ひとり語り 劇車銀河鐵道 いちかわあつき

 ひとり語りの口演や、絵本の読み語りなどの活動をしています。
 何処へでも出前口演致します。

もう幾つ寝ると・・・。

2007-12-29 10:37:50 | Weblog
 今日は12月29日。今年も残すところ、後3日となりました。27日で一応今年の仕事にきりが付いたので、昨日はやりかけていた外回りの掃除、庭の刈り取った草を堆肥にする作業や、伐った木の枝の処理作業に、日の暮れるまで従事しましたが、まだやり切れていません。今朝は天気が悪かったので、作業が出来ずブログの更新なんかしています。
 年末年始はこれまで録りためていた映画のビデオや、読まなければならない本(なかでも来年5月に予定している芝居の戯曲)を精力的に読もうと思っていますが、さて果たして有意義に時間を使えるかどうか・・・。
 来年はねずみ年。私は年男ということのようで、もう4周り目になるようなのですが、そんなに時間を費やしてきたという実感が持てません。まだまだなんだということでしょう。来年こそはひとつ、もっと本気で生きてみよう。なんて思ってます。これまでがいい加減だったというわけでもありませんが・・・。
 年が変わって身も心も新たまる。日本人にとってお正月というものは大変都合のいいものです。まあ、今年あったことを何もかもリセットするというわけには行きませんが、反省すべきは反省し、ポジティブに新しい年に向って行きたいものです。世の中の動向に振り回されず、皆さん、自分を見失わないようにして生きて行きましょう。
 まだ年内に更新するつもりなので、暮れのご挨拶は持ち越します。

クリスマスの夜のすてきなお話

2007-12-25 11:03:36 | Weblog
 楽しいクリスマス・イブの夜を過ごされましたか? 昨晩は、「サンタクロースが風邪をひいたら」というお話を紹介しました。短いお話なので全篇をかいつまんで紹介してしまいました。
 今日はクリスマス。我が家は子供も大きくなって、ここのところクリスマス・ツリーも飾らなくなり、よその家々に綺麗に輝くイルミネーションなど眺めて楽しんでいますが・・・。
 さて、今日はとっておきのクリスマスのお話がつまった一冊の本をご紹介します。
 これはもう随分前に購入して、この頃になると読み返し、子供が小さかった頃にも読んであげた一冊です。
 三笠書房刊 パール・バック著磯村愛子訳の「わが心のクリスマス」という一冊です。
 著者のパールバックは「大地」などの作品で知られるノーベル賞作家。その彼女が、14篇のクリスマスにまつわるお話を一冊にまとめた心温まる作品です。
 なかでも、私の一番のおすすめは「クリスマスの幽霊」というお話。
 田舎の家に越してきたブラウン一家の六歳になる男の子と、隣に住むヒギンス老人の心温まる物語。一度読んで見てください。きっと図書館にはあると思います。そのほかのお話も良いですよ。

クリスマス・イブです。

2007-12-24 17:00:25 | Weblog
 早いもので、今年ももう12月24日になってしまいました。
例年クリスマス会にお話を・・・という仕事もあったりしますが、今年はクリスマス関連の仕事はありませんでした。もらっても、実のところ演目に困ってしまうのが実情で、ぴったりと来る面白い話が中々ありません。
 そんな中で私が何時も紹介している定番の小さなお話があります。
 それは、講談社文庫 神宮輝夫・編「イギリスファンタジー童話傑作選/銀色の時」に収められている、ローズ・ファイルマン作「サンタクロースが風邪をひいたら」という作品です。原題は「MOTHER CHRISTMAS」というようです。
 1920年代、イギリス児童文学の黄金期に書かれたものの一作で、内容は・・・。
 ある年のクリスマス、サンタクロースが風邪をひいてしまいました。それでも世界中の子供たちがプレゼントを待っているから、トナカイに橇を引かせて出かけようとします。
 そこでサンタクロースの奥さんが私が代わりに行きますと言い出すのですが、
「お前には無理だ」とサンタクロースは承知しません。
「とにかく温かいレモネードを飲んで、少し休んでから出掛けた方がいいわ」と、奥さんはレモネードを作ってサンタクロースに飲ませました。
 ところが、それを飲んだサンタクロースは暖炉の前で寝入ってしまいます。どうもただのレモネードではなかったようです。
 その隙に奥さんは、そうっと家を脱け出し、橇に乗って出かけました。
 サンタクロースが目を覚ますと、トナカイ小屋はもぬけの殻。プレゼントを入れた袋もなければ、奥さんの姿もありません。外は吹雪です。
 心配になったサンタクロースは妖精の国の女王様に電話します。女王様はすぐに電波望遠鏡で、奥さんを捜してくれました。すると心配した通りに奥さんは電線に引っかかって、身動きできない状態でした。
 すぐさま女王様の命令で、小さな妖精が現場へ駆けつけ、奥さんにワイヤーカッターのありかを教えて帰ります。
 奥さんは無事電線から脱け出して、プレゼントを配り終えて帰りますが・・・。
 翌朝街の人々は、
「ゆうべは風がずいぶん強かったようだね」
「あちこちで電線が切れている」と、話し合いました。
 それを聞いた女王様はいつまでも笑っていました。
 で、このお話は終わります。
 ざっとストーリーを紹介してしまいました。明日のクリスマスにはもうひとつ、お話を紹介しようと思います。

