何もせぬ 深きまよひに 苦しみて 愛なき砂に しづみゆく人
*今、馬鹿者は、愛が離れていくことに、苦しみあえいでいます。
馬鹿なことをしすぎて、人に迷惑ばかりかけていたら、とうとう愛の限界を超えて、愛が一斉に離れていったのです。
自分の周りに愛が何もない。誰も何もしてくれない。誰も愛してくれない。そんな寒い状況の中で、馬鹿者は愛を欲しがって泣き叫んでいるのです。
しかし、どんなに愛を呼んでも、愛は来てくれない。もう馬鹿者に愛想をつかしたからです。
愛は何億度と裏切られようと、来てくれていたが、馬鹿者はとうとう最後までそれに答えなかった。裏切りぬいた。ゆえに愛はもう、馬鹿者を愛することをやめたのです。
そうなって初めて、馬鹿者は愛がどんなにいいものか、わかったのです。
馬鹿者は愛の世界から追い出され、愛のない世界へと赴かねばならない。それがあまりにつらいので、愛、愛、愛、と馬鹿のように繰り返している。
しかし泣き叫んでいるだけでは愛はきてくれません。愛が欲しいのなら、もう自分から愛していくよりないのです。自分の中にある愛を表現し、愛をかせいでいくよりないのです。
愛を発揮し、自分から人の下になって人に尽くしていくのです。それをずっと続けていくのです。そうすれば、愛が振り向いてくれる。自分が愛した分だけ、愛が返ってくるのです。
しかしそんなことを何もしなければ、ずっと愛に背かれたまま、人は孤独でいなければなりません。
愛のない砂の世界で、ずっとしびれた悲哀にしみこんだままでいなければなりません。