人生第2幕スタートして20数年、畑を掘り・印を刻り・木を彫りの半分・自然に親しむ生活です

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つれずれ日記です

THE尾州(繊維素材)フェアを見学して

2020-02-21 19:42:30 | 日記


「第17回THE尾州」という時代の先端を行くテキスタイルヤーンの
新素材展示会を見学する機会がありました。
この企画展は主にBto Bの展示会ですので一般人には関係はないのですが
毛織物で有名な産地で住んでおり(今の時代、業界の新技術の展開は
どうなっているのか)新たな息吹を知る絶好の機会と、老妻と出かけました。
(主催*一宮地場産業ファッションデザインセンター)

繊維産業とひとくちに申しても「川上」の原糸メーカー業界、生産加工する
「川中」、そして衣服など最終製品にする「川下」とありますが、今回の
展示会は主に「川中」です。

テキスタイルという世界はITなどと異なり、誰でも衣服は身に纏っていて
身近な世界です。
感性を磨くという意味では絵画など美術作品を見るのと同じと思います。
出展されている企業は少しでも新しい素材をアピールしてテキスタイルメーカーに
売り込もうと「糸」という素材を様々に工夫されています。

尾州産地では主に羊毛素材を中心にして合成繊維や綿などの混紡も増えてきて
います。

繊維も「衣料用」「産業用」とあり、最近は自動車、建材、カーペット、カーテン、
シューズ、航空機など産業用分野は広がっています。
衣料用では国内産地は苦戦気味ですがカーボンファイバーや防炎素材のアラミドなど
市場シェアーの大きい分野では成長が顕著のようです。

因みに国内アパレル市場における衣類の輸入比率は何と97.6%(2017)
1991年は51.8%でしたのでその数字に驚きます。
但し、国内メーカーも海外に進出し、日本国内に持ち込むビジネスモデルも増えています。

今回の展示会では紡績や撚糸、意匠デザイン、環境に配慮した生分解性の糸、
リサイクル利用、紙の糸への応用など時代性を考慮するなど研究の成果が表れています。

今回、グランプリを受賞されたのは三星毛糸(株)の岩田真吾氏で
「ヌメロ・ラーナ(ぬめりのある新しいウール)」でした。
ウールの新しい世界を引き出し、カシミヤにも匹敵する”ぬめり”を表現しています。

この三星毛糸(株)には昭和43年3月29日に当時の皇太子ご夫妻が工場見学を
されています。
ご成婚が昭和34年ですので写真を拝見して初々しさを感じますね。

写真は当時、関係者の方から頂いたもので今も手元のアルバムに保存しています。
繊維工場への行幸というのは当時の産業界を反映しているようです。
日本経済を繊維業界がまだまだリードしていた時代なんですね。
写真最も左の方は当時の愛知県知事・桑原幹根氏です。

この2年後でしたか佐藤総理が日米繊維問題で渡米されたのは。
日本からアメリカに繊維製品の輸出が急増し、また沖縄返還問題という難題も
あったと記憶していますが・・・

今の愛知県は江戸時代、「尾張」と「三河」に分かれており、「尾州」は主に
「尾張」を中心にしていますが木曽川の流れは現在と若干異なり、岐阜県の羽島市の
一部も含まれています。

繊維は主に天然繊維(綿・麻・羊毛など)と合成繊維(ポリエステル・ナイロン・アクリル・
ポリプロ・炭素繊維・アラミドなど)、再生繊維(レーヨン、アセテート・キュプラ)が
ありますが羊毛繊維は全繊維の内、わずか1.2%という比率で、尾州産地は毛織物産業が
盛んでしたが輸入品やライフスタイルの変化の影響が大きく、機屋さんもすっかり寂れました。

当地では関係しませんが絹に至っては0.2%を占める程度です。
綿は今でも27%を占めており天然繊維の中で重要な位置を保っています。

そして家内は「こんな高級品のボトムズ、定価16,800円のところ○○円で買えたわよ」
ご興味の対象が違うようで。

毛織物の詳細は「日本毛織物等工業組合連合会」H.P.でどうぞ。