俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

改憲勢力

2016-07-13 09:57:16 | Weblog
 賛成か反対かで多数決をすれば大抵の場合、反対が多数を占める。人の意見は様々なのだから、A案に賛成する人よりも反対する人(つまりその他のB・C・D案などに賛成する人)のほうが多いのはある程度当然だろう。だから多数決をする前に充分に調整をしておかないと何度も否決ばかりが繰り返される。
 ツタヤ図書館に関する住民投票が典型例だ。愛知県小牧市で行われた住民投票の結果は反対32,352票、賛成24,981票だった。反対票の内訳を推定すれば①図書館は公営にすべし②図書館は不要③ツタヤが嫌い④経費削減⑤市長などに対する不信任票、その他諸々だろう。
 現行憲法を完全無欠と信じている人は1割もいないだろう。殆んどの人が何らかの不備を感じている。全く感じていない人は憲法の条文など全く読んだことの無い人だろう。
 ではなぜ改憲論が嫌われるのだろうか。マスコミによるプロパガンダが最大の要因だろう。憲法の不備を指摘しようものなら朝日新聞などのマスコミから袋叩きに遭う。改憲論が軍国主義と結び付けられているから、波風を立てたくなければ「今の憲法でええじゃないか」という立場を取らざるを得ない。
 マスコミの護憲姿勢は先日の参議院選挙でも現れた。まるで民進党の意向に沿うかのように「改憲4党が2/3を占めるかどうか」に関心を向けさせた。ところがいざ「改憲勢力」が2/3を占めても朝日新聞以外は「憲法が改悪される」と騒がない。空騒ぎだったからだ。今回の選挙は争点の乏しいつまらない選挙だった。大半のマスコミは話題作りのために2/3を利用しただけだ。
 改憲阻止を唱えているのは共産党と社民党だけだ。改憲を肯定する民進党の議員は決して少なくない。それ以前に根本的な間違いとも言うべき大きな嘘がある。共産党は護憲政党ではない。最も明白な改憲政党だ。天皇制を否定する共産党が現行憲法を肯定することの矛盾には子供でさえ気付いている。マスコミは偏向していると改めて感じさせられた。彼らは最も明確な改憲政党を「改憲勢力」には含めない。
 憲法改正を容認する政党に対してマスコミは、共産党以外を「改憲勢力」と一括りにして中傷する。この「改憲勢力」は抽象的な理念でありこの実在しない集団に対して「軍国主義」や「家父長制」などの悪いイメージを植え付けた。
 私は、社民党だけが護憲政党だと思っている。但しこれは良い意味ではなく時代錯誤の教条主義政党という意味だ。民進党の一部と共産党を含めればずっと昔から改憲勢力は2/3を上回っていた。
 衆参両院で2/3を占めればすぐにでも憲法が改悪されると多くの人が信じ込んでいる。しかし改憲のハードルは以外に高い。国民投票で過半数の支持を集めねばならないからだ。たとえ改憲派が多数であってもその意見を1つに集約することはかなり難しい。「選良」が立案して国民の過半数が賛成する改憲であれば反対する理由など無かろう。世論の分裂のために、国民が支持しない憲法が不磨の大典として鎮座していることこそ放置できない異常事態だろう。
 

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