議会雑感

国会のルールや決まりごとなど、議会人が備忘録を兼ねて記します。

参議院における予算案審査の制約(30日ルール)

2018-03-19 | 憲法
○日本国憲法第60条

予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

上記は、衆議院の予算先議権、予算議決に関する衆議院の優越を規定しています。

憲法は、衆議院で予算案審査を必ず先にすることと、参議院に送付されたのち、否決された場合や30日以内に議決しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となることを定めています。

よって、予算案本体は衆議院で議決された時点でその成立が保証されますので、参議院の30日ルールを睨みつつ、衆議院での採決日程が与野党間のせめぎ合いとなりますが、今年は2月28日の衆議院本会議で総予算3案は可決されており、年度内の予算案成立は確実となっています。

予算案の自然成立30日ルールの制約を課されている参議院は、自然成立日を横目に見ながら、いかに充実した審議をするかが問われることになります。

なぜなら、仮に参議院で予算案の審議を全くしなくとも、自然成立日を迎えさえすれば予算案本体自体は成立するからです。

そういった観点からすれば、今年の参議院における予算案審査は公文書書き換え問題の余波を受け、異常な形で進んでしまったと言わざるを得ません。

国会は3月16日から正常化しましたが、自然成立日の3月29日までに参議院でどれだけ充実した審議ができるのかが大きな課題となっています。

さらにいえば、いわゆる「日切れ法案」である予算関連法案については「法律案」ですので、両議院で可決した時に「法律」となるため、予算案審査の合間を縫って3月31日までに結論を出さねばなりません。

これらは参議院の宿命であり、使命なのです。

[追記]
本日午前の参予算委における与党議員の一部質疑、いくらなんでも、あれはないでしょう。後で見て、涙が出ました。

最新の画像もっと見る