ひとり語り 劇車銀河鐵道 いちかわあつき

 ひとり語りの口演や、絵本の読み語りなどの活動をしています。
 何処へでも出前口演致します。

平出隆著「伊良子清白 月光抄 日光抄」その3

2010-06-29 13:40:54 | Weblog
 昨晩はブログを書いていて眠くなってしまい、伊良子清白の「漂白」の詩を書き留めたところで終わってしまいました。

 さて、なぜ私が清白にこだわるのか、その問いに答えをということなんですが、さあその答えについては、読了した今の時点ではまだ薄ぼんやりとしています。

 私はこの秋、「安寧坂の家」という二人芝居を上演する予定で、今稽古に入っているのですが、この作品の主人公神崎歴彦は、地方に暮らす不遇の文士(作家)です。
  
 一応若い頃は中央で名だたる小説家の弟子になり、修行を積んでいたのがひょんなことから破門になって各地を転々としながら、それでも筆を折ることが出来ず細々と文筆に励みながら、怪しげな小説を書いているという設定の人物。

 伊良子清白の方は怪しくはありません。彼は医業を生業として、保険の診査医やさまざまな医業種に就き、生活のため、また父親の負債の肩代わりとくろうしました。
 また持病の胃アトニーに悩まされ、癇癪持ちで至るところでトラブルも引き起こしていた様子の人物。
 まあその他いろいろの理由によって詩作を捨て、中央の詩壇から遠ざかった人のようです。
 
 日本の近代詩の黎明期に確固とした存在感を示しながら、正確な評価を得られず、「孔雀船」というたった1冊の詩集を残して地方に去り、後に再評価され今に名を残す稀有な詩人なのです。

 平出氏はこの著作で、その伊良子清白に新たな光をあて、現代に再び蘇らせました。

 三重県鳥羽小浜の村医として、清白は68年の生涯を閉じますが、その人生はいかばかりか生きづらいものだったと推察されます。
 彼は生まれながらの詩人だったのでしょうね。もっと穏やかに、楽しく明るい一生というものもあるいは選択できたかもしれないのでしょうけれど、それもそれ、その人生は宿世よりさだめられたものだったのかもしれません。

 しかし、そのような業を払い落とすのも、この世の生き方、在りようではないのか?

 そんなことを考えながら、やはり大きな意味で次回の公演のテキストのひとつとして、私はこの本を読んだのです。

 生きづらき この世を円く生くる瀬もあり 春ははるなり秋はあきなり(青蜩庵)

平出隆著「伊良子清白 月光抄 日光抄」その2

2010-06-28 23:11:24 | Weblog
 月光抄につづいて日光抄も読了しました。
 一般的にいって、現代では馴染みの薄い語や文体が多用されていて、読みやすい文章とはいえないものなのですが、読み始めると何故か止まらなくなり、のめり込んでいきました。

 さて、伊良子清白という詩人がどんな詩を書いたか、ここでひとつ代表作をご紹介しましょう。


  漂白

 蓆戸(むしろど)に
 秋風吹いて
 河添の旅籠屋(はたごや)さびし
 哀れなる旅の男は
 夕暮れの空を眺めて
 いと低く歌ひはじめぬ

 亡母(なきはは)は
 処女(おとめ)と成りて
 白き額(ぬか)月に現はれ
 亡父(なきちち)は
 童子(わらわ)となりて
 円(まろ)き肩銀河を渡る

 柳洩る
 夜の河白く
 河越えて煙(けぶり)の小野(をの)に
 かすかなる笛の音ありて
 旅人の胸に触れたり

 故郷の
 谷間の歌は
 続きつつ断えつつ哀し
 大空の返響(こだま)の音と
 地の底のうめきの声と
 交りて調(しらべ)は深し

 旅人に
 母はやどりぬ
 若人(わかびと)に
 父は降(くだ)れり
 小野の笛煙の中に
 かすかなる節は残れり

 旅人は
 歌ひ続けぬ
 嬰児(みどりご)の昔にかへり
 微笑(ほほえ)みて歌ひつつあり


 と、こんな詩です。

 
 

昨日は眠いながらも・・・・・・

2010-06-26 10:17:16 | Weblog
 昨日は眠いながらも午前中いっぱい、畑仕事に汗を流しました。
 収穫したジャガイモの後に、ほうれん草と大根とニンジンの種を蒔いたのです。

