宮川ひろ作「おはじき」
1995年の10月から、ひとり語り劇車「銀河鐵道」の活動を始めたのですが、その年の12月に「せんせいのつうしんぼ」などのつうしんぼシリーズや、「四年三組の旗」などの作者宮川ひろさんにお会いする機会を得ました。それは本当に不思議なめぐりあわせで、僕はその1ヶ月前ほどに宮川さんの初期の作品「おはじき」を読んでこれを語りのレパートリーに入れたいと思っていたところでした。
そんな中、中津川の地で宮川さんの講演会があると聞いたのです。
主催された方々にお頼みして、講演後お会いできるようお願いをし会場に赴きました。
果たしてその講演内容は宮川さんが戦争中小学校の教師として体験された学童疎開のこと、それは「おはじき」という作品そのものの実話でした。
「おはじき」は、昭和20年4月静岡県沼津に疎開していた東京蒲田区の学童が秋田県に疎開しなおすことになり、その途中品川駅で列車を停車させて親たちと学童がつかの間の再会をするという実話をもとにしたお話です。
僕はこの作品をはじめて読んだ時、そのリアリティーに圧倒されました。その場の臨場感がひしひしと伝わってきて、一つも無駄のない文章だと思いました。
講演後、この作品を語らせて欲しいと宮川さんにお頼みすると、快く許してくださいました。たいへん優しそうな方でした。
僕の語りは基本的にドラマティック・リィーディングの方法で語っていますので、6年生のマサコと3年生のヤスコが主要な人物として登場するこの作品は、少女をどう演ずるかということで、年々難しくなっています。このままでは無理になって来るのではないかと思いながら、今も語り続けています。
さて、かつては戦争ものとして学校の夏休みの全校登校日などにも語らせてもらってきましたが、そういった中で作品としてはちょっと弱いというご意見もあったようです。それは悲惨さや痛ましさというものを描写していないからでしょう。が、僕はこの作品を反戦という思いでは語りたくはないと思っているのです。どんな状況下においても強く結ばれている親と子の絆、人と人との繋がりという事をテーマにおいて語りたいと思っています。
戦前戦中戦後という区切りをつけたものの見方をしないで、常にその延長線上にある今を捉えていくことで、明日というものを見つめていきたいと思うのです。
「おはじき」は昔話ではない。例えばタイムスリップして、あの昭和20年の疎開列車にいっしょに乗り込んで、その空気を、このお話の登場人物たちと共に味わうことが、今を生きる子供たち、わたしたちには大事なのではないでしょうか。
1995年の10月から、ひとり語り劇車「銀河鐵道」の活動を始めたのですが、その年の12月に「せんせいのつうしんぼ」などのつうしんぼシリーズや、「四年三組の旗」などの作者宮川ひろさんにお会いする機会を得ました。それは本当に不思議なめぐりあわせで、僕はその1ヶ月前ほどに宮川さんの初期の作品「おはじき」を読んでこれを語りのレパートリーに入れたいと思っていたところでした。
そんな中、中津川の地で宮川さんの講演会があると聞いたのです。
主催された方々にお頼みして、講演後お会いできるようお願いをし会場に赴きました。
果たしてその講演内容は宮川さんが戦争中小学校の教師として体験された学童疎開のこと、それは「おはじき」という作品そのものの実話でした。
「おはじき」は、昭和20年4月静岡県沼津に疎開していた東京蒲田区の学童が秋田県に疎開しなおすことになり、その途中品川駅で列車を停車させて親たちと学童がつかの間の再会をするという実話をもとにしたお話です。
僕はこの作品をはじめて読んだ時、そのリアリティーに圧倒されました。その場の臨場感がひしひしと伝わってきて、一つも無駄のない文章だと思いました。
講演後、この作品を語らせて欲しいと宮川さんにお頼みすると、快く許してくださいました。たいへん優しそうな方でした。
僕の語りは基本的にドラマティック・リィーディングの方法で語っていますので、6年生のマサコと3年生のヤスコが主要な人物として登場するこの作品は、少女をどう演ずるかということで、年々難しくなっています。このままでは無理になって来るのではないかと思いながら、今も語り続けています。
さて、かつては戦争ものとして学校の夏休みの全校登校日などにも語らせてもらってきましたが、そういった中で作品としてはちょっと弱いというご意見もあったようです。それは悲惨さや痛ましさというものを描写していないからでしょう。が、僕はこの作品を反戦という思いでは語りたくはないと思っているのです。どんな状況下においても強く結ばれている親と子の絆、人と人との繋がりという事をテーマにおいて語りたいと思っています。
戦前戦中戦後という区切りをつけたものの見方をしないで、常にその延長線上にある今を捉えていくことで、明日というものを見つめていきたいと思うのです。
「おはじき」は昔話ではない。例えばタイムスリップして、あの昭和20年の疎開列車にいっしょに乗り込んで、その空気を、このお話の登場人物たちと共に味わうことが、今を生きる子供たち、わたしたちには大事なのではないでしょうか。