俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

キリギリシャ

2012-05-11 15:18:06 | Weblog
 ギリシャとイタリアほど観光資源に恵まれた国は少ない。ギリシャ・ローマの遺跡とエーゲ海などの美しい海はヨーロッパ最高の観光資源だろう。放っておいても多くの観光客が集まる。しかし恵まれ過ぎることは逆に不幸なことだ。ギリシャでは海運業以外の産業が育たず公務員ばかりが増えた。
 民主主義発祥の地でありながら長く軍事政権が続いたせいか民意のレベルは余り高くない。先日の選挙で第2党に躍進した急進左翼進歩連合の公約は何と「国の借金の返済拒否」だ。借金を踏み倒すことを公約に掲げてそれが支持されるとは信じ難い話だ。これでは民主主義ではない、衆愚政治だ。
 ギリシャ国民はユーロ圏からの離脱を望んでいる訳ではない。ユーロから離れれば新通貨が暴落して壊滅的なインフレになることは目に見えている。そんな中で借金返済拒否が支持されるようならユーロ圏から追放されかねない。
 イソップ寓話の「アリとキリギリス」のような怠け者なら何とか許されよう。しかし借金の踏み倒しという犯罪的行為は許されまい。返済拒否となれば最早議論の余地は無く、経済戦争状態だ。ユーロ圏諸国はギリシャを容赦せず、滅ぼすことさえ厭わないだろう。

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