俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

快楽

2008-04-08 15:29:54 | Weblog
 「快楽とは欲望が充たされること」という定義に対してソクラテスは驚くべき反論をする。「全身が痒くてボリボリ掻き毟っている状態より痒くない状態のほうが幸福ではないだろうか。欲望を充たすより欲望の無い状態のほうが幸福なのだ。」
 痒いという不快な状態は無いほうが良いが皮膚感覚を失うという状態にはなりたくない。現在の些細な不快感から逃れるために死のうとは思わない。感じられない状態よりは感じ易い状態のほうが好ましい。
 食欲は2種類に分類できる。沢山食べたい人は大食漢に、旨い物が食べたい人は美食家へと向かう。食べるという行為は同じでも全く別の欲求があることは間違いない。不満の解消という消極的な欲求ではなく、幸福の獲得という積極的な欲求を私は求める。

脂の旨み

2008-04-08 15:21:17 | Weblog
 甘さと脂の味は原始的味覚を刺激するようだ。子供は甘さと脂味を旨いと感じる。子供は揚げ物が大好きだ。
 ミートホープでは牛の脂を混入して豚や鶏の肉を牛肉と偽装していたが、松阪肉の脂肪を混ぜるだけでクズ肉が旨くなるらしい。
 西洋料理も中華料理も脂の旨さに頼っているという意味ではレベルが低い調理方法だ。一方、日本料理は世界に類の無い脂に頼らない料理として世界に誇れる。「焼く・煮る・蒸す」には脂を使わない。ヘルシーという意味だけではなく脂で味を誤魔化さず素材の味を引き出すという技法はもっと高く評価されるべきだろう。
 脂の旨みは麻薬のようなもので、それに魅せられて死に至ることもある。それまで脂の旨さを知らなかった徳川家康は鯛の天麩羅を食べ過ぎて死んだと言われている。脂味の快感が脳を麻痺させてしまって食べ続けることをやめられなかったのだろう。

エイプリルフール

2008-04-08 15:08:27 | Weblog
 日本ではどういう訳かエイプリルフールは「嘘をついて良い日」と理解されてしまったため、東京新聞以外では定着していない。私は30年来「ジョークを楽しむ日」だと言い続けて来たが発言する場が限られていたため充分には主張できていなかった。
 笑いは高度な精神活動だと思っている。それどころか最も苦悩する動物である人間には笑いという清涼剤が無ければ生きることも困難なのではないかとさえ思っている。不運が続いた時に深刻に悩むよりは平松愛理さんのように「もう笑うしかない」と笑い飛ばしていたい。
 私が最も笑った国産のジョークは「史上最低の遊園地」という広告だ。「来るんじゃなかった」と嘆くお父さんの顔と不満そうな子供の姿が使われ、欄外に小さく「今日は4月1日です」と書かれていた。1990年の豊島園の新聞広告は史上最高のジョーク広告だと思っている。
 私にもオリジナルのジョークがある。私が4人兄弟で4人とも男だと言って関心を持った人には必ず付け加えてこう言う。「実はうちの家系は男しか生まれないのだ。(相手が驚けば更にこう続ける)母親の家系が。」たまにジョークに気づいてもらえないこともあるがパラドクスを使ったジョークなので気に入っている。
 今年のエイプリルフールの傑作ジョークは「空飛ぶペンギン」だ。空飛ぶペンギンが見つかったというジョークをコンピュータグラフィックスを使って見事に映像化していた。よくこんな馬鹿げた映像を大真面目に作ったものだと感心した。
 昨日(4月7日)の中国国営放送のコメントも大いに笑えた。「北京オリンピックに反対する一部勢力による聖火リレーの妨害に対してロンドンとパリの市民は怒りを表明しています。」中国人以外にはジョークにしか聞こえない。日本のマスコミもこれと大同小異ではあるが・・・。