 土を掘り起こすにはシャベルがいい。どうも鍬の扱いは疲れます。そして畝を作るには手がいい。
 無手勝流の俄か百姓は、思いつきとヒラメキだけで農作業をしますので、失敗もありましょうが、まあそこそこのものが収穫できればそれでいい。

 今朝は、今年初収穫のキュウリとトマトが朝の食卓に上りました。
「うん、なかなかの出来!」と自画自賛。いいんです、うまければ・・・・・・。

 去年種をとっておいたオクラ、種まきしてもう1ヶ月近くですが、数十個蒔いたなかで発芽したのは4つだけでした。
 その中のひとつが、群を抜いて成長しやたら大きくなっています。

眠いけどうれしい朝ですね!

2010-06-25 09:26:27 | Weblog
 サッカーW杯、日本はデンマークを破って、決勝Tにコマを進めましたね。いや~快勝でした。
 早起きしてみた甲斐があったなぁ。
 ちょっと眠いですが、快い一日になりそうです。さあ頑張ってお仕事いたしましょう。

 決勝トーナメントは29日の午後11時からみたいですね。
 対戦相手はFグループ1位通過のパラグアイです。

 それにしても、イタリアの敗退は予想外でしたね。前回のチャンピオンチームと、2位のフランスがともに予選で姿を消してしまいました。

 まだまだ応援に寝不足の日々が続くのかな? 頑張れ! ニッポン!!

平出隆著「伊良子清白 月光抄 日光抄」

2010-06-23 14:48:30 | Weblog
 読みたい本、読まなきゃいけない本を山と積みながら、それとは別の図書館でふと手に取ってしまった本を、なかば衝動読みしています。
 それが平出隆著の「伊良子清白 月光抄 日光抄」という2冊の作品です。
 
 平出氏の小説は何年か前に「猫の客」という作品を拝読し大変感銘しましたが、それ以来の拝読となります。
「猫の客」は詩人平出氏のいわば私小説的な傑作ですが、この作品は題名の通り、明治期日本の近代詩の黎明期に活躍した詩人伊良子清白を扱った小説で、といってもかなり彼の足取りを忠実に追って、評伝のような、またはノンフィクションのような筆致で書かれているのですが、しかしやはりそのどれでもなく小説で、作家と主人公清白の距離感が実に絶妙であり、そのためにとても精緻な人物像が浮かび上がってくるという、これもまた氏の名品と呼べる小説です。

 しかし、私は平出隆という作家に惹かれてこの本を手にしたのではなく(もちろん作家詩人としての平出氏は好きですが)、伊良子清白という人物に惹かれてこの本を手にし、先に記したとおりに読み始めてしまったのです。

 何故この明治の詩人が気になるのか? それは謎です。が、とにかく読み進めています。
 そう、まだ読了していなくて2冊目「日光抄」のなかばなのですが、読み終えてしまったら何かその手掛かりが見つかるでしょうか?

梅雨空の下で・・・・・・。

2010-06-22 09:36:48 | Weblog
 カラッと晴れた、梅雨の晴れ間というものがありませんね。
 私は日や抜いても抜いても生えてくる草草と格闘しておりまして・・・・・・。
 そんな中、昨日はようやくに梅の実をもぎました。

 今年は昨年の倍、20キロ近くも採れました。
 さあ、採ったら採ったで梅の実を処理しなくてはなりません。人様にも御上げし、残った分は梅酒や梅ジュースにするつもりです。

 それにしても例年のことですが、梅もぎをした後は身体中がかゆくなります。掻けばボロボロが広がってしまうので我慢していますが、堪りません。

 梅雨空の下で、例年通りの作業は着々と進められます。朝顔を植え替えて網棚を作り、今度は窓窓にすだれを掛ける。
 トマトは少しずつ色づいてきましたし、キュウリも大きくなってきました。そうしてひと足ずつ夏が近づいてきます。

書くこと、語ること、演じること。

2010-06-19 11:14:05 | Weblog
 私はいったい誰だろう、何ものだろう。
 こんな哲学的なことを問うてみる。
 私には、さして立派な肩書きなどはない。学歴もない。

 しかし私は生きている。
 気がつけばもう50年近く生きてきた。

 戯曲を書くとき、詩を書くとき、私は生きているということの手応えを感じ、
 物語を語るとき、また同じくそれを感じ、舞台に芝居の役柄を演ずるとき、
 私の細胞は間違いなく活性化している。

