ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

美しくない

2019-08-01 04:39:37 | 短歌





美しく ないと自分が 嫌になる なのに自分は 美しくない





*また大火節です。少し前のツイッターの方から持ってきたんですが、いや、きついですね。みごとです。

実はわたしも似たようなのを詠んでるんですが、ここまでくっきりとやられると、わたしの作品がかすんでしまう。実に、こういうことを詠わせると、彼の右に出る者はいません。

この日の歌で言いたかったのは、要するに美の問題が人間の業だということでした。人間はみんな、自分が美しくないのが痛かったのです。なぜなら自分は馬鹿なことばかりしている。そんな自分を自分の中から常に見ているから、どうしても自分が嫌になる。

たとえ盗みで自分をきれいにしても、どこか心の中で嘘を感じている。人から美貌を盗んで自分をきれいにしている嫌な奴だという感じを、どうしてもぬぐいきれない。

そういう人は、自分以外の美人というものをことのほか憎むもので。そういう美人を陰から執拗にいじめたりする。そんなことをしている自分がまた痛い。どうしても、自分が美しくなれない。それが痛くて、痛くて、たまらなくて、人間は際限なく傷つけあうのです。

美しさ、というものへの強い欲望。それが人間世界の苦悩の、ひとつの大きな正体だったのです。

そういう人間の心の、痛すぎるところを、ずんとついてくるのが、大火です。わたしならここまできついことは詠えませんね。言いたいことは同じでも、わたしならオブラートに包んで飲みやすくする。しかし、どちらの薬が効くかと言えば、もちろん大火の方でしょう。わかりやすいなどというものではない。

本当の自分の美しさというものがなければ、人間は救われないのです。どんなに偽物の自分をきれいにしても、それをすればするほど本当の自分が嫌なものになる。人間、美の問題を解決したければ、本当の自分の美しさに気づいていくよりない。

嘘で固めた自分を脱ぎ捨て、本当の自分に戻りましょう。それが今はどんなに醜く見えようとも、そのほうがずっと美しいのです。なぜならそれは、嘘ではないからです。嘘ではない自分を、正しく生きてこそ、本当の自分の美しさがわかるのです。





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