ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

ざくろかな

2017-06-05 04:21:56 | 





子を食はれ 鬼子母悲しき ざくろかな     夢詩香






*ザクロの花の写真があればいいのですが、ここらへんでは見かけないので、紹介することができません。蛍光色に似た明るいオレンジ色をした花です。知っている人も多いでしょう。かのじょの記憶では、高校の庭に咲いていたザクロの花を思い出しますね。校舎に囲まれたかなり狭い中庭の隅で、日を浴びていたザクロの花の思い出があります。もちろん実をつけるのだが、生徒がとっていくらしく、いつの間にかなくなっているという話を、教師から聞いたことを覚えている。

鬼子母神の伝説は知っているでしょう。自分の千人の子供に滋養を与えるために、他人の子供を食っていたが、一番愛している末の子供を釈尊に隠され、狂いそうになりながら探し回ったが見つけられなかった。そこで釈尊に諭されて後悔し、他人の子を食うのをやめ、仏法の守護者となった。

ザクロは人肉の味に似ていて、これからは子供を食べたくなったらこれを食べるがよいと釈尊に言われたというのは、日本の俗説だそうです。だが、面白い話だ。

西洋絵画ではよく、ザクロ持った聖母の絵が描かれるが、それはキリストの受難を表していると言います。なぜザクロがキリストの受難を表すのか、その理由はよくわからないのだが。


一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えながら言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体である。」(マタイによる福音書)


有名な最後の晩餐のシーンですね。この伝説から、鬼子母神の伝説を思い浮かべてしまうのは、わたしだけでしょうか。

人の子を食う鬼に、わたしは身をささげよう。それが君たちのためであるならば。

馬鹿なことをする人間のために、食い物にでもなってあげよう。だが君たちはそのあとで、たった一人の子を失っただけで狂いそうになった鬼子母のように、狂うだろう。

むごたらしく殺された我が子の亡骸を抱いて嘆き悲しむ聖母の図を、ピエタというが、あまりに悲しい図だ。人間が味わう不幸の中で、これほど痛いものはあるまい。

もっとも愛していたものを、食われる。

あなたがたも、想像するだけで狂いそうになるでしょう。

ザクロの実が、人間の肉と味が似ているかなどということは、確かめようもない。だが、ボッティチェリの「ざくろの聖母」などでは、幼子イエスがザクロに触れている。鬼子母神のようなものに食われることを、幼いながらもわかっているかのように。

人間に愛を教えようとするとき、時に愛は、食われるために親の子になって生まれてくる時があります。

愛というものは、それを失ったときに、その愛というものが何なのかを、もっとも激しく思い知るものだからです。







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