俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

小さな目標

2009-03-24 15:34:46 | Weblog
 野球の先発ピッチャーならまずパーフェクトゲームを目標にする。フォアボールを出せばノーヒットノーランを目標にする。ヒットを打たれたら完封を、点を取られたら勝利を、という風に目標はだんだん小さくなる。
 人の一生もこんなものかも知れない。子供の頃には末は博士か大臣を夢見た人も現実的な目標に切り替えて無名の個人として一生を終える。
 社長になると張り切って入社した人も、せめて部長にとか、何とか定年まで無事に勤め上げたいとか、どんどん小さな目標に修正する。
 このことは健全な精神を保つためには必要なことだろう。人間は何らかの目標が無ければ生きて行けない。達成不可能な見果てぬ夢を求め続けるのはラ・マンチャの男ドン・キホーテだけだ。現実的な目標を定めなければ妄想の世界へと向かい妖しげな新興宗教の狂信者になってしまいかねない。それほど人間の心は脆い。現実を受け入れることは決して恥ずかしいことではない。理想は現実的でなければならない。
 目標は決して誰かから与えられるものではない。自分で設定すべきものだ。誰かが目標を与えてくれることを待っていれば根無し草になってしまう。何もできない。小さな目標を設定することを馬鹿にしてはならない。こうやって定められた小さな目標がそれぞれの生きがいに繋がるのだから。

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