気がしてならないのは、きっと私だけではないはずです。
※政府特別補佐人については、次回紹介したいと思います。
委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。
○参議院規則第42条の3
委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出席を求め、その説明を聴く。
委員会が政府参考人の出席を求めるには、当該公務所を通じて行う。
ここのところ、取り上げることが多い下記の法律ですが、今回も登場です。
国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律(平成11年法律第116号)は、中央省庁の再編・改革と時を同じくしながら、以下のことを規定しました。
1. 国家基本政策委員会の設置
2. 政府委員制度の廃止
3. 政務次官の増員と副大臣・大臣政務官への移行
4. 政府特別補佐人(※)の本会議・委員会への出席
1.国家基本政策委員会については、既に紹介しましたので、今回は、2.政府委員制度の廃止について紹介したいと思います。
明治憲法下では、政府委員に選任された官吏に対し、議院に出席し、発言する権限が与えられていました。一方で、日本国憲法は、政府側にあって議院に出席し、発言できる者を「内閣総理大臣その他の国務大臣」と規定し、政府委員の文言は削除されています。
しかし、国会法制定時には、政府委員の規定が残されていたため、政府委員制度は法的には新国会に引き継がれたといえます。
ちなみに、政府委員制度の下では、各行政機関本府省の局長級以上の職員、局次長級職員等の官職にある者等が任命されていましたが、委員会等において、大臣に代わって政府委員の答弁が常態化していました。さらには、課長級の職員も説明員として発言が許されていたのです。
よって、上記の国会審議活性化法等により、委員会における政府への質疑に対しては、政策決定の権限及び責任を有する大臣等の政治家が答弁することを原則としたのです。
ただし、行政の細目的な事項や技術的な事項については、委員会が政府参考人の出席を求め、説明を行わせることができるという規定が、衆参両院の議院規則に新設されました(上記)。
これによって、従前より限定的ではあるものの、政府職員の委員会での答弁は、結局、残ることとなったのです。
両院議院規則は、同じ内容を規定していますが、衆議院では政府参考人の「出頭」、参議院では「出席」となっています。質疑を伴う国会会議録を検索してみると、結局、政府参考人は毎回出席していますね・・。
そんなこんなで、「政府参考人の出頭・出席要求に関する件」が、委員会前の理事会協議事項となり、委員会運営関係者は委員会前日、政府参考人が誰になるのか確定するまで帰宅できない、という事態が発生してしまうのです。
政府委員制度が廃止された趣旨と政府参考人制度が新設された当初の趣旨と現状の運用が、違うような気がしてならないのは、きっと私だけではないはずです。
※政府特別補佐人については、次回紹介したいと思います。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 重要広範議案とは | 政府特別補佐... » |