ひとり語りレパートリー詳細解説PART 7

2007-12-12 00:00:33 | Weblog
    宮澤賢治・作「紫紺染について」
 
 10日ぶりに更新します。前回に続いて、賢治作品となる「紫紺染について」について、お話しようと思います。
 劇車「銀河鐵道」としては、たくさんの賢治作品を語りたいと思いつつも、実はレパートリーとしては少なく、またポピュラーな作品もありません。
 前回ご紹介した「いちょうの実」と四つの小品からなる「座敷童子(ざしきぼっこ)のはなし」。そしてこの「紫紺染について」です。まあ、朗読なら何でも読みますと、パンフレットにうたってはいますが、語り作品として暗記しているのはこれだけです。
 一時期「鹿踊のはじまり」も語り作品としてやっていましたが、いつの間にか朗読作品に戻りました。
 どうしてそうなったかは謎です。自然の成り行きとしか説明が付きません。また、どうして「注文の多い料理店」とか「セロ弾きのゴーシュ」とか、よく知られている作品を語り作品として演らないのか、自分でもわかりません。演りたい作品はいくつかあって、「インドラの網」なんかは自分としては演りたい作品ですが、口演としてのせる機会がないだろうな、と思うと二の足を踏んでいる状態です。
 さて、この「紫紺染について」という作品ですが、大正13年から14年にかけて書かれたかもしくは、清書されたもののようで、「祭りの晩」「山男の四月」といった他の山男物と比べても、一番面白い山男物の作品だろうと思います。
 お話の中ほどで、原稿が一枚ほど欠落しているので、完全な形では残っていませんが、その部分を想像してみるのも面白いです。この作品に対する今後の可能性も秘められているような・・・。
 僕はこの作品を縄文人と弥生人の邂逅、交流といった感覚で読んでいます。
 冷害に見舞われる環境の中で、米作りに取り組む弥生人の賢治は、明るく豊かだったろう縄文人の暮らしに、限りない憧れを抱いていたと思います。厳しい環境で農作業に挑みつつも、その精神は縄文人のようにありたい。そう願っていたのが宮澤賢治という人ではなかったかと思うのです。しかし、彼は厳しい現実の中でその現実にまみれて生き、まみれて死ぬ道を辿っていきます。肉体は光から影へ、精神はより高いところへ、まるで肉体と精神が引き裂かれていくように・・・。
 賢治を語り始めると終わらなくなるので、これくらいでページを閉じます。

ひとり語りレパートリー詳細解説PART 6

2007-12-01 13:57:52 | Weblog
     宮澤賢治・作「いちょうの実」
 黄葉した銀杏の葉が、木枯らしに吹かれて舞い落ちるこの季節になると、私はふとこのお話を思い出し、語ってみるのです。が、もう随分人前では演っていないなぁと思い、つくづく賢治作品を語る機会の少ないことを振り返ってしまいます。
 先日さるお寺さんで口演させて頂き、その折たくさんのいちょうの実、ギンナンを頂戴して帰りました。
 塩で炒ったり湯でたりして食べると、もっちりとして美味しいギンナン。子供の頃にはほろ苦さを感じ、それほど好きな食べ物ではなく、茶碗蒸しに入っていたりすると、出してしまうこともあったのに、今ではそのギンナンに甘み旨みを感じられるようになったのも、生きた年月の証でしょうか。
 さて、宮澤賢治・作の「いちょうの実」は、初冬の早朝。丘の上に立つ一本のいちょうの木のお母さんに、今年生まれた千人のいちょうの子供が、北風に飛んで、
旅立っていくお話です。様々な子供たちの思い、不安や夢が語られ、やがて悲しみに震えるお母さんの木をはなれ、みんな「さよなら、おっかさん」と叫んで飛び降りて行きます。
 清清しいこの季節の早朝の景色の中で、擬人化されたいちょうの実たちの会話は
ユーモラスに、また切なく哀しく、もののあわれを誘います。
 この作品は大正十年頃に書かれた作品で、賢治二十五歳、東京へ家出して行った時期に書かれた、膨大な作品群の中の一つだったかと思われます。
 親もとをはなれ、旅立って行く心情と、親の慈愛を思う心、その複雑な心境に信仰布教の精神も相混ざった、美しいお話です。