10月に入り、今、庭の金木犀が盛りと香っています。暑い夏を潜り抜け、周りに咲き誇っていた百日紅や桔梗、紫苑の花が終わりを告げると、待ちかねていたように金木犀が花を付け始めます。しかしその頃には、我が家の縁側もガラス戸を締めてしまうので、金木犀の強い芳香はもっぱら玄関まで出ないと漂ってこないのですが・・・。
今年この庭にイモリを見つけました。まだかわいい子供のイモリが、この金木犀の太い幹の根元にいたのです。さっそくインターネットで検索してみました。
紅い腹をしてかわいい丸い瞳をしたこの小動物は、紛れもなくイモリでした。そしてそこには、近年イモリはペットとして人気の高い動物だという記事を見て驚きました。確かイモリは、私たちの身近に棲息する小動物だったにもかかわらず、トノサマ蛙などと共に絶滅危惧種だと聞いていたからです。
私は十数年前から、散歩しながら近辺の溝や小川をのぞいたりして来ましたが、十数年前には当たり前のようにいた、ドジョウやイモリ、また水棲昆虫のタガメやゲンゴロウなどの姿を見ることは出来なくなりました。
田んぼにあまり農薬を使わなくなり、蛍が帰ってきたという話しはよく聴きますが、全体の生態系としては確実に姿を消しているものが少なくないのです。
すぐ近くに蒲の穂のある小沼があって、そこにヒキガエルがたくさん鳴いていたのですが、うるさいと言われて駆除されてしまい、沼の水も少なくなりすっかり姿を変えています。
よく見ると今までと違ってしまっているという周辺の環境に心を配るゆとりというものを、私たちは日常に取り戻さなければいけないのではないでしょうか。
庭に見つけたイモリもあれ以来姿を見ていません。子供がいたということはその親も棲息しているはずなのですが・・・。
庭で一番おおきな木、金木犀はきっとそのイモリの在り処を知っていることでしょう。