俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

外来語

2016-06-23 09:53:44 | Weblog
 21日にリオデジャネイロ・オリンピックの公式服が発表された。特に注目されたのは式典用の制服だ。赤いジャケットに白いスラックスという出で立ちは日の丸カラーであり、’64年の東京オリンピックの制服を彷彿させるデザインだ。
 東京オリンピックの開会式の入場行進の時、アナウンサーはこれを「真っ赤なブレザー」と呼んだ。なぜかこれが間違って理解されてジャケットが「ブレザー」と呼ばれるようになった。blazerは「燃えるような赤」を意味するから「青いブレザー」などあり得ないし、「真っ赤なブレザー」の時点で「真っ赤な赤い服」だから「馬から落ちて落馬した」と同じような変な表現だ。しかし洋服店の販売員まで「ブレザー」と呼ぶからすっかり定着してしまった誤用に私も付き合わざるを得なかった。ブレザーという言葉は「ジャケット&スラックス」という言葉が定着するまで誤って使われ続けた。
 なぜか女性はスラックスを「パンツ」と呼びたがる。多分ファッション誌などが「パンツルック」や「パンツファッション」などの言葉を頻繁に使うからだろう。私は折り目のある物をスラックス、無い物をパンツと呼んで区別するが女性は何でも「パンツ」と呼ぶ。「ズボン」という言葉はいつの間にか死語になったようだ。セクハラと非難されそうなので未だ試したことは無いが「パンツスタイル」の女性に「パンツが見えている」と言ったらどんな反応をするか見てみたいと思う。
 「ワイシャツ」にも同じような誤解がある。TシャツはT字型のシャツだがワイシャツはY字型のシャツではない。white shirtsが語源だ。だから「青いワイシャツ」はあり得ない。私は「青いドレスシャツ」や「青いカラーシャツ」あるいは単に「青いシャツ」と呼んでいたが長い間、異端扱いをされていた。
 旅館でアルバイトをしていて客から「バスは何時に出発しますか」と尋ねられて驚いたことがある。これは「バス(bath)・トイレ付」を「トイレ付きバス(bus)」と勘違いしたせいらしい。英語のthは「ス」や「ズ」で表記されるがこれは紛らわしい。「シンクタンク」という言葉を初めて知った時、私はthinkではなくsinkだと思って「沈む器」を想像した。「エアフォース」はfourthかと思ったがforceだった。Vを「ヴ」と表記するようにthに当たる仮名があっても良いと思う。
 昔Genevieve Bujoldという女優がいた。これをどう表記するかには悩まされた。私は極力「ヴ」は使わないので「ジュヌビエーブ・ビュジョルド」と書いたが「ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド」と表記されることが多い。どちらでも良かろうが、グーグル等で検索する時には迷う。vilenceは「ヴァイオレンス」でも「バイオレンス」でも構わないだろうが、これほどDVという言葉が頻繁に使われるようなら「ヴァイオレンス」と表記したほうが便利なように思える。

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