 そのものものが、いかように私に経済的余裕をもたらしてくれるか否かは、
 直に結びつかなくとも、私は現にここに生きて、 
 少なからずも社会と関わりを持つ。

 私は誰だろう、私は何ものだろう。
 いや、私は誰でもなく私であって、 
 誰にもなりようがなく、何ものであるかは、
 生きてこの世にある限りは、わからない。

 一生かかって何も成さないかもしれないし、
 成したところで誰にも知られず、
 私自身もわからないかもしれない。
 それでも私は私を生きるしかなく、私は行き抜くだろう。
 老いさらばえ、不覚の正体を晒したとしても、
 私の命は天に任されてあるのみである。

 書くこと、語ること、演じること。
 そのほかに、今私を生かすすべはない。

若い人たちのお芝居へ

2010-06-18 14:06:14 | Weblog
 私の主催する演劇ユニット マーシュマロウ は、今年の公演の出演者こそ20代から60代と、幅の広い役者さんの登場するお芝居でしたが、何といってもメインになるのは熟年者ぞろいのユニットです。

 そんな私たちですが、若い人たちとも交流を持って、若い人たちの力を借りてやっているわけですが・・・・・・。 

 その交流のある演劇仲間「右脳中島オーボラの本妻」Ⅴol.3公演「西に向かってキュウリを齧れ―お前らみんなメイドインチャイナ―」作・演出丸蟲御膳末吉が、名駅裏通スタジオ ナンジャーレでいよいよ明日から始まります。

     扉ある家族と飛び上がる家族。
    不具合な繋がりと不釣合いな構造。
   欠ける祖父と探す祖母。そこには愛。
  故の過失。錯乱する祖母と散乱するキュウリ。
  テレビ中毒の長女。が軸。
   パンツの無い次女と旅立ちたい長男。難聴。
    では無い。構成を崩す父と公正を築き上げる母。
     公正な判断は皆無。MADE IN CHINAと
      BORN IN THE USA。は関係無い。
       関係が在る筈の家族の全く関係の無いお話。
        立ち上がる長女に待ち受ける世界とは。
            そんなお話。

 以上、チラシ裏面のコピーを掲載させてもらいました。どんな芝居かは観てのお楽しみです。
 
 公演日時 2010年6月19(土)15:00/19:00~
             20(日)11:00/15:00~
 
 場所:名駅裏通スタジオ ナンジャーレ
   (名駅西口より徒歩10分/地下鉄東山線亀島駅4番出口より徒歩6分)

 チケット 前売り;800円 当日;1000円
 {お問い合わせ}Mail:oobora6@yahoo.co.jp  

ちなみに私は20日の11時に行く予定です。ご興味ある方どうぞ、ナンジャーレでお会いしましょう。

W杯初戦勝利とテレビ観戦の日々

2010-06-16 12:32:39 | Weblog
 これまで批判的な記事の目立った新聞や、メディアの論評も、カメルーン戦の勝利でいっきに絶賛の嵐となりました。
 世の中って怖いものです。内容云々よりとにかく勝たなきゃダメなんですよねえ。

 まぁともかく、良かった良かった!
 日本戦以外にもついつい気になって観てしまうのがワールドカップ。私はどちらかというとプロ野球ファンで、サッカーの方はそれほど詳しくはないのですが、日々観ているうちにサッカーの見方面白さが増してきたようです。

 昨夜も眠い眼をこすりこすりコートジボワールVSポルトガル戦を観ていました。結局ドローで得点は入りませんでしたが、見ごたえのあるレベルの高い試合でした。

 今夜のメインはスペインVSスイスです。また観てしまうんでしょうねぇ。

W杯開幕と梅雨入り。

2010-06-14 21:48:05 | Weblog
 さあ、ワールドカップが開幕し、いよいよ間もなく日本vsカメルーン戦のキックオフが近づいてきました。
 もうここまで来たら、思いっきりベストを尽くして、悔いのない戦いをしてほしいと思います。ガンバレ!ニッポン!!

 南アフリカは冬の初めという季節のようですが、日本では梅雨の季節の到来です。ジメジメした気候を吹っ飛ばすような、痛快爽快な日本選手の活躍が期待されますね